国公立大学医学部合格への戦略|東海地区編
こんにちは。受験情報センター・副センター長の朝倉です。
本日は、東海地区の国公立大学医学部5大学(名古屋大学・名古屋市立大学・岐阜大学・三重大学・浜松医科大学)について、各大学ごとに合格するための戦略を考えてみたいと思います。
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中部地区の旧帝大・名古屋の象徴「メーダイ」
関東の方にとって「メーダイ」と言えば明治大学ですが、東海地区での「メーダイ」は名古屋大学のことを指します。
名古屋大学医学部の前期入試は、配点が、共通テスト900点/二次試験1650点です。かなり二次重視の配点に思えますが、案外と共通テストのスコア通りに合否が決まることが多いものです。このレベルになると、取れる試験でしっかりと結果を残さないと勝負にならないのでしょう。
よって、共通テストの対策をしっかりと行い、高いスコアを得ることが重要となります。三重大学医学部後期試験のボーダーが、名古屋大学医学部前期と比較して2%程度上に存在します。これを併願できるくらいに共通テストのスコアを確保し、後期での合格をある程度確実にした上で、安心して本命の試験に臨めば、合格をより引き寄せることになるでしょう。
名古屋大学医学部と併願しやすい私立医学部
名古屋大学医学部の試験は、数学がかなり難しくなっています。私も毎年解いているのですが、年度によっては東大入試よりも難しいこともあります。他の科目もすべて論述式となっています。このことから考えると、論述式の問題で割と難し目の出題がされるような私立医学部が、併願候補としてはあがってきます。
具体的には、東京慈恵会医科大学・大阪医科薬科大学・日本医科大学など、東西の難関医学部があげられます。ただ、かなりの偏差値上位帯の大学ですので、決して滑り止めにはなり得ません。前期試験に向けたステップレースと考えるべきでしょう。
また、愛知県内の私立医学部に関しても考えておきたいところです。学費の問題もあるので、愛知県地域枠で奨学金を得るという考え方もあります。藤田医科大学の一般前期/一般後期では、地域枠を併願することができます。試験の形態も割と名古屋大学にも似たものがあるので、お勧めできるのではないかと思います。愛知医科大学に関しては、共通テスト利用後期での地域枠がありますのでこちらの出願を考えてみてもいいかもしれません。
名古屋大学医学部を受験するということは、本当に高い学力帯での勝負となります。ほんの少しの勝負のアヤが合否に繋がってくるものです。正しくステップレースを組み、良い結果を得た状態で当日を迎えることが出来れば、この受験を優位に進めることができるでしょう。
名古屋市内屈指の文教地区・桜山にある名古屋市立大学
名古屋市立大学は、名古屋市瑞穂区の桜山にあります。この場所は名古屋市でも屈指の文教地区であり、市の中心部に出やすくとてもよい立地となっています。
名古屋市立大学医学部の前期試験は配点が、共通テスト550点/二次試験1200点(内、面接200点)です。これはかなりの二次重視型と言っていいでしょう。ただ、毎年二段階選抜も行われているので、共通テストでもある程度のスコアを確保せねばなりません。そして、面接試験でも結構差がついているので、しっかりと対策をして臨まねばなりません。
名古屋市立大学医学部と似た出題傾向の私立医学部
名古屋市立大学医学部の入試の特徴としては、数学が近年は易しい傾向が続いています。そして、理科(物理・化学)の問題量がはかなり多いと言っていいでしょう。英語も問題量が多めです。
こういった傾向と合致する私立医学部に、関東の人気校である昭和大学があります。他にも日本医科大学・関西医科大学などが併願候補としてあがってきます。もちろんこういった大学は、河合塾の偏差値ランキングでもかなり上位なので、併願校にはなり得ても滑り止めではありません。
そして、私は以前から名市大を受験する生徒には、愛知医科の併願を勧めています。数学に関しては、とても似た出題が過去に多くありました。最近は若干ズレているようにも感じますが、それでもよいステップレースになると感じます。英語に関しては愛知医科はマークシートなので似ていませんが、理科も時間がタイトであることは類似しています。
現役生であれば、藤田医科大学のAO入試(ふじた未来入試)をステップレースとすることも効果的であるといえます。合格しても国公立医学部医学科の推薦型総合型選抜、あるいは前期試験に合格すれば入学辞退できます。
今年から後期試験が廃止された岐阜大学
