2025年度入試 国公立大学医学部前期日程偏差値予想ランキング【関西・中部編】
こんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤正憲です。
2025年度私立大学医学部偏差値予想ランキング(総合編)が好評でしたので、今回から国公立大学医学部前期偏差値予想ランキングの各大学ごとに順位の分析をします。西日本編2回、東日本編1回 入試問題編1回に分けて取り上げていきたいと思います。
目次[非表示]
- 1.国公立医学部の偏差値ランキングの決め方ついて
- 2.西日本の国公立大学医学部の全体特徴(東日本の国公立医学部との違い)
- 3.大学別の各論分析
- 3.1.関西地方の国公立医学部
- 3.1.1.京都大学(偏差値予想ランキング:50大学中2位)
- 3.1.2.大阪大学(偏差値予想ランキング:50大学中3位)
- 3.1.3.大阪公立大学(偏差値予想ランキング:50大学中11位)
- 3.1.4.奈良県立医科大学後期(偏差値予想ランキング:50大学中5位(ただし後期試験))
- 3.1.5.京都府立医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中15位)
- 3.1.6.滋賀医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中23位)
- 3.1.7.和歌山県立医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中34位)
- 3.2.中部地方の国公立医学部(東海・北陸)
- 3.2.1.名古屋大学(偏差値予想ランキング:50大学中6位)
- 3.2.2.名古屋市立大学(偏差値予想ランキング:50大学中 17位)
- 3.2.3.岐阜大学(偏差値予想ランキング:50大学中 26位)
- 3.2.4.三重大学(偏差値予想ランキング:50大学中 28位)
- 3.2.5.浜松医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中 22位)
- 3.2.6.金沢大学(偏差値予想ランキング:50大学中 20位)
- 3.2.7.富山大学(偏差値予想ランキング:50大学中 35位)
- 3.3.福井大学(偏差値予想ランキング:50大学中 36位)
- 4.国公立大学医学部 共通テスト比率ランキング(昇順)
- 5.西日本の国公立医学部全体の傾向(詳論)
- 5.1.二次試験の配点割合の高さ
- 5.2.二段階選抜の実施予定倍率について
- 6.まとめ
- 7.☆佐藤代表の著書が全国有名書店、Amazonで発売中☆
国公立医学部の偏差値ランキングの決め方ついて
国公立医学部の偏差値は、いわゆる二次試験についての入試難易度ランキングを偏差値ランキングとして置き換えたものです。入試難易度に影響を与える要素については、地区ごとの偏在や倍率、入試問題の難易度など複数あります。今回の記事では、それらを一つずつ分析しながら、大学ごとに偏差値ランキングの順位を予想していきたいとおもいます。
なお、今回、扱う偏差値につきましては河合塾さんが出している偏差値指標についても参考にさせていただきました。つまり、医学部専門予備校であるメルリックス学院生の合否状況と成績を指標として第一に分析して順位を予想しつつ、一部の大学については、河合塾からの指標から修正しているということになります。したがいまして、データの信頼性については自信を持ってお届けできる内容となっております。
さらになお、二次試験の偏差値が同一レベル帯の大学につきましては共通テスト合格者平均得点率の高い順番にランキングを修正しております。一部の大学については、二次試験の難易度や倍率等も考慮してメルリックス学院の判断で入れ替えをしている部分もありますので、お含みおきください。
西日本の国公立大学医学部の全体特徴(東日本の国公立医学部との違い)
国公立医学部の入試難易度を左右する要因としては、①地区ごとの偏在 ②高偏差値大学の数、割合、③倍率、二段階選抜 ④入試問題の難易度、一次二次比率があります。
