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【2001と2024を比較】私立大学医学部入試難易度ランキング

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


前回の記事【私立大学医学部入試難易度ランキング】は多くの方に読んでいただくことができました。それだけ入試難易度(偏差値)に興味を持っていらっしゃる方が多いのことを改めて感じました。今回の記事では今から約四半世紀前となる2001年度の入試難易度ランキングと今を比較します。



目次[非表示]

  1. 1.私立大学医学部入試難易度ランキングを比較
  2. 2.23年前は「御三家」がまだ御三家ではない
  3. 3.学費(6年間学納金)ランキング
  4. 4.東京慈恵会医科大学の一次試験日は2月25日だった
  5. 5.数IIIや面接がない私立医学部も
  6. 6.ランキングに見る「暗黙の序列」

私立大学医学部入試難易度ランキングを比較

【私立医歯学部受験攻略ガイド】が初めて発行されたのは2020年10月のことです。2021年度版として発行されたその本に掲載された入試難易度ランキングと、最新の2024年度版の偏差値を比較すると以下のようになります。



大学名

2001

2024
1位

慶應義塾大学

71.3
72.5
2位
自治医科大学
67.3
68.5
3位
日本医科大学
66.6
69.0
4位
大阪医科大学
(現・大阪医科薬科大学)
66.5
68.5
5位
産業医科大学
66.3
67.5
6位
昭和大学
65.7
66.5
6位
関西医科大学
65.7
68.5
8位

東京慈恵会医科大学

65.4
70.0
9位

順天堂大学

64.7
69.0
10位
東海大学
64.4
64.0
10位
近畿大学
64.4
64.5
12位
杏林大学
63.8
64.0
13位
北里大学
63.7
63.5
14位
東京医科大学
63.6
66.5
15位
福岡大学
63.5
63.5
16位
兵庫医科大学
63.4
64.5
17位
日本大学
63.3
65.0
17位
久留米大学
63.3
63.0
19位
東邦大学
63.2
66.0
20位
岩手医科大学
63.1
63.5
21位
愛知医科大学
62.4
64.0
22位
藤田保健衛生大学
(現・藤田医科大学)
62.1
65.5
23位
東京女子医科大学
61.6
62.0
23位
金沢医科大学
61.6
63.0
25位
聖マリアンナ医科大学
60.8
63.5
26位
帝京大学
60.7
64.0
27位
川崎医科大学
60.6
62.0
28位
埼玉医科大学
59.2
63.0
29位
獨協医科大学
58.9
62.5

東北医科薬科大学​​​​​

(A方式)

68.5
国際医療福祉大学
68.5

東北医科薬科大学

(B方式)

65.5

東北医科薬科大学
(一般)

64.0


23年前は「御三家」がまだ御三家ではない

2001年度版の製作時は初年度で実際の生徒データが少なかったこともあり、偏差値を現在のような0.5刻みではなく、0.1単位でできるだけ正確に算出しようとしていることがうかがえます。ちなみに翌年の2002年度版から、現在の0.5刻みの入試難易度ランキングになっています。


23年前のランキングを見ると、慶應義塾大学のトップは変わりませんが、いわゆる「御三家」と言われる私立医学部のうち東京慈恵会医科大学、また御三家に準ずるとされている順天堂大学のランキングがそれほど高くないことに気づきます。


また、東京医科大学より杏林大学や北里大学の方が上に位置しているなど、今よりも「旧設/新設」という区分が力を持っていた時代にも関わらず、旧設だから難しいと一概には言えないことがわかります。


ちなみにこの時代は、1972年前後に設立された新設医大ができてちょうど30年ぐらい経った頃です。【自校出身教授占有率】を算出してみると、新設医大は軒並み5%以下という時代でもありました。


学費(6年間学納金)ランキング

この時代の6年間学納金一覧を見てみましょう。


大学名

学費(円)

1位
産業医科大学
18,605,400
2位
慶應義塾大学
19,315,180
3位
東京慈恵会医科大学
22,500,000
4位
自治医科大学
(22,600,000)
5位
東京医科大学
26,880,150
6位
日本医科大学
29,000,000
7位
関西医科大学
30,140,000
8位
順天堂大学
30,504,150
9位
昭和大学
31,300,000
10位
大阪医科大学
31,325,000
11位
聖マリアンナ医科大学
31,400,000
12位
東京女子医科大学
32,074,000
13位
東邦大学
32,265,400
14位
久留米大学
32,378,000
15位
岩手医科大学
32,980,000
16位
日本大学
33,100,000
17位
杏林大学
33,351,400
18位
近畿大学
34,833,000
19位
福岡大学
37,125,260
20位
獨協医科大学
37,300,000
21位
藤田保健衛生大学
37,466,000
22位
愛知医科大学
38,000,000
23位
兵庫医科大学
38,400,000
24位
北里大学
39,428,000
25位
埼玉医科大学
40,175,000
26位
金沢医科大学
40,182,000
27位
川崎医科大学
41,005,000
28位
帝京大学
41,475,700
29位
東海大学
42,081,200

