【私立】医学部の男女別合格率2023年度が公開されました

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


文部科学省から毎年公表されている医学部医学科の男女別合格率が今年も発表されました。東京医科大学の不正入試発覚から5年。当時は医学部の女子差別、そして年齢差別が社会的問題になりました。今の医学部の男女別合格率はどうなっているのでしょうか。


目次[非表示]

  1. 1.医学部の男女別合格率2023年度が公開される
  2. 2.私立医学部は女性合格率の方が高い結果に
  3. 3.女性合格率が高い聖マリアンナ医科大学

医学部の男女別合格率2023年度が公開される

2019年度から毎年公表されている医学部の男女別合格率は、男性合格者数を男性受験者数で割ったものを【男性合格率】、女性合格者数を女性受験者数で割ったものを【女性合格率】として、大学ごとに男女別の合格率を公表しています。


推薦や一般といった入試区分ごとの数字ではなく、あくまですべての入試の合格者数を受験者数で割った数値になります。


例えば、2023年度の岩手医科大学の場合、男性受験者数は1,564名、男性合格者数は177名なので、177÷1564=11.3%が【男性合格率】になります。


女性受験者数は799名、女性合格者数は108名なので【女性合格率】は108÷799=13.5%ということになります。


この【男性合格率】を【女性合格率】で割り、その数字が1を超えていると、女性より男性の方が合格しやすかったという指標になります。例えば、2023年度の岩手医科大学は【男性合格率】11.3% ÷ 【女性合格率】13.5% = 0.84となりますので、男性よりも女性の方が受かりやすかったと言えるでしょう。


私立医学部は女性合格率の方が高い結果に

2023年度の医学部男女別合格率を国公私立大学ごとに比較すると以下の通りです。男性よりも女性の合格率が上回っているのは私立大学のみで、国立大学・公立大学はいずれも女性合格率より男性合格率の方が高くなっています。



男性合格率
女性合格率
国立大学
31.5%
28.3%
公立大学
32.3%
30.0%
私立大学
8.7%
9.2%


当時、入試において女子受験生を減点し、女子差別をしていたのは東京医科大学、北里大学、順天堂大学、聖マリアンナ医科大学の4校でした。2023年度入試において、この4校のうち【女性合格率】の方が高い大学は東京医科大学、北里大学、聖マリアンナ医科大学の3校に上ります。


ちなみに、医学部入学者における女性の占める割合は、国立大学36.9%、公立大学34.4%、私立大学45.6%であり、医学部全体としては40.2%となっています。


私立医学部31大学過去3年間の男女別合格率

それでは私立医学部の大学ごとの男女別合格率を詳しく見てみましょう。過去3年間の合格率をまとめたのが以下の表になります。



2021年度
2022年度
2023年度

男性
女性
男性
女性
男性
女性

岩手医科

11.57%

12.84%

12.6%

12.0%

11.3%

13.5%

東北医科

21.56%

20.20%

20.6%

20.4%

17.7%

22.8%

自治医科

6.55%

8.45%

8.3%

6.7%

8.6%

9.8%

獨協医科

7.45%

9.67%

7.4%

6.3%

7.6%

8.8%

埼玉医科

5.35%

7.29%

5.0%

6.9%

5.5%

7.3%

国際医療

12.52%

10.13%

11.9%

9.9%

12.3%

10.0%

杏林

12.61%

12.94%

13.2%

13.5%

7.9%

12.1%

慶應義塾

19.92%

19.06%

19.1%

14.6%

17.5%

14.7%

順天堂

8.69%

8.38%

8.9%

9.1%

8.2%

7.6%

昭和

7.07%

6.61%

7.9%

7.8%

8.1%

7.8%

帝京

2.98%

2.69%

4.0%

2.6%

3.4%

4.0%

東京医科

15.34%

14.96%

15.2%

12.9%

7.8%

8.6%

慈恵医科

15.64%

16.84%

14.9%

14.3%

13.1%

13.9%

女子医科

23.65%

19.0%

15.3%

東邦

11.10%

10.24%

10.3%

11.7%

8.2%

9.8%

日本

9.66%

9.93%

10.8%

7.2%

10.4%

10.5%

日本医科

5.45%

8.04%

6.4%

7.3%

7.4%

6.3%

北里

22.21%

24.46%

17.2%

17.6%

17.2%

18.7%

聖マリ

6.63%

12.27%

4.2%

9.0%

4.6%

7.6%

東海

5.78%

6.08%

7.0%

7.2%

4.8%

5.3%

金沢医科

5.82%

8.15%

3.9%

5.2%

5.7%

5.3%

愛知医科

12.72%

13.73%

16.2%

15.3%

13.0%

14.7%

藤田医科

12.32%

11.15%

16.2%

11.1%

11.8%

10.7%

大阪医科

11.80%

10.07%

13.0%

12.4%

10.1%

8.4%

関西医科

10.40%

9.71%

12.7%

10.0%

7.4%

7.9%

近畿

6.94%

7.04%

9.0%

6.9%

8.0%

5.2%

兵庫医科

13.14%

14.10%

13.3%

15.3%

11.4%

11.4%

川崎医科

13.63%

20.53%

14.3%

20.6%

14.7%

17.5%

久留米

6.62%

7.49%

8.0%

9.7%

10.0%

12.0%

産業医科

12.69%

11.09%

11.6%

10.3%

11.7%

8.3%

福岡

9.66%

10.59%

10.6%

10.7%

8.0%

10.1%


女性合格率の方が高い年度は赤字としています。この表からわかる通り、3年連続で女性合格率の方が高い私立医学部は全部で9校あります。


関東の埼玉医科大学、杏林大学、そして神奈川県にある北里大学、聖マリアンナ医科大学、東海大学の3校、西日本は兵庫医科大学、川崎医科大学、久留米大学、そして福岡大学の4校です。


逆に3年連続で男性合格率の方が高い私立医学部は、国際医療福祉大学、慶應義塾大学、昭和大学、藤田医科大学、大阪医科薬科大学、産業医科大学の6校です。


女性合格率が高い聖マリアンナ医科大学

私立大学の中で目に付くのは、やはり女性合格率の方が圧倒的に高い聖マリアンナ医科大学です。【男性合格率】÷【女性合格率】が2021年度は0.54、2022年度は0.46、2023年度は0.60と0.5前後で推移しています。つまり、女性の方が男性より2倍も受かりやすいということになります。


聖マリアンナ医科大学は文部科学省の調査で女子と多浪に関して不利になるような得点調整をしていると指摘されましたが、一律加点などはしていないと否定しました。その後も何度か調査が入り、他の不適切入試を行っていた大学はすべて「適合」とされましたが、未だに「不適合」とされたままです。


聖マリアンナ医科大学はデジタルパンフレットで詳しい年齢別の入学者数も掲載しており、それによると2023年度の入学者115名のうち、4浪以上は5名(うち女子2名)、その他11名(うち女子2名)となっています。その他には大学卒、大学院卒、大学在学中、社会人、認定・検定、外国等を含むとなっており、多様な人材が入学していることがうかがえます。


聖マリアンナ医科大学のデジタルパンフレットはこちらからご覧いただけます。
次回は国公立大学の男女別合格率について取り上げます。

鈴村
鈴村
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長

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