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歯科医師という仕事・・・なぜ歯学部を志望するのか

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


メルリックス学院は設立時から医学部だけでなく、歯学部の専門予備校として歯学部受験生の指導に携わってきました。


歯学部は「医学部のすべりどめ」として捉えられることも多く「歯医者はコンビニより多い」というネガティブキャンペーンが世間を騒がせた時期もありました。


これまで一貫して歯学部専門予備校としてやってきたメルリックス学院の取り組みと、歯科医療の現状についてお伝えします。

目次[非表示]

  1. 1.なぜ医学部志望者は歯学部を併願するのか?
  2. 2.歯科医師の仕事
  3. 3.自分の父親の経験を通じて
  4. 4.「歯科治療は医療行為に入りますか?」
  5. 5.高齢者歯科に進んだきっかけ

なぜ医学部志望者は歯学部を併願するのか?

これまでにメルリックス学院として、日本大学松戸歯学部や愛知学院大学で教職員向けの講演会をさせていただいことがあります。その際に歯学部の先生方から「なぜ、歯学部を併願する医学部受験生が多いのか?」と質問されたことがありました。


確かに、医学部以外の医療系学部としては薬学部や看護学部、獣医学部、さらに理学療法士や作業療法士などを養成するリハビリテーション系学部、診療放射線技師や臨床検査技師を養成する医療技術系の学部などがあります。


その中で歯学部が医学部の併願先として挙がることが多いのは、歯科医師は患者さんを直接治療できること、さらには将来クリニックを開いて経営の仕事に携わったり、医療法人の理事長に就けることなどが理由として挙げられるでしょう。(ただし、医療法人の理事長は都道府県知事の認可があれば医師・歯科医師以外の者でも就くことができる)


その中でも、やはり「白衣を着て患者さんの健康に関わる」というイメージは、医師と歯科医師で共通する部分が多いものと思われます。


歯科医師の仕事

歯科医師といえば「虫歯を治す」という従来の役割から、超高齢社会が進んだ現在では、歯周病の治療や入れ歯、差し歯などの装着、そして歯並びの矯正やホワイトニングといった保険外診療まで多岐にわたるようになりました。


歯周病と糖尿病の密接な関係に代表されるように、口腔内を健康に保つことが全身の健康状態にも直結することが広く知られるようになりました。80歳になっても20本以上の歯を保つ「8020運動」も浸透し、2016年の調査では「8020」の達成率は51.2%と推計されています。


2022年の日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳であり、世界でも有数の長寿国となった今、ただ長生きするのではなく、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる「健康寿命」が重要とされています。


健康寿命を延ばすために大切な要素は、

1.栄養バランスの取れた食事
2.適度な運動
3.社会参加

の3つとされ、口腔内の健康への関心はますます高まっていると言えるでしょう。


自分の父親の経験を通じて

日々、メルリックス学院で多くの歯学部受験生の指導にあたっているので、こうした現在の歯科医療の状況については自分なりに勉強してきました。


しかし一昨年、自分の父親が亡くなるにあたって、改めて歯科医師という仕事がいかに人の健康に関わっているかを知ることになりました。


後期高齢者だった私の父は胸部レントゲンで異常が見つかり、病理検査を行うことになりました。ところが、入院して食欲が落ちていた父は、病理検査に耐え得るだけの体力がなく、なかなか診断が確定せず治療が進みません。


栄養は点滴で補っていたので問題はありませんでしたが、そのうち軽度の認知症も見られるようになり、現在の病状や今後の治療方針について、医師や家族が説明してもなかなか理解してくれません。


家族としては、とにかく体力を回復してもらわなければ話が進まないので、「頑張ってごはんを食べて」と励ますしかありませんでした。


実際に口から物が食べられるようになってくると元気が回復し、リハビリにも意欲的に取り組むようになって、こちらの説明も理解してもらえるようになるので、自分の口で食べることがこれほどまでに健康に直結しているのかと改めて驚かされました。


「歯科治療は医療行為に入りますか?」

父はその後、介護施設に入ることになり、歯科医師に診てもらう機会がありました。その時、虫歯が見つかったのですが、父は事前に延命治療を望まないという書類を作成していたため、大真面目に「歯科治療は医療行為に入りますか」と歯科医師に質問したそうです。


私も父に電話で聞かれて思わず笑ってしまったのですが、父本人は大真面目だったようです。結局、虫歯は自覚症状がないため積極的治療はせず、気になっていた歯周病の方の治療をお願いすることになりました。


もっとも、父は介護施設に入所してから1ヶ月も経たずに亡くなったので、近隣から定期的に派遣されているその歯科医師に診てもらうのはそれが最初で最後となりました。


父は亡くなる2日前に「もう食事を出さなくて結構です」と自ら断り、そのまま就寝中に亡くなりました。あまりにもあっという間で、娘の私も正直びっくりしました。


火葬場でお骨を拾う際に残っていた歯もいくつか拾いましたが、顎のあたりの骨がうっすらとピンクに色づいていました。家族の一人が「この色はなんですか?」と質問すると、火葬場の職員の方が「おそらく人工的なインプラントを入れていらっしゃったのではないでしょうか。それが溶ける際にこうして骨に色が着くことがあります」と説明されました。


確かに父は長く勤めた会社を退職した後、海外ボランティアに行くことを考え、そのためにまず歯を治さなくてはと近所の歯科クリニックに通っていた時期がありました。結局、いろいろな条件が合わずに長期の海外ボランティアは断念したのですが、生きていた時の痕跡が骨に残っていることに感銘を覚えました。


父の経験を通じて、口腔内の健康が身体の健康に直結していることを改めて感じ、また口から物を食べられなくなることが人間にとっていかに重要かということがよく理解できました。


高齢者歯科に進んだきっかけ

医学部を志望していて歯学部に進んだメルリックス学院の卒業生の中に、高齢者歯科を選んだ子がいます。


一時は大学院で公衆衛生の勉強をすることも考えていた彼が高齢者歯科の道を選んだのは、臨床実習で高齢の患者さんにお会いしたのがきっかけだったそうです。


とろみをつけた食事を嫌がる患者さんが多い中で、どうすれば食べてくれるか工夫することにやりがいと喜びを見いだすようになったそうです。かつて喫茶店を経営していた患者さんに、とろみ剤にコーヒーペーストを混ぜて出すと、嬉しそうに笑って完食してくれた話などを生き生きと話してくれました。


人が生きていく上で食べることは健康の基本であり、それを支えているのが歯科医師の仕事です。歯学部受験生の方々にお会いする中で、今後もそのことを積極的に伝えていこうと思っています。


メルリックス学院渋谷校では、9月17日(日)に日本歯科大学の東京と新潟、両歯学部長をお招きして大学説明会を行います。生命歯学部と新潟生命歯学部の歯学部長が最新の歯学教育や歯科医療の状況についてご説明をいただきます。


興味のある方はぜひこちらからお申込みください。



鈴村
鈴村
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長

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