新課程入試でここが変わる!生物の知っておきたいポイントとは|新課程シリーズ第3回
こんにちは。
メルリックス学院の生物科講師チームです。
いよいよ2025年度から始まる新課程入試についてお伝えするシリーズの第3回。
今回は新課程の施行が私立医学部入試に与える影響について解説します。
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新課程は「生物の進化」から『生物』の学習が始まる
共通テストの試験時間が変わり、数学Cが新しくできて単元の移動がある数学などに比べると、理科は全体的にそれほど大きな変更はありません。
その中でも生物は、これまで「生命現象と物質」の「細胞」から始まっていた教科書の構成が変わり、「生物の進化」から『生物』の学習が始まる形になりました。さらに進化の仕組みを説明する流れの中に、これまで他の単元で扱われていた「遺伝子の突然変異」や「配偶子形成と遺伝」が組み込まれており、時間軸から現象の意義を学ぶ構成になっています。今現在の知識や技術だけに着目するのではなく、時空間的なつながりや因果関係を重視し、持続可能な未来をつくる意識を高めようという意図があるのでしょう。
その一方で、生物科の先生方の間では、やはり生命の基本単位は細胞であり、細胞から順序立てて教えたいという声があることは事実です。「生物の進化と系統」はこれまで学習の順序としては最後に学んでいたので、現場にはちょっとした戸惑いがあると思われます。
とはいえ、学習の順序が入れ替わるだけであり、全体を通して「細胞」も「進化」も学ぶことに変わりはありませんので、入試において大きく何かが変わることはないでしょう。
全国模試における注意点
注意すべき点があるとすれば、大手予備校の全国模試において、年度初めからこれまで含まれることのなかった「生物の進化」が出題範囲に入ってくることぐらいでしょうか。2025 年度の既卒生にとっては、教科書の最後の単元であった「生物の進化」が全国模試の出題範囲に含まれていたことはなかったでしょうから、模試の受験時に初めて出題することを知って慌ててしまうことないように注意が必要です。また、他の単元に比べて復習が十分でない可能性もありますから、年度の頭に集中して取り組んでおくとよいでしょう。
新課程では生物=暗記科目ではない
また、今回の新課程では『生物基礎』と『生物』における重要用語の数が減ったことも大きなポイントです。『生物基礎』では 200 語~250 語程度、『生物』では 500 語~600 語程度が重要用語とされました。これまでは 2,000 語以上が重要用語とされ、生物=暗記科目というイメージが浸透する要因の一つとなっていました。
今回、暗記の負担を大幅に軽減したことは、もともと新課程の教育で身につけさせたい能力である「見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,生物や生物現象を科学的に探究するために必要な資質・能力」を養うという目的意識をより明確に示したものと思われます。
とはいえ、私立医学部で出題される生物は、もう随分と前から暗記科目の域を超えて、実験・考察問題を通して生物や生物現象を探求させる問題が頻出でしたので、新課程に移行してもそれが特に大きく変化するということはないでしょう。
重要用語に関しても、これまでの過去問で出題されたものは今後も出題される可能性がありますし、知識として覚えていることが多い方が考察問題でも有利であることは間違いありませんので、マスターしておく必要があると思います。