東京慈恵会医科大学の一次試験日は2月25日だった

昔から、私立医学部は学費と入試難易度が反比例している、つまり「学費が安い=入試難易度が高い」と言われてきましたが、こうして学費一覧を見ると、そこまで綺麗に反映されてもいないのが興味深いところです。

例えば、この当時から東京医科大学は6年間の学費が3,000万円を切っており、私立医学部の中では学費が安い方にも関わらず入試難易度はそれほどでもありません。逆に杏林大学や北里大学は学費が高くても、それなりの難易度を保っています。

東京慈恵会医科大学はこの23年間で学費の総額が変わっていませんが、2001年度の入試難易度ランキングが8位とそれほど高くないのには訳があります。この時代、東京慈恵会医科大学の一次試験日は2月25日、二次試験日は3月10日前後、つまり「国公立医学部との併願者が受験できない」入試日程でした。

現在の東京慈恵会医科大学からは隔世の感がありますが、総合格者も定員100人に対して100人ちょっと(2000年度入試の総合格者は103人)と、ほぼ入学辞退者がいない状況でした。よって、入試難易度(偏差値)としては強敵である国公立医学部志望者がいない受験ということで、今のような高い数値は出ていませんでした。

その後、東京慈恵会医科大学は前期と後期に分けて入試を行うようになり、2007年度からは入試を一本化して今に至ります。

数IIIや面接がない私立医学部も

また、23年前と今とでは入試形式がかなり異なります。まずこの時代は数IIIまで課していない私立医学部がかなりありました。数I・II・Aもしくは数I・II・A・Bと軽量級で受けられたのは岩手医科大学、自治医科大学、獨協医科大学、埼玉医科大学、帝京大学、金沢医科大学、愛知医科大学、近畿大学、兵庫医科大学の9校です。


さらに、聖マリアンナ医科大学は数III・B・Cという不思議な出題範囲で、数IIIの積分、数Cの行列が必ず出題されていました。なんとなくですが、当時の医学部受験生の間には「数III(または数C)まで課す大学は難しい大学だ」という意識があったように思います。


また、二次試験がない一発勝負の大学も珍しくありませんでした。岩手医科大学、帝京大学、東海大学、関西医科大学、近畿大学、久留米大学、福岡大学は一次試験のみで二次試験はなく、帝京大学を除いては面接もありませんでした。


私立医学部の中で埼玉医科大学だけが3月に一般入試を行っており(今で言う後期入試)孤高の存在でもありました。​​​​


ランキングに見る「暗黙の序列」

私立医学部の志願者数は2000年度から2018年度までずっと右肩上がりで増え続けてきました。2000年度初頭はもちろん「私立医学部入試=難しい」という図式はありましたが、今のように一次試験も二次試験もすべてが重量級というわけではなく、入試区分も推薦入試と一般入試の2つぐらいで、それほど複雑なものではありませんでした。


また、この時代はまだまだ「医師のご家庭」が私立医学部を目指す割合が高く、入試難易度ランキングにも「医師の中にある暗黙の序列」のようなものが反映されていると感じます。今では新設医大も設立から50年以上が経ち、自校出身の医学部長や学長も輩出され、以前のような学閥意識は薄れていますが、この時代はまだ「新設の◎◎医大は△△閥」といった意識はありました。


この頃は新臨床研修医制度も始まっておらず、医学部を卒業した後は自校の医局に残るのが普通という時代でもあり、「病院の格」のようなものも入試難易度に反映されていたような気がします。


現在の方が「学費」や「交通の便」ですっきりとランキングが分かれており、ある意味とてもわかりやすいと思います。それだけ私立医学部を受験する一般家庭の方々が増え、難易度も上がったことで、効率を重んじる合理的な受験生が増えたと感じています。


新課程移行の前年度である2024年度の私立医学部入試がどうなるか、注目です。


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鈴村
鈴村
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長

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