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私立歯科大学協会の『歯科プレスセミナー』に参加しました

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


◇◆私立歯科大学協会が後援する歯学部合同説明会を7月2日(日)東京・渋谷で行います!◆◇



今日は私立歯科大学協会が開催する「歯科プレスセミナー」に参加してきました。
コロナ禍で2年続けてオンラインでの開催でしたが、今年はハイブリッド型での開催となりました。
私も3年ぶりの参加です。
前回の2019年はイグノーベル賞を受賞した教授のユニークな研究内容について楽しく聴かせていただきました。


歯科界は2008年頃から、マスコミによる「歯科医院はコンビニより多い」というネガティブ・キャンペーンの嵐が吹き荒れました。
歯科医師のクリニック倒産や薄給が面白おかしく書き立てられ、比例するかのように歯学部受験の志願者も減少しました。


そのため、歯科に対する理解をもっと深めてもらおうと、私立歯科大学協会はマスメディアを対象とした「歯科プレスセミナー」を2010年に初めて開催しました。
13回目となる今年は、神奈川歯科大学学長の櫻井孝教授による『意外と知らない「歯科医師」という職業』、そして、岩手医科大学の小林琢也教授による『健康寿命を延伸する口腔機能の役割』の講演が行われました。


櫻井教授の話の中で非常に印象的だったのは「歯科医院は150年前からあるが、コンビニが今の形になったのは昭和60年代。だから『歯科医院がコンビニより多い』ではなく、『コンビニの数が歯科医院に追いついてきた』のが正しい表現だろう」という言葉でした。


ちなみに増える一方だったコンビニも経営統合や淘汰が進み、ここ数年は5万6千件程度で横ばいです。
厚生労働省の最新データでは、歯科医院の数は68,500施設とこちらも減少傾向です。


何より歯科医師は高齢化が進んでおり、開業歯科医師の半分近くが60歳以上で、9割は継承が決まっていないと言います。
地域による偏在も深刻で、特に地方は人口10万人あたりの歯科医師数が、東京都の半分にも満たない県があります。


今後、超高齢社会はますます進み、高齢の歯科患者数は増加が見込まれます。
その中で最も必要なのは「歯科訪問診療」ですが、そのためには歯科医師数が不足しています。


小林教授の講演では、口腔機能と認知症に関する研究結果も紹介され、QOLを維持するためには健康な口腔状態が不可欠だと改めて感じました。


それでも、なかなか歯学部、歯科医師に関する世の中の認知は進んでいないと感じます。
今日も質疑応答の中で「国家試験合格率が低迷する中で良質な人材を育成をするための各大学の取り組みは?」という質問が出ました。


歯科医師国家試験は「低迷」しているのではなく、国が歯科医師数を抑制するために、合格者を「毎年2,000人前後」としているのです。
絶対評価ではなく、相対評価の試験です。


医療従事職の国家試験合格率は国の施策によって管理されています。
参考までに、最新の国家試験の合格率はこのようになっています。


第115回歯科医師国家試験:61.6%(77.1%)
第116回医師国家試験:91.7%(95.0%)
第107回薬剤師国家試験:68.0%(85.2%)
第111回看護師国家試験:91.3%(96.5%)
※カッコ内は新卒


まだまだ世の中の人はその程度の認識なのだと思うと同時に、1人でも多くの志ある歯科医師が誕生することが、結果的には私達のためになることを実感したセミナーでした。
お招きいただいた私立歯科大学協会の皆様に厚くお礼申し上げます。


【2022.12.15追記】
セミナーの概要がYouTubeでアップされました。


○第13回歯科プレスセミナー動画


○第13回歯科プレスセミナー(短編)動画





鈴村
鈴村
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長

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