2025年度入試 国公立大学医学部前期日程偏差値予想ランキング(総合編)
皆さん、こんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤正憲です。
今回から国公立大学医学部前期偏差値予想ランキングを①総合編、②旧帝大、旧六医大、単科医大 大都市圏周辺難関国公立 ③地方国公立大に分けて取り上げていきたいと思います。
国公立医学部合格に照準を定め、二次対策を中心に学習を進められている方、共通テストにモードを切り替えられている方、様々だと思います。前回まで連載しておりました「2025年度私立大学医学部偏差値予想ランキング」(東日本編) (西日本編)が大変ご好評でしたので、今回より国公立医学部の偏差値ランキングの分析に入らせていただきます。
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目次[非表示]
- 1.各国公立医学部の偏差値の根拠について
- 2.総論(国公立医学部偏差値は何で決まるか)
- 2.1.入試倍率
- 2.2.二次試験比率との関係
- 3.立地や沿革・歴史と偏差値ランキング
- 3.1.旧帝国大学医学部
- 3.2.旧六医大
- 3.3.単科医大
- 3.4.大都市周辺部国公立大学医学部
- 3.5.地方国公立大学医学部
- 4.国公立医学部の二段階選抜倍率との関係(足切り予告倍率)
- 5.国公立医学部偏差値ランキングまとめ
- 6.2025年度国公立医学部【前期日程】入試難易度予想ランキング
- 7.☆佐藤代表の著書が全国有名書店で発売中☆
各国公立医学部の偏差値の根拠について
国公立医学部の偏差値の根拠としましては、河合塾が発表している偏差値指標を参考にさせていただきました。
ただし、メルリックス学院生の合否状況から修正の必要な医学部偏差値については、医学部専門予備校独自の分析にもとづき河合塾からの指標から修正しております。
さらに、二次試験の偏差値が同一レベル帯の医学部につきましては、共通テスト合格者平均得点率の順番にランキングを並べております。これについても、一部、二次試験の難易度、倍率等も考慮してメルリックス学院の判断で入れ替えをしている部分もありますので、お含みおきください。
総論(国公立医学部偏差値は何で決まるか)
国公立大学医学部偏差値に及ぼす要因としては以下のものが挙げられます。
①入試倍率 ②二段階選抜実施予告 ③入試問題の難易度、科目数 ④隔年現象 ⑤立地
以上の点について、一つずつ詳細に考察していこうと思います。
入試倍率
2024年度入試の倍率が低い順のベスト25位の中に、偏差値65.0以上の国公立大学医学部が18大学含まれております。(占有率72%)
つまり、上位の大学ほど倍率が低く、少数精鋭の中で選抜がされる傾向にあります。
以下の表が、それを示したものです。
国公立大学医学部前期日程倍率推移
(単位:倍)
2024年度国公立医学部前期日程でもっとも入試倍率が低かったのは徳島大学医学部で、1.6倍でした。2位が鳥取大学医学部の1.9倍、3位が九州大学医学部の2.2倍です。逆に、もっとも入試倍率が高かったのは、弘前大学医学部で6.5倍でした。
さらに、入試倍率は、前年度の倍率が高ければ低くなり、低ければ高くなる、という傾向をもつことがあります。このように、1年置きに増えたり減ったりを繰り返している大学=隔年現象が顕著な大学として見ると、鳥取大学医学部、山口大学医学部、徳島大学医学部、富山大学医学部、そして、福井大学医学部の5大学があげられます。
隔年現象を起こしている大学をみると地区では難易度が低い方である大学が多く、前年度の倍率をみて出願するケースが多いです。一方、前年度の倍率が高いケースでは二段階選抜で不合格になるのを恐れる意味で出願を敬遠することもあります。共通テストで思うように得点できなかった層がどこに出願するかで倍率が影響しているともいえます。
二次試験比率との関係
