【医学部留年率ランキング】国公立大学医学部編~留年率から国家試験合格率との関連性を探る~
皆さん、こんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤です。
この時期、志望校を決めて走り出されている方、これから決める方もいらっしゃると思います。但し、6年までストレートで進級が難しい国公立大学医学部、卒業試験をクリアーするのが難しい国公立大学医学部、それぞれの特性が如実に出ております。今回の代表ブログではこの点に切り込んでまいります。皆様の志望校選択の一助になれればということを願ってやみません。
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6年までストレートで進級が難しい国公立大学医学部の特徴
まず、別表1を見て頂くと、6年次までストレートで進級が難しい国公立大学医学部として圧倒的に西の国公立大学医学部が多くなっていることが分かります。
ワースト20位の中に西日本が14校、実に70%を占めております。地区別では九州地区の4校が最も多くなっております。更に旧帝国大医学部が3校、旧六医大が2校、その他に名古屋市立大学、広島大学と国公立大医学部の中でも難関と称される大学が入ってきていることから入学難易度との相関関係はさほど無さそうです。
昨年度、2年生の大量留年で全国的に取り上げられた群馬大学は関東の国公立大学医学部で唯一ワースト20位に入っております。
6年までストレートで進級が緩い国公立大学医学部の特徴
次に6年次進級率の高い国公立大学ベスト20を見ていくことにします。こちらは中部北信越が7校を占めてトップ、次に関東が4校、九州が3校といった顔ぶれになっております。東北以北は1校のみしかランクインしていませんが、九州はベスト20にも3校が入っており、九州地区の国公立医学部はベスト20/ワースト20併せて7校が顔を並べる結果になりました。
他には名古屋大学、東京大学、京都大学といった比較的進級が緩いと言われている旧帝国大学医学部がランクインしており、岡山大学、金沢大学、千葉大学、新潟大学といった旧六医大併せて7大学、他にも横浜市立大学、京都府立医科大学、筑波大学といった難関国公立大学医学部がランクインしております。
総じて入学難易度が高い国公立大学医学部が6年進級率緩しともいえましょう。
国公立医学部6年進級率と医師国家試験合格率との相関関係
進級率が厳しくて医師国家試験合格率が高い国公立医学部の例
6年進級率ワースト20位にランクインされている国公立大学医学部の中で、2023年度医師国家試験新卒合格上位ランキングにおいて福島県立医科大学が1位、徳島大学が2位、滋賀医科大学が3位、奈良県立医科大学が4位、香川大学が6位、名古屋市立大学が11位に入っております。つまり、進級率が厳しくて医師国家試験合格率が高いことになりますが、このような現象がいかにして起こるか考察していきたいと思います。
◆1位 福島県立医科大学の場合
ここ3年、既卒の医師国家受験者数が2021年度7名、2022年度10名、2023年度10名と既卒の受験者数数としては多い方であります。但し、2022年度、2023年度は医師国家試験出願者数と受験者数が同数なので(別表3 A-Bの数)学力不振者は進級させずにじっくりと学力を培う方針のようであります。
◆2位 徳島大学医学部の場合
ここ3年、既卒の医師国家受験者数が2021年度8名、2022年度6名、2023年度10名と既卒の受験者数が多い方であります。但し、2022年度、2023年度は医師国家試験出願者数と受験者数が同数なので(別表3 A-Bの数)学力不振者は先述の福島県立医科大学同様、進級させずにじっくりと学力を培う方針のようであります。
この2校は非常によく似た動向を示しております。
◆3位 滋賀医科大学の場合
ここ3年の新卒の医師国家試験受験者数が2021年度124名、2022年度120名に対し、2023年度104名と新卒受験者数を13名減らした影響が大きく出て新卒の医師国家試験合格率は99.0%でした。2023年度は大学側が本腰を入れたのが明白であります。
因みに2024年度医師国家試験の受験者数は119名で志願者数が124名であったことから、卒業試験で5名程落第させている可能性が高いと思われます。その意味では2023年度の進級率は異様に厳しかったという見方ができると思われます。
◆3位 奈良県立医科大学の場合
ここ3年の新卒受験者数が2021年度113名、2022年度112名、2023年度101名と新卒受験者数を11名減らした影響は大きく、新卒の医師国家試験合格率99.0%を達成しました。医師国家試験に向けて滋賀医科大学同様大学側が本腰を入れたのが明白であります。因みに2024年度医師国家試験の受験者数は109名であり、留年率は若干ではありますが解消されていると思われます。
◆11位 名古屋市立大学医学部の場合
ここ3年の新卒受験者数が2021年度102名、2022年度99名と、2023年度81名と、2023年度においては新卒受験者数を更に18名減らした影響が大きいです。但し2024年度医師国家試験の新卒受験者数は111名で合格者数も109名で合格率98.2%であります。2024年度の医師国家試験で溜まっていた留年生を吐き出した形になりました。既卒受験者数が名古屋市立大学は例年3名~4名と少ないことから基準に満たない学生は容赦なく留年させる大学側の強い意志の現れと捉えることができます。
進級率が緩くて医師国家試験合格率が低い国公立医学部の例
さて今度は進級率が緩くて医師国家試験合格率が低い国公立大学医学部を見ていきましょう。6年間進級率の高さが4位の東京大学、6位の京都大学、7位の金沢大学は特にその傾向が顕著と言えます。
◆35位 東京大学の場合
ここ3年の新卒受験者数が2021年度114名、2022年度103名と、2023年度においては116名の新卒受験者数でありました。2023年度においては【別表4】にもあるように4名の卒業試験における落第者が出た模様ですが、この数年の傾向を見てもこのようなケースは非常に稀であります。例年、医師国家試験合格率は下位になることが多いです。
◆41位 京都大学の場合
ここ3年の新卒受験者数が2021年度106名、2022年度110名と、2023年度においては116名の新卒受験者数でありました。2024年度においては108名の受験者でありました。こちらも東京大学と同じ傾向が現れております。加えて既卒受験生が多いのも京都大学医学部の特徴であります。
◆50位 金沢大学の場合
ここ3年の新卒受験者数が2021年度111名、2022年度111名と、2023年度においては122名の新卒受験者数でありました。溜まっていた留年生を吐き出した結果、2023年度の新卒合格率は90.2%と医師国家試験合格率の低下を招いたようであります。
但し、2024年度は121名受験で96.7%の合格率に戻しており、なおかつ既卒生が17名受験して9名 合格率が52.9%であること、また【別表4】にもありますように3名の卒業試験落第者を出していることから金沢大学に関しては6年間の進級率は緩いが、卒業試験で落第させる傾向が強いです。2024年度は4名の卒業試験落第者を出しております。
最後に令和5年度医師国家試験の新卒出願者数と受験者数の差が大きい国公立医学部10位までを載せておきます。
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