これらの点から、まず総論として西日本の国公立大学医学部と東日本の国公立医学部の違いについて、考察してみます。
国公立大学医学部の偏在事情
全国の国公立大学医学部51大学のうち、34大学を西日本が占めています。東日本が17大学ですので、数にしてちょうど2倍の差があります。つまり、設置数でいえば、私立医学部が総論として、偏差値が東高西低であり、東のほうが多いのに対し、国公立大学医学部は逆の現象であります。北陸地方と東海地方は西日本にカウントしております。一方、甲信越地方は東日本に組み入れてあります。以上の点を前提に以下の指標を見ていただきたいとおもいます。(私立大学医学部で金沢医科大学を西日本に含めている関係上、その方が自然といえます)
西日本の国公立大学医学部における難関医学部の割合
2024年度入試の倍率が低い順のベスト25位の中に偏差値65.0以上の難関国公立医学部は、50大学中30大学でありますが、その中でも西日本の国公立医学部は21大学であります。つまり、偏差値上位の国公立大学医学部の70.0%が西日本に存在することになります。割合的にみても偏差値の高い大学の割合が西日本の方が多くなっております。
西日本にある難関医学部(偏差値65.0以上)の内訳は、旧帝国大学医学部が4大学で、19.0%、大都市圏近郊大学が4大学で19.0%、旧六医大が3大学で14.2% 、単科医大が4大学で19.05% である一方、その他の地方国公立大が6大学28.5 %もあります。これは、偏差値65.0以上の東日本の国公立医学部と比較してみると、地方国公立大学が山梨大学(後期)と筑波大学の2大学のみなので、難関国公立大学医学部は西日本に偏在していることが分かります。
大学別の各論分析
以下、西日本の国公立大学医学部について、各大学の特徴を順に分析していきます。
関西地方の国公立医学部
京都大学(偏差値予想ランキング:50大学中2位)
▶概要
京都大学医学部は、西日本の国公立医学部の偏差値ランキングでは最高位の2位、全国の医学部でも2位に君臨しています。
一般選抜の募集人員が102名、一般選抜前期の特色選抜で5名の定員を募集しております。
二段階選抜が3倍(700/1000)で実施されております。2023年度22名 2024年度8名が二段階選抜で不合格になっております。
一次、二次比率は275対1000で二次重視ですが、二次試験の合格者平均得点率が70%程度です。難度の高い問題での得点率になりますので最難関の一つです。
特色入試に関しては評定平均4.7以上が出願条件ですが、共通テストは課さない点が最大の特徴であります。国公立大医学部で共通テストを合否判定に課さないケースは珍しい。ただしTOEFL-iBTのスコアと「特色事項」(各種コンクール、科学オリンピック等)に関する資料を必要とする。京都大学は自らを「研究型総合大学」と位置づけ、研究者(学者など)や専門家を育成するのを狙いとしているので、特色入試で一芸に秀でた受験生の獲得を目指しております
但し、合格者数も2022年度、1名 2023年度2名 2024年度2名と基準に満たなければ定員に達しなくても募集をしない点も大きな特徴であります。
▶分析に基づく予想
京都大学医学部は、西日本で国内最高峰の医学部であります。重厚な思考力、分析力が必要であることはいうまでもありません。
特色入試では実績と将来の研究への探求心を示すことが何よりも重要です。
大阪大学(偏差値予想ランキング:50大学中3位)
▶概要
大阪大学医学部は偏差値ランキングで3位。最難関医学部の1つです。
一般選抜の募集人員が92名、推薦入試は5名程度の定員で募集しております。
二段階選抜が3倍(700/1000)で実施されております。2022年度15名 2023年度8名が二段階選抜で不合格になっております。
一次、二次比率は500対1000で二次重視です。2025年度入試から社会が75点に減り、情報が25点加わりました、二次試験の合格者平均得点率が70%程度ですが、言うまでもなく難度の高い問題での得点率になりますので難関です。
