
【2026年度最新情報】東邦大学医学部総合入試等ガイダンスを開催しました
2025年7月19日(土)、TKPガーデンシティ渋谷にて東邦大学の常喜教授と学事部の方にお越しいただき、2026年度東邦大学医学部総合入試等ガイダンスを開催いたしました。
当初はメルリックス学院 渋谷校を会場としていましたが、予想外に多くのお申込みをいただき、JR渋谷駅中央改札から徒歩3分のところにあるTKPガーデンシティ渋谷に変更しました。参加される皆さまにはご迷惑をおかけしました。
当日は、東邦大学医学部の総合入試、同窓生子女入試、地域枠推薦入試を志望する高校生・高卒生、そして多くの保護者の方々にご参加いただきました。
東邦大学のMMIとグループ討論で出題されるテーマ
東邦大学医学部説明会の前に、鈴村受験情報センター長から入門編として『東邦大学のMMIとグループ討論で出題されるテーマ』というタイトルで講演をさせていただきました。
東邦大学医学部の学生募集要項には【面接】とだけあり、「MMIをやります」「グループ討論をやります」とは明記されていないため、あくまで「メルリックスから受験した生徒の聞き取り調査」をもとにした講演となりました。
東邦大学の先生方の前で講演するというのは、日頃から講演に慣れている鈴村センター長にとってもかなりのプレッシャーだったようです。
2013年度入試からMMIとグループ討論を実施
東邦大学医学部は2013年度からずっと【面接】を「MMI面接とグループ討論」の組み合わせで行っています。一般入試も、総合入試や同窓生子女入試、地域枠推薦入試、付属校推薦入試も、そして昨年度から始まった統一入試でも、面接はこの「MMI面接とグループ討論」です。
インターネットで検索すると「日本の医学部で初めてMMIを実施したのは2016年度」と出てきますが、メルリックス学院受験情報センターの記録では「2013年度の東邦大学医学部が初めてMMIを導入」となっています。
それまで約15分の個人面接を行っていた東邦大学医学部の面接が、その年から変わるということは事前に知らされていたので、メルリックス学院としても考えられる限りの準備をして臨みました。
本番の面接では部屋ごとにテーマの違うブースを移動する「MMI面接」と、MMIを一緒に回った4人で行う「グループ討論」が行われました。いわゆる個人面接の途中で「シート」が出される簡易的な形式ではなく、ブースごとに回る本格的な形式のMMI面接でした。
それから14年間にわたって、変わることなくこの形式が続いているので、大学としては「入学者選抜として機能している」と評価しているものと推測できます。
時間が短く、瞬発力が必要な東邦大学医学部の二次試験
東邦大学医学部のMMIとグループ討論の特徴は、なんと言っても「時間が短い」こと。MMIは1部屋3分、グループ討論は10分~15分しか時間が与えられていません。
時間が短いとなにが大変か?
シンプルに言うと、対策がしにくいです。
例えば、東京女子医科大学推薦で行われる小グループ討論は60分ほど、東海大学希望の星育成選抜で行われるオブザベーション評価はプレゼン部分を含めて120分ほどの時間が与えられています。
時間が長ければ、最初は調子がつかめなくても、徐々に皆の話について行って、慣れていくというプロセスが可能です
しかし、東邦大学医学部のように、初めて会った受験生とあるテーマについて10分~15分で討論し、最後に代表者が発表する形式となると、コミュニケーションの瞬発力が求められます。
MMI面接も部屋の外で渡されたシートをもとに考え、すぐ部屋の中に入って面接官と3分間、質疑応答をするわけですから、やはり瞬発力が必要です。
もともとしゃべることが得意であれば、そんなにプレッシャーを感じないかもしれませんが、なかなか言葉が出てこない、口の重い子にとっては苦手な面接形式だと言えると思います。
もちろん、医学部受験なので、ただコミュニケーションのテクニックが優れていればいいというものではありません。
2025年に創立100周年を迎えた東邦大学が、これまでどのような歴史を歩み、どのようなことを教育目標として掲げ、どのような人材を入学させたいと考えているのか。
それを知らずに、ただコミュニケーションのスキルだけを磨いても、いわば「仏作って魂入れず」ということになりかねません。
