
【医学部受験】MMIの答え方⑥|命がかかった場面で問われる「トリアージ」の考え方
こんにちは。藤田医科大学に在学している唐澤です!
普段はメルリックス名古屋校でスタディサポーター(SS)をしています。
今日は、「命がかかっている場面」をテーマに医学部MMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)の練習をしていきます。
命がかかっている場面といえば、昔はやったのは有名な「トロッコ問題」というやつです。みなさん知ってますか?
もう古いのかな?(笑)
トロッコ問題というのは、「トロッコのレールの先は二つに分岐していて、その片方には1人が、もう片方には数十人が線路に立っている。あなたはその分岐をどちらかにするハンドルを持っていて、どちらに舵を切りますか?」という問題です。
ぶっちゃけ、どんな状況だよ、と突っ込みたくなりますが、大きな災害が起きた時には、似たような決断をしなければいけない状況に医療者は遭遇するでしょう。
さすがにこれだけ有名になると、トロッコ問題を直接聞かれることは考えにくいですが、別の言い回しでこの内容を問われることはあるかもしれません。なので、その練習をしてみましょう。
【医学部受験】MMIの答え方①|オーバートリアージで考える
【医学部受験】MMIの答え方②|“最悪の想定”から行動を決める思考法
【医学部受験】MMIの答え方③|トラブル時の「第三者活用」テクニックを解説
【医学部受験】MMIの答え方④|“傾聴する”は無敵のキーワード?
【医学部受験】MMIの答え方⑤|面接官からの「追い打ち」にどう答える?
MMI問題|災害現場へ医師として派遣される
それではまず次の課題文を読んでみてください。
(例題)次の文章を1分で読み、あなたの考えを答えなさい。 |
はい。どうでしょう。
みなさんはまだ受験生なので、詳しい医学の知識を使って、治療の順番を決める必要はありません。
この段階では、医学的に間違っていても大丈夫だと思います。
おそらく大事なのは、その順番を決めた理由です。
一番ダメなのは、「なんとなく」、「かわいそうだから」、「ドラマとかでそういう順番で治療してたから、そうなのかと思った」など、明らかにフィーリングや無責任な理由で答えることです。
最近は災害も多く、2024年の元日に起きた能登半島地震やダイヤモンド・プリンセス号のコロナ集団感染などで、「DMAT」(災害派遣医療チームのこと。後で解説します)という医療班が話題になりました。
治療の順番(トリアージ)の仕方を軽く知っておいてもいいのかなと思うので、解答例を書いてみます。
※あくまで受験生のつもりで作った解答例なので、詳細な内容や細かい手順は省きます。医学生用の解答例では作ってませんので、「医学生が書いたにしては不十分すぎるだろう」と思われる方もいるかもしれませんが、あくまで受験生バージョンで作ったものということでご了承ください。
解答例|3人のうち誰から治療するか?
僕が考えた受験生用の解答はこのような感じです。
【解答例】 私は、その状況で救える命かつ重症な患者さんから治療にあたります。 なので、明らかに死亡していると思われるAさんは、自身で生存反応がないことを確認したら、その後の治療は行いません。 状況をもう一度確認すると、Bさんはまだ心臓が動いており、明らかにこのまま放っておくと心臓が止まる状態です。Cさんは大声で泣いているようで、骨折はしていますが、会話もしかっかりできています。 この2人の状況で、私が一番最初に申した、重症かつ救命可能な患者さんはBさんです。そのため、Bさんから治療にあたります。Bさんの状態がある程度落ち着いたものになったら、Cさんの骨折の手当てに入ります。 もし人員に余裕があるならば、他の医療従事者、例えば看護師さんをCさんの手当てをお願いすることも考えます。 |
それに対して面接官がさらなる「追い打ち」をかけるとしたら、次のような質問が想定されます。
面接官:Cさんの保護者が、すぐに治療をしないとあなたを訴えると言ったらどうしますか? |
前回も言ったように追い打ちに対する解答は嘘をつかずに正直に答えることがポイントです。なので、自分の気持ちに正直に答えます。
【追い打ちに対する解答例】 それでも、治療順を変えることはできません。小さい子が爪を割って、痛くて泣いているのは、確かに心苦しいもので、できることならより早く治療をしたいと思います。しかしながら、防ぎえた災害死を少しでも減らし、災害で亡くなる人を減らすには、この手順しかないと思います。以上です。 |
トリアージの考え方
上の解答例では、2ケ所赤字にしたところがあります。これらについて解説していきます。
「救える命かつ重症な患者さんから治療」
Aさんひどい火傷で心臓が止まっている様子なので、助けたい、と思った人もいると思います。僕もできれば助けたいです。でも、明らかに亡くなっているとのことなので、この患者さんの治療よりも、Bさんの治療が先になります。
災害現場にはトリアージというものがあり、これは阪神淡路大震災がきっかけとなり日本にも普及しました。阪神淡路大震災が起きるより前は、重症な人(心臓が止まっているような)から救うことが当然とされてきましたが、災害現場においては、重症であっても救命できないなら治療はSTOPという考えがこの震災から広まりました。
トリアージはこのような感じです。
治療順位1位:赤タグ 生命を救うため、直ちに処置を必要とするもの 治療順位2位:黄タグ 多少治療の時間が遅れても生命には危険がないもので、全身状態が比較的安心しているが、入院が必要となるもの 治療順位3位:緑タグ 上記ほどではない傷病で、ほとんど専門医の治療を必要としないもの 治療順位4位:黒タグ 既に死亡、または明らかな即死状態であり、心配蘇生を施しても蘇生の見込みがないもの |
よく救急系の医療ドラマで、黒、赤、黄、緑のフダを見ると思いますが、それはこういう意味です。
「防ぎえた災害死」
これを言えたら、「おー、興味あるんだな」となるかもしれません。これも阪神淡路大震災の教訓です。地震が起きる前の、医療体制が提供されていれば救命の可能性があった、適切なタイミングでの治療が行われていれば助かったはずの災害死という意味です。
例えば、今回のケースで言うとAさんを救いたいと、ずーっとAさんを最優先に治療したが故に、Bさんの容体が悪くなり、AさんもBさんもなくなってしまう状況です。
これを減らすために、トリアージという判断法で患者さんの治療順位を決めています。
ちなみに、先ほど述べたDMAT。これはDisaster Medical Emergency Teamと言って、阪神淡路大震災をきっかけに防ぎえた災害死を減らすために、発足された災害派遣医療チームです。もし興味があれば調べてみてください。
長くなりましたが、今回は以上になります。命がかかっている場面が問われた時には、いろんなことを想定しつつも、このトリアージの内容を軸として、答えるのもありかもしれません。







