「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」とは何か?
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
東海大学や日本大学ではインターネット出願の際に「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」を入力するように求められます。志望理由書とも違うこの文章は一体どんなことを書けばいいのでしょうか?
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「学力の三要素」のうちの一つ主体性・多様性・協働性
この「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」に関する文章は東海大学や日本大学、そして慶應義塾大学に出願する際に求められます。これらの大学は総合大学であり、医学部だけでなくすべての学部に出願する受験生がこの文章を提出しなければなりません。
この「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)」は、文部科学省が新しい学習指導要領で定めた「学力の三要素」のうちの一つです。
「学力の三要素」とは以下の三つを指します。
1.基礎的な知識・技能
2.思考力・判断力・表現力等の能力
3.主体性・多様性・協働性
このうち、大学入試では主に筆記試験で1と2を、小論文や面接、出願書類、調査書で2と3を計るとされています。
もともと「学力の三要素」は「詰め込み教育」と「ゆとり教育」の反省として生まれました。新しい時代を生き抜くために必要な学力と定義され、高校教育と大学教育をこれまで以上に密接に連携することによって、新しい時代を生き抜く力を育てようという趣旨で「高大接続改革」が行われています。
それによって、センター試験は思考力・判断力・表現力等を問う大学入学共通テストに変わりました。また、基礎的な知識や技能だけでなく、多面的に受験生の能力を評価する学校推薦型選抜や総合型選抜が積極的に取り入れられるようになりました。
実際に何を書けばいいのか?
では、実際に「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」には何を書けばいいのでしょうか?
そもそも高大接続は、社会に出てからのことを見据えた高校と大学の教育連携ですから、医師になりたくて医学部に入学する受験生にとっては「何を今さら」という内容であることに注意する必要があります。
また、医学部での勉強においても、医師になってからも、主体性はあらゆる場面で必要ですし、チーム医療という言葉を持ち出すまでもなく、医師になってからは多様な人々と協働することになります。
東海大学の例
東海大学はアドミッションポリシーに学力の三要素に関する項目があり、【主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度】として「 周囲と協調しながら、目標に向かって継続した努力や挑戦する姿勢を持てることが望ましい。」とあります。
つまり、東海大学で求められている内容はこれであり、募集要項にあるように「中学校卒業後から現在に至るまでの期間」で行った自分の活動の中から、最もふさわしいと思われるものを50〜300字以内で書けばいいわけです。
日本大学の例
日本大学はもともと教育理念が「自主創造」であり、自主創造とは「自ら学ぶ」「自ら考える」「自ら道をひらく」の三つを意味します。これはまさに「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」そのものと言えます。
また、日本大学医学部の教育理念は「醫明博愛(いみょうはくあい)」であり、臨床・教育・研究のために自己犠牲と献身を惜しまないことをうたっています。よって、様々な人と一緒に何かを成し遂げた経験を書くのはもちろんのこと、その目的が自分ではなく誰かのため、何かのためであれば、より大学側が求めるものに近いと言えるでしょう。
ちなみに、日本大学医学部は個人面接で、この出願時に書いた文章から聞かれることもありますので準備をしておく必要があります。
合否判定には使用されない
これらの文章は、日本大学と慶應義塾大学の募集要項には、合否判定には使用せず入学後の学習指導上の参考資料とすると明記されています。よって、書く時にあまり神経質になりすぎる必要はありませんが、自己アピールの材料として、改めて自分自身の活動を整理しておきたいところです。
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