推薦入試5名程度は全国の高等学校を卒業した学生を選抜します。1浪まで受験対象に入ります。
但し、評定はA評価(評定数値4.3以上)が必要になります。なお、1校につき2名以内の縛りがあります。
▶分析に基づく予想
大阪大学医学部は、西日本で国内最高峰の医学部の一角であります。重厚な思考力、分析力が必要であることはいうまでもない。
推薦入試では将来グローバルな視点で活躍し、医学研究を志す者を求めている点がポイントであります。
推薦入試での合格者は2022年度3名 2023年度3名 2024年度6名であり、大学側が設定した基準をクリアしない場合は定員に満たなくても取らないことが特徴的であります。
大阪公立大学(偏差値予想ランキング:50大学中11位)
▶概要
大阪公立大学医学部(旧:大阪市立大学医学部)も、関西の都市圏に位置する最難関医学部の一つです。この2年ほど合格倍率が2022年度3.1倍、 2023年度2.7倍 と安定しております。
大阪公立大学医学部については、大阪府による授業料無償化支援制度により、倍率、人気が急騰することが考えられます。学生及び生計維持者(原則父母のどちらかが)3年以上、大阪府内に在住しており、住民票で証明できれば、この要件に該当する関係で大阪府内に住居を持ちながら、関西圏の進学校に通学する方も対象となり得ます。
また、大阪市立大学時代の2020年までは問題が標準的でしたが、2021年度からは入試問題の難度が上昇し、2023年度からは更に難化傾向が進みました。
2024年度入試では二次試験の合格者平均得点率が68.0%程度であります。
共通テストの国語と社会の配点が低いのも大阪公立大学医学部の特徴であります。
▶分析に基づく予想
大阪公立大学医学部の難易度ですが、大都市大阪市に立地する公立大学で授業料無償化により人気が更に上昇することは十二分に予想されます。一方で5位以上の大学との壁が厚いので2025年度の予想ランキングは横ばいでしょう。近年、入試問題も難化傾向にあるので、重厚な論理力、思考力が試される問題も日ごろから解いていきたいです。
●神戸大学(偏差値予想ランキング:50大学中12位)
▶概要
神戸大学医学部は、西日本でも人気の医学部で、12位という高いランキングに位置しています。
この3年ほど合格倍率が2022年度2.4倍、 2023年度2.5倍 2024年度は2.7倍と非常に安定しております。
また、二次試験の合格者平均点も共通テストの平均点が低かった2022年度も非常に安定しております。
また、全国から現役高3生を選抜する総合型選抜10名、 兵庫県内に在住か兵庫県内の高校に通う現役高3生のみ出願資格がある学校推薦型選抜(地域特別枠)が一般入試以外にもあります。
▶分析に基づく予想
神戸大学医学部は、数年前の大阪校公立大学同様、共通テスト高得点、二次試験高得点が要求される典型的な例といえましょう。
また、受験層も関西の名門高校トップ層が中心なので、大阪公立大学同様、偏差値ランキングが変動する可能性は薄いでしょう。正確性、確実性を重視する大学といえましょう。
奈良県立医科大学後期(偏差値予想ランキング:50大学中5位(ただし後期試験))
▶概要
奈良県立医科大学は後期試験でのランキングとしております。
2024年度入試で追加募集が出て揺れ動いており、後期日程で述べたいと思います。
合格倍率を検証すると、2020年度以降、二段階選抜実施倍率を気にしなくてはなりません。14倍で移行しておりますが
2024年度入試では二段階選抜が実施されませんでしたが、2023年度では254名、2022年度では568名が二段階選抜で不合格になっております。2025年度入試でも二段階選抜を実施する可能性は低いと思いますが、目が離せません。
また、2024年度入試では追加募集をかけて追加合格者が8名出た点が特徴です。
▶分析に基づく予想
奈良県立医科大学の後期試験は、京都大、大阪大、神戸大を一般前期試験において僅差で不合格となった受験生の仕切り直しの様相を呈している後期入試で、優秀な受験生が集まってきます。