二次試験比率とは、一次試験(共通テスト)と二次試験の合計点数に占める、二次試験の割合です。偏差値予想ランキング上位20大学は、全て二次比率の方が高いです。(占有率:100%)
一方、偏差値予想ランキング下位の22大学に関しては、二次比率の高い大学は5大学に留まります。(占有率:22.7%)
また、二次試験が英語、数学の二科目のみの実施である大学(旭川医科大学、秋田大学、徳島大学、島根大学)は偏差値ランキングが下位にとどまっています。
以上のことから、国公立医学部偏差値予想ランキング上位の大学の特徴としては二次比率が高く、かつ二次試験教科が4科目ある大学といえます。
立地や沿革・歴史と偏差値ランキング
東京都と政令指定都市20都市を入れた21都市に所在する大学とそれ以外の都市に存在する大学かで偏差値ランキングがどのように影響するか見てみたいと思います。
偏差値ランキング上位20大学で政令指定都市及び東京都に属す割合 16大学(占有率:80%)
偏差値ランキング下位20大学で政令指定都市及び東京都に属す割合 18大学(占有率:90%)
以前、私立大学医学部偏差値ランキングでも取り上げた通り、国公立大学医学部でも立地と偏差値予想ランキングは大きく相関関係があるといえましょう。
旧帝国大学医学部
旧帝国大学医学部とは、東京大学医学部、京都大学医学部、大阪大学医学部、名古屋大学医学部、東北大学医学部、九州大学医学部、北海道大学医学部の7大学です。
旧帝国大学医学部に関しては東大(1位)、京大(2位)が偏差値:72.5 大阪大学(3位)が70.0 名古屋大学、九州大学、東北大学(偏差値:67.5 6位、7位、8位)であります。一方、少し離れて北海道大学(偏差値:65 16位)であります。
北海道大学以外はベスト10に入っている状況です。
旧帝国大学に関しては偏差値予想ランキング上も所定の位置を確立しており、変動はほぼないと言ってよいでしょう。
●合格者二次平均合格者得点率
旧帝国大学医学部の平均二次得点率をみてみます。
80%以上 |
1大学 |
---|---|
75~80%未満 |
3大学 |
70~75%未満 |
1大学 |
65~70%未満 |
2大学 |
こういった分布になっております。
難度の高い問題を上記の得点率を取らなければ合格できない最難関の証です。
旧六医大
旧六医大とは、明治初期に開設された医学校を沿革とする医学部で、旧帝国大学医学部の次に歴史がある国公立医学部です。
千葉大学医学部、金沢大学医学部、新潟大学医学部、岡山大学医学部、長崎大学医学部、熊本大学医学部の6大学があります。歴史と伝統は、医学部偏差値ランキングに影響を及ぼす要因であると考えられます。
旧六医大の偏差値に関しては、千葉大学医学部(偏差値:67.5 9位) 岡山大学医学部(偏差値67.5 14位) 金沢大学医学部(偏差値65.0 20位) 新潟大学医学部(偏差値65.0 21位) 長崎大学医学部(偏差値62.5 24位) 熊本大学医学部(偏差値62.5 31位)となっていて、偏差値帯でいえば、67.5に2大学、偏差値帯65.0に2大学、偏差値帯62.5に2大学と、きれいに分散されました。
長崎大学、熊本大学は他の旧六医大に比べて志願者数が大きく変動している点が特徴であり、長崎大学医学部は2024年度入試において二段階選抜を実施した結果、207名が不合格になりました。
一方、熊本大学医学部に関しても二段階選抜が実施されて77名が不合格になりました。2025年度入試においては隔年現象により、入試倍率が2023年度並みになり、出願が敬遠される予想がされます。それにより、偏差値帯も62.5のゾーンに来ると予想されます。
一方、他の4大学は過去3年のデータを見ても安定しており、大きな変動はないと思われます。
●合格者二次平均得点率
旧六医大の合格者二次平均得点率をみてみます。
80%以上 |
1大学 |
---|---|
75~80%未満 |
1大学 |
70~75%未満 |
