
【2026年度最新情報】東海大学《希望の星育成選抜》の二次試験内容
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
東海大学医学部の総合型選抜である希望の星育成選抜は、今年から一次試験が書類選考になりました。書類選考で197人に絞られた上で、2025年10月25日に二次試験が行われました。この記事では2026年度の出題内容を見ていきます。
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書類選考が加わった2026年度入試
2026年度から東海大学医学部の希望の星育成選抜には書類選考が加わりました。これは2025年度から「評定平均3.8以上」の出願資格がなくなり、評定平均に関係なく現役生なら誰でも受けられるようになった結果、前年度110人の1.5倍近くにあたる261人の志願者を集めたことがその理由と思われます。
たまたま2025年度は同じような入試形式である帝京大学医学部の総合型選抜と試験日が重なっていたので、志願者は261人にとどまりましたが、試験日が重ならなければおそらく志願者は300人を超えていたでしょう。大学側が300人を超える人数を一日で見ることは難しいと考えた結果、書類選考が導入されたのではないかと推測します。
予想通り、帝京大学医学部の総合型選抜と試験日がずれた2026年度の一次試験合格発表を見ると、受験番号が338番まであり、志願者は約340人程度と考えられます。一次合格者は197人であるため、一次倍率はおよそ1.7倍と思われます。
一次試験が書類選考ということは、当然ながら書類に点数化されて順位が付けられるということでもあります。そのため、生徒達には【活動報告書】にある活動歴にできるだけたくさんの活動内容を記入し、さらにどのような活動をしたかの資料もわかりやすく添付し、高校の調査書や資格だけに頼らず、なるべく多角的に精一杯のアピールをすることが重要とアドバイスしました。
出願書類には300字の【志望理由書】もありますが、やはり勝負を決めるのは受験生の自己アピールができる【活動報告書】であり、とにかく表も裏もびっしりと書くことで、1点でも多く得点することが書類選考合格の秘訣だったと思われます。生徒達は最後の最後までボランティアの活動証明書を探したり、ホームページに掲載された記事のコピーを付けたりと、頑張っていました。
小論文では「答えのない問」が問われる
さて、東海大学医学部の希望の星育成選抜では、これまで一次試験で行われていた内容が、二次試験で行われることになりました。先日、行われた帝京大学医学部の総合型選抜は志願者が増えたためか、どちらかと言うと「省エネ型」で行われましたが、希望の星育成は一次試験で人数が絞られているため、これまで通りの形式で行われると考えていました。
◇◆2026年度の帝京大学総合型選抜一次試験の内容に関する記事はこちらから◆◇
希望の星を受験した生徒達に聞くと、これまで通りの小論文、オブザベーション評価、個人面接の内容だったということです。
まず、小論文に関しては例年通りの課題文型で、山中伸弥 平尾誠二・恵子著『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』講談社から出題されました。医学に関してはまだまだわからないことが多い中で、あなた医師になった時に未解決の問題にどう取り組むかという出題で、まさに先日の新潟県入試説明会で、新潟県福祉保健部福祉保健総務課参与であり、地域医療支援センター長である神田医師がおっしゃっていた「答えのない問」がズバリ出題されました。
この「答えのない問」は、先般の東邦大学医学部入試説明会でご講演いただいた医学部の先生も同じことをおっしゃっていました。東邦大学医学部は二次試験でMMI(Multiple Mini Interview)とグループ討論が課されますが、そこでは「正解のない問」を出題して、それに対する受験生の考え方やコミュニケーション能力を評価しているとのことでした。
◇◆先般の東邦大学医学部入試説明会の記事はこちらから◆◇
新潟県の神田医師は長く自治医科大学医学部医学科の面接官を務めており、医学部教員が受験生のどこを見て評価するかについてはプロ中のプロでいらっしゃいます。どの医学部も学生に求める資質は同じなのだと、今回の小論文で改めて感じました。
オブザベーション評価は多様化する社会について
約60分のグループワークであるオブザベーション評価は「多様化する社会」というテーマについてKJ法で話し合うというものでした。多様性やバリアフリーは医学部の面接や小論文で流行りのテーマでもあります。
過去に東海大学医学部では編入学試験のプレゼン面接で「あなたが病院のダイバーシティに担当者になったら、価値観が多様化する現代において、どのような施策をするか」というテーマが出題されたこともありました。
メルリックス学院の講座では様々なテーマについて、様々なメンバーで話し合う練習を重ねていたので、それほど大変ではなかったと思います。ただ、帝京大学医学部の総合型選抜の時もそうでしたが「主張の強い受験生が多かった」という感想を生徒達から多く聞きました。
複数の医学部の入試ご担当者から「グループ討論で論破しようとする受験生がいる」とうかがっていますが、これも最近の風潮なのかもしれません。チーム医療を基盤とする現代で医師として働くためには、自己主張も必要ですが、それと同じぐらい協調性も必要です。グループ討論に参加する医学部受験生は「将来医師になる者として」ディスカッションに臨んでいるという意識を持つといいでしょう。
個人面接は受験生によって雰囲気が違う?
最後に個人面接が行われましたが、受験生によって面接官の温度に差があったようです。笑いが起こるような和やかな面接もあれば、結構厳しめに質問される場面もあったということです。
ただ、面接官の態度が易しいからといって、評価が良いとは限りません。私も面接の練習をすることがありますが、ニコニコしながら良くない点数を付けることは少しも難しくありません。
大切なことは、受験生が自分なりに考えて答えを出すことです。たどたどしくても、つっかえながらでも、自分の頭で考えたことを誠実に話せば面接官は聞いてくれます。
新潟県の神田医師の面接資料にも「スマートに」and/or「正解する」ことを至上としていると、何を見られているかを見失いがちとあります。面接官は「ホンモノかどうか?」を見ているのであって、決して知識や能力を見ているのではありません。受験生の「学ぶ姿勢」と「医師としての素養」を見ているのであり、それは短期間で作り上げることができるものではありません。
個人面接の中で行われる、希望の星特有の出題である活動報告書の3分間プレゼンは例年通りで、もう1つのプレゼンテーマは「高校でやり残したこと」でした。このあたりは練習していれば、それほど苦労なく答えられたと思います。
二次試験の合格発表は10月31日
二次試験の合格発表日は10月31日です。2025年度は187人が一次合格し、その後155人が出願、最終的に共通テストによって32人に絞られました。東海大学としては、人間性を見て「ぜひ入学してほしい」と思った受験生には、迷いなく二次(一次)合格を出すようです。
共通テストの合格ラインは年によって異なるため、昨年と同じとは限りません。おそらく2026年度の共通テストは平均点が下がると考えられる中で、70%~75%の間の戦いになると思われます。