問題の何度も非常に高く、かつ求められるスコアも高い難易度の高い入試であります。標準問題を正確に解けるだけではなく、重厚な論理的思考力、計算力、論述力の養成がキーとなります。
京都府立医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中15位)
▶概要
京都府立医科大学は、設立年度が古く伝統のある医学部で、京都市内の好立地もあいまって、やはり人気があり、15位にランクインしています。
2023年度入試は二段階選抜が52名の不合格者が出ましたが、2024年度入試では二段階選抜での不合格者は0でした。
合格者平均得点率が84.1% 合格者二次試験平均得点率も61.3%と受験者レベルが高い割に低いことから難度の高い入試が実施されていることが分かります。京都府立医科大学というと確かに二次試験の難度が圧倒的に高いイメージがあります。しかし、共通テスト合格者平均点もかなり高く、一次試験二次試験比率も極端に偏っていないことから一次試験と二次試験をバランスよく得点することが合格する上での早道であるといえます。
▶分析に基づく予想
京都府立医科大学は二次試験の問題が高いことが有名ですが、解くべき問題の取捨選択、解いた問題を確実に点数にすること。理科で点数をしっかりと取り切ることが大切です。共通テストのスコアもすごく大切です。2024年度は二段階選抜は実施されませんでしたが、共通テストのスコアが奮わず、二次試験で逆転を目論んでも二段階選抜で不合格になることがあるので、要注意です。
滋賀医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中23位)
▶概要
滋賀医科大学のランキングは、全国の中堅程度の23位です。関西圏にあるとはいえ、比較的狙いやすい国公立医学部といえます。
共通テスト初年度の2022年度に160名強の二段階選抜が実施されました。しかし、2023年度、2024年度ともに二段階選抜は実施されていません。また、滋賀医科大学は共通テストの国語配点が200点あり、他教科の2倍ある点が特徴であります。また、社会の配点も100点あり、理科の配点と同じで相対的に高くなっております。国語の配点が2倍になるのは香川大学、島根大学も同様であります。
▶分析に基づく予想
滋賀医科大学の入試は、一次試験と二次試験の比率が一対一であり、共通テストの合格者平均点も81.6%、二次試験合格者平均得点率も59%代なので、特別な能力を要する受験生以外は共通テストで80%は死守して、解ける問題は失点することなく、確実に得点するのが最も合格しやすいです。単科医大の合格の仕方に共通している特徴です。
和歌山県立医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中34位)
▶概要
和歌山県立医科大学は全国偏差値ランキング34位で、まず関西に残りたいという国公立受験生が狙いたい医学部の一つです。とはいえ、地元の有名進学校である智弁和歌山などの優秀な受験生が集まってくるためあなどれません。
例年、3.4倍 630点/900点で二段階選抜を実施します。2024年度入試では63名が二段階選抜試験で不合格になっております。和歌山県立大学は2024年度入試においては全国公立大学医学部で二次試験の合格者平均点が最も低いです(メルリックス学院調)。一方、合格者の共通テスト平均得点率は80%を超えているので、共通テストでしっかりと得点しておきたいところであります。
▶分析に基づく予想
和歌山県立医科大学の入試では、和歌山県医療事情に合わせて入学者を選抜する意図が色濃く出ております。一般前期の募集枠が64名と少ないことも視野に入れておくべきです。この特徴は地域枠で入学者を確保しなくてはならない地方国公立大学の特徴です。
二次試験の問題の難度は高いですが、合格のためにそこまでのスコアを求められてないので、標準問題を確実にする力と高度な論理力を要する問題にもある程度対応できるまでの力を養成されておくべきでしょう。
中部地方の国公立医学部(東海・北陸)
名古屋大学(偏差値予想ランキング:50大学中6位)
