愛知医科大学学校推薦型選抜の数学出題範囲が変更
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
愛知医科大学医学部の学校推薦型選抜は、これまで数学I・II・III・A・B(数列・ベクトル)が出題範囲でした。それが新課程への移行に伴い、出題範囲が変わります。
推薦で数学IIIが出題範囲から除外される
これまで愛知医科大学学校推薦型選抜の数学は、数学IIIまで出題範囲に含まれていました。推薦で数学IIIが出題範囲に含まれている私立医学部は珍しく、募集要項に明記されている私立医学部は他に大阪医科薬科大学と福岡大学の2校だけです。
また、東京医科大学医学部は【基礎学力検査】の中で数学IIIからも出題されますが、募集要項には「数学」とあるだけで特に出題範囲は明記されていません。
その愛知医科大学医学部の学校推薦型選抜で出題される数学の出題範囲が、2025年度から「数学I・II・III・A・B(ベクトル・平面上の曲線と複素数平面)」と変更になります。数学IIIは出題範囲から除外されます。
「平面上の曲線と複素数平面」は残る
さて、ここで新課程の数学についてもう一度おさらいしておきましょう。
旧課程 |
新課程 |
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数学I |
数と式
図形と軽量
二次関数
データの分析
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数と式
図形と軽量
二次関数
データの分析(仮説検定)
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数学II |
いろいろな式
図形と方程式
指数関数・対数関数
三角関数
微分・積分の考え
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いろいろな式
図形と方程式
指数関数・対数関数
三角関数
微分・積分の考え
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数学III |
平面上の曲線と複素数平面
極限
微分法
積分法
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極限
微分法
積分法
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数学A |
場合の数と確率
整数の性質
図形の性質
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図形の性質
場合の数と確率(期待値)
数学と人間の活動(整数の性質)
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数学B |
確率分布と統計的な推測(期待値)
数列
ベクトル
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数列
統計的な推測
数学と社会生活
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数学C |
ベクトル
平面上の曲線と複素数平面
数学的な表現の工夫
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新課程数学の最も大きな変更は、新しくできた数学Cに「ベクトル」と「平面上の曲線と複素数平面」が移動したことでしょう。
愛知医科大学の場合、数学IIIは推薦の出題範囲から除外されましたが、数学Cは含まれますので「平面上の曲線と複素数平面」からは出題される可能性があるということになります。出題範囲から外れるのは、新課程の数学IIIである「極限」「微分法」「積分法」だけです。
また、旧課程履修者への経過措置として「新旧両課程に共通した範囲から出題する」との注意書きがありますので、新課程で加わった「データの分析」の仮説検定からは出題されないものと思われます。といっても「仮説検定」は岩手医科大学も一般選抜では出題しないと明記しており、あまり入試に頻繁に出題される範囲ではなさそうです。
「整数」や「期待値」はどうなる?
私立医学部で2025年度の出題範囲をまだ公表していない大学は6校あります。また、他の大学も今後変更の可能性ありとなっています。
数学Aでは単元のひとつだった「整数の性質」が、新課程では「数学と人間の活動」に吸収されることになりました。共通テストでは出題されなくなりますし、私立医学部の中には「数学と人間の活動」を出題範囲から除外している大学もあります。「整数」の出番は減ることになりそうです。
また「場合の数と確率」は今のところ私立医学部のすべての大学が出題範囲としていますから「期待値」が出題される機会は増えそうです。ただし、新課程初年度は「旧課程履修者にも配慮した出題とする」となっている大学がほとんどですから、まずは様子見という大学も多そうです。
ただし、共通テストの【数学II・B・C】では、「数列」「統計的な推測」「ベクトル」「平面上の曲線と複素数平面」の4分野から3分野を選択解答しなければなりません。「平面上の曲線と複素数平面」はボリュームが多く、時間的なことを考えると多くの受験生は「ベクトル」を選択することになるのではないかと思われます。
昨年の小論文では「期待値」が出題されたが・・・
昨年の愛知医科大学の推薦では、小論文で「期待値」の考え方が出題されました。これは与えられた条件の中で、どれだけ論理的思考ができるかを見るものであり、数学の問題として出題したのではないという大学の方の話でした。
今年もメルリックス学院名古屋校では愛知医科大学医学部の推薦対策を夏以降から実施していく予定ですが、新課程入試となってどの分野が狙われるか、的確な分析をもとに予想問題を作成していきたいと思います。
また、2025年度入試から愛知医科大学は共通テスト利用後期を廃止し、前期に一本化して共通テスト利用を15名で募集、一般選抜の募集人員も約65名から約70名に増えることになりました。