新課程で私立医学部の数学はどう変わるか?
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
2025年度から新課程選抜試験に移行します。私立医学部も2025年度選抜試験の変更点について徐々に公表が始まっています。現時点でわかっている数学の出題範囲をまとめました。
新課程の数学、大きな変更点は3つ
まず、新課程の数学について確認しておきたいと思います。大きな変更点は次の3つにまとめられます。
1.数学Cが新設され【ベクトル】【平面上の曲線と複素数平面】【数学的な表現の工夫】で構成される。
2.数学Aの【整数】が、同じく数学Aの【数学と人間の活動】に移動する。
3.数学Bで扱われていた【期待値】が数学Aの【場合の数と確率】に移動する。
旧課程 |
新課程 |
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数学Ⅰ |
数と式
図形と軽量
二次関数
データの分析
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数と式
図形と軽量
二次関数
データの分析(仮説検定)
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数学Ⅱ |
いろいろな式
図形と方程式
指数関数・対数関数
三角関数
微分・積分の考え
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いろいろな式
図形と方程式
指数関数・対数関数
三角関数
微分・積分の考え
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数学Ⅲ |
平面上の曲線と複素数平面
極限
微分法
積分法
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極限
微分法
積分法
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数学A |
場合の数と確率
整数の性質
図形の性質
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図形の性質
場合の数と確率(期待値)
数学と人間の活動(整数の性質)
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数学B |
確率分布と統計的な推測(期待値)
数列
ベクトル
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数列
統計的な推測
数学と社会生活
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数学C |
ベクトル
平面上の曲線と複素数平面
数学的な表現の工夫
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共通テストは数学②が『数学II・B・C』となり70分に
次に共通テストの話題に移ります。現在は数学①70分、数学②60分という形式で行われている共通テストですが、新課程では数学②も70分の試験時間となります。
また「数学A」は選択問題がなくなり【整数】が出題範囲から外れます。『数学Ⅱ・B・C』は4項目から3科目を選択解答する形になるので、数学Cの【ベクトル】か【平面上の曲線と複素数平面】のうち、どちらかを選択しなければならなくなります。
出題科目 |
出題方法 |
試験時間・配点 |
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数学① |
「数学Ⅰ」
『数学Ⅰ・A』
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「数学A」については【図形の性質】【場合の数と確率】の2項目に対応した出題とし、全てを解答する。 |
70分・100点 |
数学② |
『数学Ⅱ・B・C』 |
「数学B」及び「数学C」については【数列】【統計的な推測】【ベクトル】【平面上の曲線と複素数平面】の4項目に対応した出題とし、4項目のうち3項目の内容の問題を選択解答する。 |
70分・100点 |
ちなみに、2025年度共通テストでは、移行措置として既卒生は旧課程による試験科目を受験できます。ただし、数学②の試験時間は旧課程問題を選択しても70分になります。
【整数】や【期待値】はどうなる?
さて、いよいよ私立医学部の選抜試験の話に入ります。果たして、数学の出題範囲はどうなるのでしょうか。現時点で出題範囲を公表している大学ごとにまとめた表は以下の通りです。
一通り見ていただくと、旧課程では数学Aの項目だった【整数】が含まれる【数学と人間の活動】を出題範囲に含まない大学が結構あることに気づかれるかと思います。また、数学Bから移動してきた【期待値】が含まれる数学Aの【場合の数と確率】は今のところすべての大学が出題範囲としています。
新課程初年度は「旧課程履修者にも配慮する」としている大学が多いのですが、出題範囲外の問題がうっかり出題されるケースもないとは言えないので、医学部受験生の立場としては準備しておく方が無難でしょう。
まだ判明していない大学も今後、新たな発表や変更があると思われますので、その都度ホームページでお知らせていきます。