catch-img

【2023年度入試】医学部小論文の最新傾向

こんにちは。
渋谷校小論文科主任講師の大橋です。


今日は2023年度の私立医学部入試における小論文の出題傾向をお話しします。
推薦と一般の両方を見ていくことにしましょう。

目次[非表示]

  1. 1.テーマは『コロナ』から二極化へ
  2. 2.求められるのは『共感力』
  3. 3.「要約」と「自分の考え」を分けて書く


テーマは『コロナ』から二極化へ


2022年度入試でよく出題された小論文テーマは、やはりなんと言っても『新型コロナウイルス感染症』でした。私立医学部入試で最初にコロナが出題されたのは昭和大学の『武漢からの邦人帰国についてどう思うか』というテーマだったと思いますが、コロナ3年目の去年はかなり具体的な内容について問われました。


『コロナがもたらす医療崩壊』や『政府の政策の良い点・悪い点』、『自分の肉親がコロナで亡くなった場合の葬儀等を含めて配慮すべき事項』など、社会全体がコロナを一つの大きな問題として受け入れていることが感じられる出題でした。


しかし今年の出題は特定のテーマに偏らない傾向が見られました。どちらかと言うと、非常に新しい話題と普遍的なテーマの二極化が見られたように思います。



例えば、聖マリアンナ医科大学の推薦で出題された『腎臓の臓器移植』や北里大学の一般で出題された『クリスパー・キャス9によるゲノム編集』など、最新の医療技術に関する非常にホットな話題が出題される一方で、久留米大学の一般前期では『医師に必要な資質と適性は何か』という普遍的なテーマが出題されました。


それが最もよく表れていたのは今年の近畿大学の小論文だと思います。一般前期は『良医の学修を始めるにあたって自分が認識している問題点とその解決策』という普遍的なテーマが出題されましたが、一般後期は『ノーベル賞を受賞したネアンデルタール人とホモ・サピエンスの遺伝的研究を発展させるとしたらどんなことが考えられるか』という一転して非常に最新の話題が出題されました。


この二極化が2023年度の私立医学部入試における特徴の一つだと思います。


求められるのは『共感力』


また、受験生の『共感力』を計るような小論文の出題が増えているのも近年の特徴です。


例えば、東京女子医科大学の一般ではこれまで図やグラフ、最新の医療系テーマが出題されていました。それが今年はガラリと変わって小説が出題されました。『小説の一部を読んであなたなりの考えを述べよ』という出題で『共感力』が試されました。


また、順天堂大学では有名な出撃前の神風特攻隊の写真が示され『この中の一人になったつもりで家族に手紙を書いて自分の心情を説明せよ』という問題が出題されました。大阪医科薬科大学の一般前期では『お墓は必要だと思うか』というテーマが出題されました。いずれも受験生の人生観を問う普遍的かつ深いテーマです。ここでも「特攻隊員の一人になって」や「お墓が必要だと思う人」「そうは思わない人」に共感することが求められています。


杏林大学の一般では『幸福であること』『愚直であること』についてどう思うかが出題されました。こうした人生観を問うような問題が増えてきたのは、やはりこれからの時代の医師にはこういったことを考えることが求められていると医学部の教員が考えているということだと思われます。


「要約」と「自分の考え」を分けて書く


課題文を読み取って「要約」と「自分の考え」をそれぞれ分けて書くという出題形式も近年増えています。出題形式が変更された後の金沢医科大学や北里大学、聖マリアンナ医科大学がそうです。また、広い意味では獨協医科大学総合型選抜の小論文や帝京大学共通テスト利用の二次試験も、英語の問題文を読んで日本語で「要約」と「自分の考え」を書くという出題形式なのでこれと同じと言えるでしょう。東京医科大学推薦も同様の形式ですが、英語の問題文を読んで「要約」も「自分の考え」も英語で書くことが求められています。


こういった出題が増えてきたのは、文章から問題点や課題を読み取る能力と、自分の考えを文章にする能力をそれぞれ別々に計りたいという出題意図が大学にあるのでしょう。これからの時代の医師に求められるのは「共感力」と同時に、本文に「どう書いてあるか」構造的、客観的に読み取る「正確な読解力」、そして「問題発見力」と「問題解決能力」であると医学部の教員は考えているのでしょう。


よって、このままの傾向が続けば、来年はさらに小論文のテーマが多様化し特定の傾向に偏らない出題がされるでしょう。従って、どんなテーマが出題されても書けるような準備をしておかなければなりません。特に推薦や総合型選抜を受験しようと考えている人は、要約やグラフの読みの練習を含む小論文対策をいつから始めるかをあらかじめ考えておくことをお勧めします。



最近は高校や塾・予備校で「医系小論文」という枠を作って教えているところもあるようですが、医学部、歯学部、薬学部、看護学部でそれぞれの採点官(教員)は異なります。「医学部の教員が求める小論文」と「看護学部の教員が求める小論文」は異なりますし、むしろ違って当然です。歯学部もそうです。



特に推薦や総合型選抜は受験する大学が固まった時点で、志望理由書や自己評価書などの提出書類でどのようなものが必要かが決まります。その時点で一度ご相談いただければ幸いです。


※メルリックス学院の無料体験授業をご希望の方はこちらからお申込みできます。

大橋
大橋
メルリックス学院渋谷校小論文科主任講師

新着記事

他の合格体験記

受験攻略ガイド

カテゴリ一覧