3大学 |
65~70%未満 |
1大学 |
こういった分布になっております。
単科医大
単科医大とは、総合大学のように、多種多様の学部をもたず、医学部のみの大学、あるいは、医学部系の学部を中心とした単科の大学のことです。
単科医大の偏差値に関しては、奈良県立医大後期(偏差値:70.0 5位) 京都府立医大(偏差値67.5 15位) 浜松医科大学(偏差値65.0 22位) 滋賀医科大学(偏差値65.0 23位) 福島県立医科大学(偏差値62.5 33位) 和歌山県立医科大学(偏差値62.5 34位) 札幌医科大学(偏差値62.5 37位) 旭川医科大学(偏差値62.5 46位)と上から下まできれいに分布している印象です。
奈良県立医科(後期)に関しては14倍の2段階選抜があります。また、8名の追加合格者が出されている点が特徴です。
京都府立医大は2022年度と2023年度に二段階選抜が実施され、2023年度は50名の二段階選抜での不合格者が出ました。その影響で2024年度入試では志願者数が289名と落ち着きました。入試問題の難度も高く、合格する受験生の層は安定している感があります。偏差値帯としても大きな変動はないでしょう。
このように単科医大に関しては問題の難度が高いことから共通テスト失敗の挽回を狙って出願するケースが多いですが、2024年度入試において公表されている限りでは札幌医科大学、京都府立医科大学、滋賀医科大学を除いて二段階選抜が実施されました。特に共通テストが奮わなかった方は二段階選抜を意識する必要があります。
●単科医大の合格者二次平均得点率
65~70%未満 |
1大学 |
---|---|
60~65%未満 |
3大学 |
60%未満 |
3大学 |
単科医大に関しては問題の難度が高く、合格者二次平均得点率が他のゾーンの大学に比べて圧倒的に低いのが一目瞭然です。
大都市周辺部国公立大学医学部
首都圏、関西圏などに所在する人気の医学部について見て参ります。
東京科学大学、横浜市立大学、名古屋市立大学、大阪公立大学、神戸大学、広島大学の6大学について考察したいと思います。
立地の項目でも触れた通り、受験生の都市型思考により、上記の6大学は偏差値予想ランキング上位20位以内(偏差値70 1大学 偏差値67.5 3大学 偏差値65.0 2大学)に全て入っております。
また、志願者の大幅な増減が旧帝大同様、少ないのも「大都市周辺部国公立大学医学部」の特徴であります。
旧帝大志望者が志望を下げる一番手が「大都市周辺部国公立大学医学部」か旧六医大になるので、受験者レベルがハイレベルにならざるを得ません。
神戸大学医学部、広島大学医学部以外の大学については、志願者数は多くはないですが、それでも、二段階選抜が実施されております。
なお、広島大学医学部は2022年度入試までは二段階選抜予告倍率を7倍にしておりましたが、2023年度入試より現行の5倍にしております。
したがって、共通テストが予定より大幅に下回った場合は二段階選抜を意識する必要があります。
このあたりの大学は受験層のレベルが安定しており、偏差値予想ランキングで大きな変動はなさそうであります。
2024年度入試においては横浜市立大学医学部が4名 名古屋市立大学医学部で1名 神戸大学医学部で1名の追加合格者が出たことも特筆すべき点です。
●「大都市周辺部国公立大学医学部」の合格者二次平均得点率
「大都市周辺部国公立大学医学部」の合格者平均二次得点率の割合をみてみます。
80%以上 |
1大学 |
---|---|
75~80%未満 |
0大学 |
70~75%未満 |
1大学 |
65~70%未満 |
4大学 |
旧帝大に準じた難度の問題について、旧帝大に準じた得点率を獲得せねばならず、非常に難易度が高いです。旧六医大に匹敵するかそれ以上の難易度の大学群であるといえます。
地方国公立大学医学部
●地方国公立大学のランキング