▶概要
名古屋大学医学部は、偏差値ランキングが6位で、中部地方では最高峰、全国でも最上位の医学部の1つです。
一般選抜の募集人員が85名(うち地域枠5名)、一般後期5名 推薦入試は12名の定員で募集しております。
二段階選抜が(650/950)で実施されております。一般後期は12倍。2023年度11名 2023年度12名が二段階選抜で不合格になっております。(一般、地域枠あわせて)
一次、二次比率は950対1800で二次重視です。2024年度入試より二次試験の国語が廃止されて配点が変更になりました。
推薦入試定員12名は全国の高等学校卒業見込みの現役生が対象です。各高等学校1名の縛りがあります。
但し、評定はA評価(評定数値4.3以上)が必要になります。
▶分析に基づく予想
名古屋大学医学部は、中部地方をふくめた西日本全体でも最難関の医学部の一角であります。重厚な思考力、分析力が必要であることはいうまでもありません。
二次試験も2024年度入試では合格者平均点が75%を超えて難度が高い問題中心の中、ハイスコアが求められます。
推薦入試の要項に「医学研究者への志向性を持ち、例えば本学のMD・PhDコースへの進学を希望するような人材」との表記から。医学研究志向の人材を求めていることが分かります。MD・PhDコースとは4年次以降を修了した後に用意されている「研究者養成コース」を指します。京都大学医学部、大阪大学医学部の特色入試、推薦入試と異なり、名古屋大学医学部の場合は定員を充足させている点が特徴であります。
名古屋市立大学(偏差値予想ランキング:50大学中 17位)
▶概要
名古屋市立大学医学部は、17位で、比較的難易度の高い国公立医学部で、中部地方では名古屋大学医学部に次ぐ難易度えす。
二段階選抜の設定ラインが3倍かつ440/600に設定されていることから注意を要します。毎年、10名前後の二段階選抜不合格者が出ている点も見逃せません。加えて物理選択者しか受験資格がない点も特徴であります。また、中部圏活躍型入試、高大接続型入試、地域枠入試で37名募集しますので気に留めておきたい点です。中部活躍型入試は中部に居住地や通学高校がなくても、中部で医師として活躍する意思さえあれば受験資格が得られます。しかも評定平均は関係ありません。
▶分析に基づく予想
名古屋市立大学医学部は、名古屋大学を第一志望していた受験生が次の候補として想定する志望先として筆頭格ですので、偏差値ランキングは高いです。
旧帝大医学部に準じる共通テスト得点率、二次力を要求される。一般入試における旧帝大医学部受験層からの流入を考慮に入れると受験資格が得られる受験生にとっては中部圏活躍型、高大接続、地域枠の方が合格確率は上がるという見方は十分できよう。
岐阜大学(偏差値予想ランキング:50大学中 26位)
▶概要
岐阜大学医学部は、全国偏差値ランキング26位と、中堅の難易度の医学部です。
2024年度の入試から二段階選抜の倍率をこれまでの9倍から3倍に下げました。皮肉にも志願者数が103名増えて二段階選抜不合格者も100名近く出しました。また、一般枠が27名、地域枠が28名の募集定員を掲げているので一般募集の定員が55名と東海圏の国公立大学医学部で最も一般入試前期日程の定員が少なくなっています。
試験問題の特徴編で話題にしますが、英語の問題が超長文で速読力を要し、理科の問題も論述が中心ですので
読解力、記述力に特に長けている受験生に有利であります。
▶分析に基づく予想
岐阜大学医学部は、地方国公立大学の中では偏差値ランキングが上位になります。名古屋市近郊ということと、定員が少ないのと問題が超長文、論述問題が主であることが起因しております。
三重大学(偏差値予想ランキング:50大学中 28位)
▶概要
三重大学医学部は、岐阜大学医学部と同程度の28位で、中堅どころの難易度といえる国公立医学部です。
