後期逆転合格は可能か?―金沢医科大学の場合―

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


金沢医科大学の一般後期入試は一次試験が英語と数学のみであり、さらに数IIIがないという「受けやすさ」から毎年1,000名以上の志願者を集めます。金沢医科大学一般後期入試で逆転合格するための攻略法をお伝えします。




目次[非表示]

  1. 1.「後期逆転」と言えば金沢医科大学
  2. 2.英語と数学のみの源流は編入学試験
  3. 3.現役生有利という噂を検証
  4. 4.合格最低点と実質倍率


「後期逆転」と言えば金沢医科大学

私立医学部の「後期逆転」と言えば、まずこの大学が一番に挙がるでしょう。
金沢医科大学の一般後期です。


何と言っても、1次試験が英語と数学のみ。
数学も数学Ⅰ・数学Ⅱ・数学A・数学Bのみ。
しかもマークシート方式。


理科なし、数学Ⅲなしとこれまでの私立医学部とは違う科目での勝負になります。
「逆転合格」という言葉にこれほどふさわしい医学部はないでしょう。
募集人員10名ですが充分に挑戦する価値はあります。


ところが、残念なことに昨年も今年も一次試験が3月1日に行われます。
3月1日は多くの高校で卒業式が行われる日。
卒業式を欠席しても入試を優先するのか?
結果至上主義であればそうするべきでしょうが、人間としてはどうなのかという問題が残ります。


つまり浪人生にとっては、むしろこの日程はチャンス拡大と言えます。
ただでさえ、理科がないというのは現役生にとっては受けやすい試験科目です。
1人でもライバルが少ない方がいいという考え方もできます。


英語と数学のみの源流は編入学試験

この英語と数学のみという不思議な試験科目は、既に廃止された金沢医科大学の編入学試験に由来します。
以前、金沢医科大学は大学卒業(見込)者と2年次62単位以上取得(見込)者を対象に編入学試験を実施していました。※外国の大学を含む



その編入学試験の試験科目は当初、英語と理科の基礎科目でした。途中から英語と数学になりましたが、学科試験が2教科にも関わらず、編入学試験で入学した学生は優秀だと評判でした。
「英語と数学のみでも充分に選抜試験としての役目を果たすことができる」という判断から、一般後期を導入する時にこの試験科目になったと大学の方からうかがいました。



一般後期を導入した初年度は、一般後期と編入学試験を同時に実施していました。(その後、不適切入試が指摘されるなどして編入学試験は廃止になりました)


現役生有利という噂を検証

それでも英語と数学のみという試験科目から「現役生有利なのではないか」という質問を受けることがあります。
金沢医科大学は入試結果を「現役」と「浪人」に分けて情報公開していますが、それでも納得がいかない方がいらっしゃるようです。


昨年度の一般後期の入試結果は以下の通りです。


受験者:現役224人、浪人937人
正規合格者:現役0人、浪人10人
繰上合格者:現役1人、浪人3人
入学者:現役1人、浪人9人


現役合格率:0.004
浪人合格率:0.014
現役合格率/浪人合格率:0.29


なんと昨年度は正規合格者の中に現役生が1人もいなかったんですね。やはり一次試験が卒業式と重なっている影響はありそうですね。
とにかく迷っているならチャレンジしてほしい、それが多くの受験生の指導に携わってきた私の嘘偽らざる気持ちです。


合格最低点と実質倍率

1次試験の会場は本学(金沢)、東京(東京流通センター)、大阪(天満研修センター)の3ヶ所です。毎年、東京には1,000人近く、大阪にも300人以上の医学部受験生が集まります。


昨年度の1次試験の合格最低点は131点(65.5%)、受験者平均点は88点(44.0%)です。一般前期と同じ傾向の問題で、6割台後半を取れれば1次通過できます。


もう1つ、金沢医科大学一般後期に関して、よく言われるのが「倍率が高いですよね」ということです。確かに昨年度は1,161人の受験者に対して総合格者は14人、実質倍率は82.9倍です。


しかし入試は「どれだけ自分より上の点数の人がいるか」で決まります。
私立医学部の場合、極論を言ってしまうと「国公立医学部志望者」と「大都市の優秀な私立医学部専願者」がどれだけ受験者の中にいるかで大学の難易度が決まります。



昨年度の慶應義塾大学の実質倍率は6.6倍、東京慈恵会医科大学の実質倍率は6.8倍です。私立医学部の中では倍率は低い方と言えましょう。でも、この2つの大学を「易しい」と考えている医学部受験生は1人もいないでしょう。


それは、上記の「国公立医学部志望者」と「首都圏の優秀な私立医学部専願者」が大量に受験する大学だからです。


金沢医科大学はまず6年間で4000万円近い学費という高いハードルがあります。
誰もが受けられる大学ではありません。
また、学費の高さと地理的な条件から、既に他の医学部に合格している受験生はあまり後期を受けてこない大学でもあります。今年は能登半島地震もありました。


さらにその中から、3月になってもまだ「合格したい」という強い気持ちが続いている受験生というと、かなり人数が限られます。
ぜひここまで受けてきた前期試験の反省を活かして、残り半月でやれるだけのことをやってほしいと思います。


一般後期で合格した生徒達は必ず言います。「最後まで諦めないことが大事」
私もそう思います。


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鈴村
鈴村
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長

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