偏差値予想ランキング上位20大学の中に含まれる「地方国公立医学部」は筑波大学医学群のみで、これも首都圏に入ると考えれば大都市医学部に分類されます。
25位以降に初めて、信州大学医学部、岐阜大学医学部と入ってきます。
逆に倍率は地方国公立大学の方が総じて高いです。
上位20大学の中で12大学が占めております(占有率60%)
●地方国公立大学医学部の二段階選抜予告倍率
受験機会を与える意味で地方国公立大学22大学中14大学の二段階選抜が5倍以上であります。旧帝大において5倍以上は皆無。旧六医大では1大学(長崎大学) 単科医大では1大学(札幌医科大学)のみ。「大都市周辺部国公立大学医学部」では1大学のみ(広島大学)となっております。
地方国公立大学医学部の特徴として、概して倍率が高く、二段階選抜倍率も高めに設定されている傾向にあるということがいえましょう。
●地方国公立大学医学部の隔年現象
次に医学部でよく出てくる隔年現象についても触れたいと思います。先の二段階予告選抜の箇所でも触れましたが、この3年間のデータで隔年現象を起こしている大学も地方国公立大学5大学であります。
●共通テスト 二次比率
加えて二次比率が高い地方国公立大学は22大学中7大学のみであり(筑波大学医学類、信州大学、岐阜大学、三重大学、鹿児島大学、高知大学、大分大学)です。共通テスト、二次比率が同一なのは群馬大学、香川大学の2校です。
地方国公立大学は共通テストが重視されます。
●合格者二次得点率
地方国公立大学医学部の合格者平均二次得点率の割合をみてみます。
80%以上 |
2大学 |
---|---|
75~80%未満 |
5大学 |
70~75%未満 |
7大学 |
65~70%未満 |
5大学 |
60~65%未満 |
1大学 |
60%未満 |
1大学 |
の分布になっており、幅広い層で均等に分布しているイメージです。
国公立医学部の二段階選抜倍率との関係(足切り予告倍率)
二段階選抜実施倍率が高くなると当然、入試倍率も高くなる傾向にあります。二段階選抜実施倍率が5倍以上の大学が17大学ある中で偏差値62.5の大学(主に地方国公立大学医学部)の占める割合が11大学で占有割合が64.7% 約2/3になります。
岐阜大学医学部前期日程入試が2023年度では二段階選抜実施が9倍で入試倍率が7.8倍でありました。
2024年度入試から二段階選抜実施を3倍にしたところ入試倍率が2.3倍になりました。また、岡山大学医学部が2022年度入試において二段階選抜で157名の不合格者を出したところ2023年度入試から志願者数が半減しました。二段階選抜の実施倍率と入試倍率の密接性が非常に濃いことの証左となっております。
国公立医学部偏差値ランキングまとめ
以上、今回は国公立医学部の偏差値ランキングについて見てまいりました。
国公立医学部は、私立医学部と違い、共通テストと二次試験があり、それぞれの占める割合によって偏差値に影響があります。
また、国公立医学部は、私立医学部に比べて、各都道府県ごとに全国的に所在しているため、その立地が与える影響が、私立医学部よりも複雑です。たとえば、首都圏の受験生にとって、地方の国公立医学部は遠隔地ですが、その医学部が所在する地元の受験生にとって最寄の医学部となり、人気があります。
さらに、二段階選抜を実施する可能性も、入試倍率や入試難易度ランキングに影響を与えます。
これらの、入試倍率や問題難易度も毎年少しずつ傾向が変わるので、ランキングの順位にこだわりすぎず、自分の学習状況や住所や将来のキャリアプランを見据えて、出願大学をプランニングしていきましょう。
受験生の個性や成績や学習状況に応じた出願プランのご相談は、お気軽に、私、佐藤まで、あるいは、各校舎、や情報センターまでご相談ください。
これらの国公立医学部受験情報がみなさまの出願校選択の一助となり、自分にあった医学部に進学されるお助けとなればさいわいです。
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