catch-img

「わかりやすい授業」は「いい授業」なのか?

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


以前、私のこれまでの経験から【医学部予備校と大手予備校の違い】についてお話ししました。今回はその続編として「いい授業とは何か」について述べたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.「わかりやすい先生がいい」というリクエスト
  2. 2.「わかりやすい授業」の罠
  3. 3.How(どのように)ではなくWhy(なぜ)を大切にする
  4. 4.「わかりやすい授業」ではなく「考えさせる授業」

「わかりやすい先生がいい」というリクエスト

メルリックスにお見えになる医学部受験生やその保護者の方に「講師のリクエストはありますか?」とうかがうと、かなりの割合で「わかりやすい先生がいいです」と言われます。


 
少人数制の医学部専門予備校にわかりにくい講師は滅多にいませんよ……と言いたいところですが、医学部受験生と保護者の方がおっしゃりたいのはそういうことではありません。
そういう言葉が出てくるということは、これまでに「わかりにくい先生」に当たったことがあるということを意味するからです。


 
なので、そう言われた時は「これまでに出会った先生の中で、どういう先生がわかりにくかったですか?」とうかがうことにしています。その答はそれぞれであり、それによって医学部受験生と保護者の見えないニーズを探り出すことができます。


「わかりやすい授業」の罠

そもそも「わかりやすい先生がいいです」というリクエストを多く聞くようになったのは、個別指導塾が小学生・中学生にも広がってきたあたりからです。
塾での個別指導は1人ないしは2人の生徒を1人の講師が担当するのが一般的であり、そこでの説明は当然ながらマンツーマンになるので、講師の説明がわかりにくければ、そこで授業がストップしてしまいます。


だから「わかりやすい先生がいい」というニーズが出てきたのは理解できます。


ただ、多くの医学部受験生をお預かりするうちに「わかりやすい先生」「わかりやすい授業」という表現には罠があるな、と思うようになりました。「◎◎先生の授業はどう?」「わかりやすいです!」というやり取りをしても、いっこうに成績が伸びないケースも見てきました。


当たり前のことですが、医学部専門予備校は生徒を医学部に合格させることが仕事です。授業に興味を持ってもらう、楽しく授業を受けてもらうことは喜ばしいことではありますが、あくまで目的のための手段にすぎません。


わかりやすい先生のわかりやすい授業を受けるだけで「わかった気」になって、自分で手を動かす量が圧倒的に足りない生徒がいることは、我々にとって大きな課題の1つです。そのことを口すっぱく指摘して、講師からも宿題を出してもらい、手を動かす練習をするように促しても、どうしても「受け身」の勉強になってしまい、そこから抜け出せずに学力が停滞する生徒は一定数います。


How(どのように)ではなくWhy(なぜ)を大切にする

先日、啓林館の数学教科書とフォーカスゴールドの主席執筆者である竹内英人先生の【数学特別講演会】を聞く機会がありました。名古屋にあるセントメプレスという予備校が主催する特別講演会に先生がお見えになったのです。


共通テストの2週間前ということもあり「共通テスト/私立医学部&難関大マーク式数学直前瞬発力チェック!」と題した【正しい数学の学び方】という講義でしたが、お願いして授業を受けさせていただいた私はビックリして目からうろこが落ちる思いでした。


受験生だった当時、国公立文系志望だった私は数学が苦手で、しかしセンター試験を避けることはできず、仕方なく泣きながら数学を勉強していました。今から思うと、明らかに勉強量が足りていなかったのですが、自分なりに数学に時間を投入しても全く点数が伸びず、絶望した気分でセンター試験に臨みました。


竹内先生の授業を受けていると、その時の記憶が思い出されました。しかし同時に、竹内先生の「数学に対する攻めの姿勢」に強く感銘を受けました。


「このままの式だと使えないよね、じゃあどうするか」
「係数に注目してやればいいってことに気づくよね」
「これでだいぶ似てきたよね。でもまだこのままじゃ使えない」

配られたプリントに載っている小問を1つ1つ挑むように解いていく竹内先生の授業は、私がこれまで受けてきた数学の授業とは明らかに違っていました。私は頭から煙が出そうになりながら、1題ずつ解法を考え、先生の解法を聞いて唸り、別解を聞いてまた唸りました。


これまで受けてきた数学の授業とは明らかに違う、と思いながら板書を写していると、竹内先生が「常にWhy,なぜを大切にしてほしいんだよね」とおっしゃいました。


「How,どのようには、どうやって解くかという解法のことで、これも覚える必要があるけれど、本当に大事なのはWhyなんだよね」


それを聞いた瞬間に、私は「ああ、そういうことか」とすべての疑問が繋がった気がしました。


「わかりやすい授業」ではなく「考えさせる授業」

私のように数学が苦手な生徒にありがちなのは、やった問題の解法を「そのまま丸暗記してしまう」ことです。自分では丸暗記しているつもりはなくても、ノートに解法を写すうちに覚えてしまっていたりするのでタチが悪いのです。


なぜタチが悪いのかというと「どうしてそうなるか」という解法の根本部分を理解せずに、ただ「こういう問題はこういう解法で解く」というやり方を覚えようとしてしまっているからです。


それでは竹内先生の言う「How」を追い求める勉強になってしまっています。


そうではなく、なぜそうなるのか、なぜこの公式を使うのか、なぜ式をこう変形するのかということを考えながら「Why」を追い求める勉強をすることは、自分の頭で考えることにつながり、思考力を鍛えることになります。


実際に竹内先生の授業は「知の格闘技」と呼ぶにふさわしい内容で、2時間のうち1時間しか参加できなかったのですが、あまりの密度の濃さに教室を出た後に、ふらふらしてしまったほどです。30年間のブランクがある私でさえ、こんなに頭を使ったのですから、現役の受験生達にとってはさぞ刺激的な授業だったに違いありません。


授業が終わってから、先生にお礼のメールを出したところ、以下のように過分なお返事をいただきました。


僕の授業のモットーは、
「わかり易い授業」よりも
「How,Whyを大切にして自分の頭の中でストーリーを紡いでいく授業」
てす。


答えを出すだけならば今後、どんどんAIが主役になっていくので、人間として大事なことは、
「いかにして問を立てるか?」という力だと思っています。
そのためには、数学においても与えられた「解法を覚える勉強」ではなく、自分自身が「考え方を理解する」勉強に切り替えていく必要があります。


まさにこれは高大接続改革が進む中で、高校教育、そして大学受験が目指す方向性であり、これからの世界を生きる我々にとって、自分の頭で考えることは何より必要です。


単に与えられた数式を解くのではなく、数学を通して自分の考える力を養っていく、それが結果として数学の学力を伸ばすことに繋がり、希望の大学に合格することに繋がるということがよくわかった竹内先生の授業でした。


竹内先生はX(旧Twitter)を通じて、受験生のために様々な情報を発信しています。ぜひフォローして「自分の頭で考える力」とは何かに気づいてほしいです。






メルリックス学院 渋谷校
〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町6番2号
TEL:0120-142-760 FAX:03-5428-2161


メルリックス学院 名古屋校
〒450-0002 名古屋市中村区名駅2丁目41番5号 CK20名駅前ビル2F
TEL:0120-148-959 FAX:052-756-4722


メルリックス学院 大阪校
〒564-0052 大阪府吹田市広芝町4-34 江坂第一ビル3F
TEL:0120-142-767 FAX:06-6330-1455

鈴村
鈴村
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長

新着記事

他の合格体験記

受験攻略ガイド

カテゴリ一覧