ガイダンスでは、鈴村センター長が独自に調べた東邦大学の歴史や、求める人材についての考えもお話しさせていただきました。

(大森キャンパスにある額田記念東邦大学資料室には貴重な資料がたくさん展示されています)
東邦大学の歴史と求める人材
東邦大学は医師である額田豊・額田晉兄弟によって、1925年(大正14年)に設立されました。
最初は帝国女子医学専門学校として設立され、翌年には付属看護婦養成所、さらに翌年には薬学科が開設されています。これは女性の社会進出が珍しかった時代に、女性を対象とした医学に基礎をおく科学教育を行うことで、家庭そして社会全体が明るく、たくましくなっていくという額田兄弟の考えによります。
現在の東邦大学は医学部・薬学部・理学部・看護学部・健康科学部の5学部を擁する自然科学系の総合大学ですが、それには創設時からの歴史がもとになっているのです。
建学の精神は「自然・生命・人間」であり、創立100周年のロゴマークは、その建学の精神を形にしたものです。自然、生命、人間をモチーフとした12種類のアイコンが集まり、青い地球を構成しているこのシンボルは、大森キャンパスの門をくぐったところにも銀色のオブジェとして飾られています。

(階段の上にあるのが創立100周年ロゴマークのオブジェです)
ちなみに、この12種類のアイコン、太陽・水・風・星・貝・遺伝子・植物・花・鳥・鯨・人・心/愛は、MMIでも出題されたことがあります。「12個のワードの中から1つを選んで説明せよ」という課題でした。
ここで求められているのは、いわゆる学力試験で課されているような「正解」ではありません。その受験生がどのような筋道で物事を考えて、そして結論づけるのかという「論理的思考力」や「科学的なことに関する興味・関心」が採点の材料になります。
論理的思考力は、アドミッション・ポリシーの【1.基礎学力と論理的思考・表現力】でも、「情報を適切に読み解き、論理的に考えて表現する力を有している」として、求める資質・能力に含まれています。
また 【4.興味関心・学修姿勢】には、「自然・生命現象に対する強い興味・関心を有している」という項目もあり、このあたりが自然科学系の総合大学である東邦大学の特徴と言えます。
実際に「砂漠の砂紋はどのようにしてできると考えられるか」というテーマがMMIで出題されたこともあり、科学への興味・関心をベースにした論理的思考力は、東邦大学を受験する場合は必須と言えます。
正解のない世界で医学を探求する
東邦大学医学部のグループ討論は、年内に行われる総合入試・同窓生子女入試・地域枠推薦入試と、一般入試ではテーマの出題傾向が異なります。
総合入試・同窓生子女入試・地域枠推薦入試では、人間関係にまつわる課題が出されることが多いです。それに対して、一般入試では、絵画や寓話といった「何について話せばいいのかもわからないようなテーマ」が出されます。
どちらも「正解のない問い」であることに変わりはありませんが、一般入試ではよりその傾向が強いと言えます。
一般入試では、例えば有名なミレーの『オフィーリア』がグループ討論のテーマとして出題されたことがあります。これは近年、医学部の一部でも取り入れられている「対話型鑑賞」に似た形態と言えます。
「対話型鑑賞」が育む力で、新しい医学教育の形を広めたい(外部リンク) |
このように「正解のない問い」を東邦大学医学部が出題する背景には、教育目標として『より良き臨床医』を育てることを掲げているからと言えるでしょう。
同じ疾患でも患者さんとその背景によって、様々な治療法が考えられる中で、どのように治療方針を立てて患者さんに伝えていくか。そこには「これで100点満点」という正解はありません。その「正解のない問い」を探求し続ける力を、東邦大学医学部は二次試験の面接を通して計っているのだと考えています。
鈴村センター長より、30分の短いガイダンスの中で、おおむねそのようなことをお話しさせていただき、大学の方からは「かなり的確な分析に驚いています」という言葉もいただきました。
メルリックス学院では、東邦大学医学部を目指す受験生のために、今後もさまざまな講座を企画していきますので、ぜひ機会があればご参加いただければと思います。
また今回、単独での説明会をご了承いただいた東邦大学の方には改めて感謝申し上げます。今後も医学部受験生の役に立つ情報を発信していきたいと思います。