岐阜大学が二段階選抜実施ラインを2024年度入試から9倍から3倍に下げたことにより、二段階選抜予告ラインが5倍である三重大学に出願が集中し、224名の不合格者が出ました。2024年度入試においてはその影響もあり、共通テストの合格者平均点も地方国公立大学の中では高い順位に位置します。推薦枠も40名募集しており、地域枠を充実させている大学の一つであります。特に地元の受験生は地域枠でまずは考えられるのも一つの手法であります。
▶分析に基づく予想
三重大学医学部の2025年度入試は隔年現象により、2023年度ないし2022年度入試のように350名から400名前後の志願者数に戻るでしょう。数学の一部のみが医学部固有問題でそれ以外が他学部共通問題であります。問題の難度も標準程度の中、二次試験の合格者得点率が74.6%は決して高くありません。2025年度入試では以上の経緯もあり、偏差値ランキングが若干、下がる可能性が高いです。
浜松医科大学(偏差値予想ランキング:50大学中 22位)
▶概要
浜松医科大学は、東海地方では、名古屋市立大学に次ぐ順位の22位で、中堅とはいえ、難易度の高い医学部です。
2022年度入試から2024年度入試まで242名、2023年度入試458名、2024年度入試は307名と隔年現象が生じております。2025年度入試は2023年度近くまで志願者が増えることも予想されるので、二段階選抜(4倍)は意識することが必要であります。
また、単科医大の中では奈良県立医大(後期)を除くと二次比率が最も高い大学なので、共通テストを失敗しても
二段階選抜をクリアできる範囲内であれば逆転合格を狙える大学であります。
▶分析に基づく予想
浜松医科大学の入試については、上記の分析からすると2025年度入試では偏差値予想ランキングが上昇する可能性もあります。
入試問題編でも解説しますが、単科医大では二次試験合格者平均点が高いので、理科の問題が標準問題中心になっていることが影響しております。東西に大きな面積をもつ静岡県内唯一の医学部であり、静岡大学との合併問題で揺れている医学部でもあります。
金沢大学(偏差値予想ランキング:50大学中 20位)
▶概要
金沢大学医学部は、伝統ある「旧六医大」の一つであり、偏差値ランキングも20位と、北陸地方随一の高さを誇っています。
一般入試募集人員も80名と地方に立地する大学の割には一般入試定員が多いです。
二段階選抜は2023年度に39名の不合格者を出した程度です。
最大の変化は一次、二次比率も950:2100になり、2025年度入試より配点が変更になっております。より二次試験重視の傾向に移行しました。
▶分析に基づく予想
金沢大学医学部は、2025年度入試より二次試験重視化が強まったので二次試験で逆転を考える志願者が今までより集中する可能性があります。その場合、偏差値ランキング上昇の可能性もあります。2024年度入試までは他学部と共通問題であったため、旧六医大の中では二次試験の平均合格得点率が高かったです。2025年度入試から配点を大きく変えたので、入試問題の傾向も変えてくる可能性は高いと思われます。
富山大学(偏差値予想ランキング:50大学中 35位)
▶概要
富山大学医学部は、偏差値ランキング35位と、比較的狙いやすい医学部の一つです。
一般入試募集人員も70名と地方に立地する大学の割には一般入試定員が多いです。二段階選抜は2023年度に70名の不合格者を出しており、隔年現象も十分に予想されます。
一次、二次比率は1000対700で一次重視ですが、二次試験の合格者平均得点率が60%程度ですので、二次試験の難度も高めであります。
▶分析に基づく予想
富山大学医学部の2025年度入試は隔年現象で志願者倍率が上がった場合、偏差値ランキングが上昇する可能性も十分秘めております。
問題の難度が特別高くなく、合格者二次平均得点率も低いので、二次試験の出来次第では逆転合格も狙いやすい大学の一つであります。入試問題編でも触れますが、英語の問題分量が非常に多く、自由英作文も250字のものが出されるので、英語を得点源にされている受験生の方が有利です。
福井大学(偏差値予想ランキング:50大学中 36位)
▶概要
福井大学医学部は、富山大学医学部と同程度の36位。
一般入試募集人員も80名でありますが、前期入試(55名)と後期入試(25名)に分けて選抜します。
