2025年度から大学入試が変わる!新課程入試のポイントとは?|新課程シリーズ第1回
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
いよいよ2025年度から始まる新課程入試についてお伝えするシリーズの第1回です。まずは様々な変更のある大学入学共通テストについて取り上げます。
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いよいよ再来年の2025年度から新課程入試が始まります。
約10年に1度、改訂される学習指導要領。前回は2015年度入試からの変更だったため、今回は10年ぶりの改訂となります。
既に現在の高校2年生までが新課程で学んでおり、問題集や参考書なども「新課程」にどんどん切り替わっています。購入する際は発行年月日を確かめて、新課程か現行課程かをよく確認しましょう。
この原稿を書くために検索してみたら、数学のチャート式は既に数学Cまで発行されています!
共通テストに『情報Ⅰ』が新設される
10年ぶりの改訂となる今回は、まずなんと言っても大学入学共通テストが大きく変わります。
最も大きな変更は『情報I』の新設です。
国立大学は現在の5教科7科目から『情報I』を加えた6教科8科目が標準になります。
文科省はどうしても『情報』を受験科目に加えたいようで、2025年度入試における旧課程履修者(2014年3月以前の卒業者)は新課程の『情報I』か、別科目として設置される『旧情報(仮)』を選択する必要があります。
『情報I』の試験時間は60分100点。
初めての出題となるため、受験者数が1万人未満でも『情報I』と『旧情報(仮)』の間の得点調整は行われるということです。
ちなみに『情報』のサンプル問題はこちらから見ることができます。
これまでに公表された大学入試センターの試作問題は、下記からまとめてご覧いただけます。
大学入学共通テスト試作問
題(2022年11月9日) |
大学入学共通テスト試作問
題(2023年3月31日) |
数学②は『数学Ⅱ・B・C』になって70分100点
数学の科目再編に伴い、現在は『数学Ⅱ』『数学Ⅱ・B』『簿記・会計』『情報関係基礎』となっている数学②が、『数学Ⅱ・B・C』に整理され、試験時間70分となります。これで『数学Ⅰ・A』と並んで共通テストの数学はいずれも試験時間70分で統一されます。
なぜこのような変更があるかというと、新課程の数学は科目再編により『数学C』が復活します。その『数学C』は「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」「数学的な表現の工夫」から成り立っています。
つまり、数学Bからベクトルが、数学Ⅲからいろいろな曲線と複素数平面が、新しい『数学C』にやって来ることになります。
『数学Ⅱ・B・C』のサンプル問題はこちらから見ることができます。
共通テストの『国語』は90分に、資料の読み取り問題がプラス1題?
文系科目にも変更があります。
まず、共通テストの『国語』は試験時間が10分増えて90分になり、大問が1題増えます。配点は近代以降の文章110点、古典90点(古文45点、漢文45点)です。
1題増える大問は「現代の国語」からの出題になります。
「現代の国語」とは新課程で新しく加わった、多彩な題材を通して論理的思考力・表現力を体系的に養う科目のことです。小説や詩などの文学的な文章は「言語文化」で扱うため「現代の国語」では取り上げられません。
よって、共通テストで出題される「現代の国語」は資料の読み取りや、現代の社会生活に必要とされる論理的な文章及び実用的な文章からの出題となることが予想されます。図やグラフを的確に読み取って分析する力や、複数の資料を関連づけて解釈する能力が必要となるでしょう。
地歴公民は6科目から最大2科目まで選択可
わかりにくいのが共通テストの地歴公民。
地理歴史の共通テストでは、必修科目である「歴史総合」「地理総合」と選択科目である「地理探求」「日本史探求」「世界史探求」のいずれかを組み合わせた2科目1セットが基本になります。
これは公民でも同じで、必修科目の「公共」と、選択科目の「政治・経済」「倫理」のどちらかとの2科目1セットになります。必修科目の「公共」は現行課程の「現代社会」にほぼ該当します。
そのため、地歴公民から2科目選択する場合、必修科目がぶつかると選択できない組み合わせが発生します。
【共通テストで2科目選択した場合の組み合わせ】
地理総合,
地理探求
|
歴史総合,
日本史探求
|
歴史総合,
世界史探求
|
地理総合,
歴史総合,
公共
|
公共,
倫理
|
公共,
政治・経済
|
|
---|---|---|---|---|---|---|
地理総合,
地理探求
|
○ |
○ |
△ |
○ |
○ |
|
歴史総合,
日本史探求
|
○ |
○ |
△ |
○ |
○ |
|
歴史総合,
世界史探求
|
○ |
○ |
△ |
○ |
○ |
|
地理総合,
歴史総合,
公共
|
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
|
公共,
倫理
|
○ |
○ |
○ |
△ |
× |
|
公共,
政治・経済
|
○ |
○ |
○ |
△ |
× |
※○は選択可能、×は選択不可、△は選択する科目によって組み合わせが可能になるケースです。
「地理総合,歴史総合,公共」はどういう科目かというと、3科目のうちいずれか2科目を選択解答します。
例えば「地理総合,歴史総合,公共」において「歴史総合,公共」を選択した場合、地歴公民2科目めとして「歴史総合」の入っている「歴史総合,日本史探究」「歴史総合,世界史探究」は選択できません。
ただ、旧帝大などは「地理総合,歴史総合,公共」の選択を認めていないため、多くの受験生は残り5科目から選択することになるでしょう。試験はいずれも60分100点です。
理科は大きな変更なし
理科はこれまでと同じく基礎とそれ以外の科目から構成されています。多少、用語の変更や分野の移動はあるものの、大きな変更はありません。
次回で取り上げる予定ですが、理科の基礎科目が出題範囲となっている金沢医科大学の総合型選抜や、昭和大学歯学部の学校推薦型選抜では履修範囲に注意が必要でしょう。
既卒生向けの経過措置が取られる
これらはいずれも新課程入試に切り替わる2025年度のみ、既卒生向けの経過措置が行われます。共通テストにおける地歴公民と数学は旧課程の問題を選択することができます。
私立医学部は既に何校かが2025年度(令和7年度)の入試について予告していますが、目立った経過措置や変更点は今のところありません。今後の私立医学部は試験科目よりも、入試の枠組みが一層変わっていくのではないかと考えています。
また、慶應義塾大学医学部は2025年度入試において、一次試験を2025年2月9日、二次試験を3月上旬に実施予定としています。入試日程は受験生を集めるための重要な要素のひとつであり、今後は優秀な受験生の獲得を巡って、私立医学部は様々な変更を行うと予想しています。
次回は新課程入試が私立医学部入試に与える影響について予想します。