岐阜大学は名古屋大学と法人統合して、国立大学法人東海国立大学機構となりました。岐阜大学医学部は、岐阜駅からバスで約30分とちょっと離れた場所にキャンパスがあります。周りは閑静な・・・というかかなりの田舎にあります。しかし、全学部が一か所に集まっていることは良いことだと感じます。学部間交流も生まれやすい立地です。
岐阜大学医学部は今年から後期試験が廃止されました。前期試験は配点が、共通テスト900点/二次試験1200点となっています。数学は実はこっそりと”データの分析”が除外されていたりしますが、まあもともとあまり出題されない分野なのでそれほど関係ありません。
岐阜大学医学部と併願しやすい私立医学部
岐阜大学医学部の入試の特徴としては、数学は易しい傾向が続いていて、理科は論述もあり問題量が多く、英語も問題量が多いということです。つまり名市大と似ています。
ということで、有力な併願先としては、名市大と同様に、昭和大学・日本医科大学・関西医科大学などの上位私立医学部、また地元の愛知医科大学や藤田医科大学が考えられるでしょう。
共通テスト逃げ切り型の三重大学
三重大学は近鉄江戸橋駅から徒歩15分のところにあります。キャンパスは非常にのどかな雰囲気ですが、こちらも岐阜大学と同様に全学部が一か所に集まっています。三重大学の学生に聞くと、やはりこれは三重大学の特長だということでした。
三重大学医学部の前期試験の配点は、共通テスト600点/二次試験700点(内、面接100点)となっています。かなり共通テストの配点が高い形式です。
そして、二次試験は割と各科目とも易し目の出題で、なかなか差が付きにくいものとなっています。ですので、かなりの部分が共通テストの良しあしで決まるという特徴があります。
併願校は共通テスト利用入試を狙う
三重大学を狙うのであれば、とにかく共通テストで逃げきりたいので、併願校は共通テスト重視の戦略を立てることになります。愛知医科大学や藤田医科大学の共通テスト利用入試で合格を確保して、本番への足掛かりにしていきたいところです。
数学に関しては、藤田医科大学の論述部分の問題傾向が似ているように感じます。割と平易な問題を取りこぼさない練習として、福岡大学を併願することも考えられます。東邦大学はマーク式なので論述練習にはなりませんが、問題傾向は似ている部分もあります。とにかく基礎的なことを根本的に尋ねてくるので、その対応を兼ねて併願できる大学をお勧めします。
静岡大学と統合されそうでされない・浜松医科大学
浜松医科大学は同じ静岡県内にある静岡大学と経営統合の話が出ていますが、地元の政財界などの絡みもあり暗礁に乗り上げているようです。キャンパスは浜松駅からバスで35分ぐらいのところにあります。私の母の実家も浜松市ですが、浜松医科大学は市内でもかなり北の方にあります。
浜松医科大学医学部の前期試験の配点は、共通テスト450点/二次試験700点(内、面接100)となっています。
数学が難しい年が多かったのですが、近年は落ち着いているようなフリをしています。しかし、突然2021年度のように難化することもあって、予断を許さないものになっています。難問が出題されたときにうまくパスできるかどうかがカギになるでしょう。時間も90分と短く、難問の沼に嵌ったらタイムアップになってしまいます。
理科は量が多くて、うまくさばききれるかがポイントとなります。
数学難化の可能性がある浜松医科大学と併願するなら
数学から考えると、思い切って東京慈恵会医科大学を併願することも考えてよいのではないかと思います。最近の浜松医科大学は慈恵ほどの難問は出題されないものの、90分で4題、時間もタイトな中での記述勝負と類似点は多く、また難化した時の練習になるからです。
時間の短い中で理科を解き切るイメージは、関西医科や愛知医科。もちろん大阪医科薬科大学で、全科目論述と格闘することも挑戦していってよいのではないかと感じます。
最後に
今回は国公立医学部を受験するにあたり、有効となる私立医学部併願戦術をメインに考えてみました。とにかく、前期試験のある2/25の時点で、どこかの大学に合格をもらっている状態なのか、裸一貫で勝負するのか、それによって緊張感が変わってきます。
私立医学部の併願には学費の問題などもありますので、簡単なことではありませんが。しかし、地域枠で奨学金が出るところもありますので、しっかり調べて併願先を探したいところです。
もちろんここに挙げたのはほんの一例に過ぎません。一人一人に適合した受験戦略で皆様を合格に導くために、メルリックス学院受験情報センターでは常に情報集約に努めています。
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