二段階選抜は前期入試が5倍で後期入試では7倍で実施されます。共通テストが大荒れだった2022年度に95名の不合格者が出ました。
福井大学医学部の場合、二次試験において物理以外は医学部固有問題で実施されますが、物理の問題も難度が高いです。
単科医大レベルの二次対策演習をこなしておきたいところです。二次試験の合格者平均得点率も60%を切っており、和歌山県立医大、旭川医科に次ぐ二次合格者平均点の低さであります。
▶分析に基づく予想
問題の難度は高いですが、難度の変化が偏差値ランキングにはさほど影響しないと思われます。
2022年度入試でも鮮明になりましたが、共通テストが荒れた場合、志願者が急増する可能性は秘めております。
特に医学部固有問題で二次試験をする関係で、二次での逆転合格をイメージしやすい点が挙げられますが、
実際の合格者に関しては一次合格者平均得点率が81%を超えており、二次比率が高くないので共通テストでしっかりと得点しておきたいところであります。
国公立大学医学部 共通テスト比率ランキング(昇順)
※ 奈良県立医科大学は後期試験の指標で組み入れています。
※ 山梨大学医学部後期日程の偏差値は入れていません。
西日本の国公立医学部全体の傾向(詳論)
二次試験の配点割合の高さ
二次比率の高さも、西日本の国公立医学部の重要な特徴です。それについて触れておきたいと思います。
二次比率とは、二次試験の配点割合、すなわち、共通テストと二次試験の配点の合計点数に占める、二次試験の配点の割合です。二次試験の比重の高さと言い換えることもできます。
国公立大学医学部では、二次比率が一次比率より高い大学が32大学あります。
その中で西日本の割合が23大学になります。西日本占有率:65.6%にのぼります。
また、二次試験の合格者平均得点率が70%未満の大学が、京都大学、京都府立大学、大阪公立大学、奈良県立大学(後期日程)、浜松医科大学、名古屋市立大学、滋賀医科大学、広島大学、福井大学、富山大学、高知大学、宮崎大学の合計13大学に上ります。
東日本は6大学(東京大学、東京科学大学、新潟大学、群馬大学、札幌医科大学、旭川医科大学)なので2倍に上ります。二次試験の難度が高い大学の割合は大学数を比べてもほぼ同程度の割合といえます。
二段階選抜の実施予定倍率について
二段階選抜の実施予定倍率(=二段階選抜実施倍率)とは、いわゆる足切り実施のための予定倍率のことです。すなわち、共通テストで一定の点数に満たない受験者を、二次試験の得点にかかわらず不合格とする予定がある場合に、最低どのくらいの志願者倍率に達した場合に実施するか、というその倍率のことを意味します。
二段階選抜実施倍率が高い上位20大学の割合も20大学中16大学が西日本に存在する大学であります。加えて緑線のかかった隔年現象を起こしている大学も全て西日本の国公立大学医学部であります。「二段階選抜実施倍率が高い」「隔年現象」も西日本の国公立大学医学部に特徴のある現象であることが分かります。
二段階選抜の実施予定倍率(倍率が高い順ランキング)
まとめ
今回は、西日本にある国公立医学部のうち、関西地方、東海地方、北陸地方にある大学について、各大学ごとの入試難易度を分析してきました。
入試難易度は偏差値ランキングとして表記されますが、これらを決める要因は複雑に関わっています。しかも、当日の入試倍率が実際のランキングを変更する大きな要素となります。したがって、ランキングの低い大学でも難易度が急に上がることがありますし、ランキングの高い大学でも比較的狙い目となることが、可能性として十分にあります。
このブログを読まれた受験生は、志望校の過去問をよく検討し、自分の得意科目や分野や問題形式や難易度に志望校が適合しているかどうかに注意して、慎重に受験する国公立医学部を決定してください。
共通テストも近いなか、このブログの分析が、国公立医学部を受験される皆様の一助となることを願ってなりません。がんばってください!
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