【2027年度】東京医科大学が一般選抜でもMMI導入へ――面接はどう変わるのか

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。

東京医科大学は2027年度入試から、一般選抜・共通テスト利用選抜の面接を「MMI(Multiple Mini Interview)」に変更します。
これまで学士選抜と全国ブロック別選抜では、二次試験の面接でMMIが行われてきましたが、一般選抜・共通テスト利用選抜での導入は初めてとなります。

これまでの一般選抜・共通テスト利用選抜でも、課題シートを渡されて答えるという「MMI」のような質問はありました。しかし、2027年度入試から正式にMMIが導入されることで、東京医科大学の面接は大きく変わると考えられます。
今回は、これまでの東京医科大学の面接の変遷を振り返りながら、MMI導入によって何が変わるのか、その背景を考えます。

目次[非表示]

  1. 1.東京医科大学の面接は「一般的な質問」と「課題シート」
  2. 2.公平かつ客観的な評価制度を面接にも導入
  3. 3.成績開示から見えてきた東京医科大学の「面接評価」
  4. 4.「型にはまった回答」で高得点が取れる?
  5. 5.不正入試以前は、まったく違う面接だった
  6. 6.MMI面接が導入された背景
  7. 7.「公平性」と「人物評価」を両立するMMIへ

東京医科大学の面接は「一般的な質問」と「課題シート」

東京医科大学が個人面接の中で、MMIのような「課題シート」を課すようになったのは、2019年度入試からです。
この年は医学部の不適切入試が社会問題となった年でもあり、とりわけ東京医科大学には社会から厳しい目が注がれていました。

そのため、12月に行われた推薦入試では、当日、小論文の「英語の課題」が、それまでの「英文を読んで日本語で答える形式」から、すべて英語で答える形式に変更されたり、適性検査も廃止されるなどの変化がありました。

面接も、それまでのように3人の面接官から自由に質問される形式から変化があり、個人の経歴や家族に関する質問はほとんどされなくなりました。

「高校生活でがんばったことは」

「部活動で何を学んだか」

「好きな教科は何か」

など、個人の属性にかかわらず、誰でも答えられる一般的な質問が面接で聞かれるようになりました。

それは2月の一般入試も同様でした。医師志望理由や大学志望理由なども聞かれることなく、一般的な質問に加えて、「課題シート」が渡され、それを音読してから答えるという新しい形式が導入されました。

たとえば、

「9.11はアメリカ政府の陰謀だった、という言説を社会的地位の高い人でも信じてしまうのはなぜか」

「時間外の救急外来で何度も静脈注射に失敗して患者さんに怒鳴られた。医師であるあなたはどうするか」

といった課題です。

それ以降、毎年このような「課題シート」が出題されるようになり、東京医科大学の面接といえば「一般的な質問」と「課題シート」で、志望理由など個人に関わるようなことはほぼ聞かれないという形式が定番となりました。

公平かつ客観的な評価制度を面接にも導入

東京医科大学で医師志望理由や大学志望理由が聞かれなくなったのは、志望理由を掘り下げると、個人の経歴や親の職業などに触れなければならない場合があるからではないかと考えています。

あの事件以来、大学は筆記試験でも答案の氏名欄などをすべてマスキングして採点するなど、不正入試を防止するための徹底した対策を取っていました。

面接についても同様に、客観的な評価を行うために、質問内容が変更されたと考えられました。
18歳の高校生でも、40歳の再受験生でも答えられる。同じ質問を出題することで、公平かつ客観的に評価する仕組みが導入されたと考えられます。

当初は、以前の面接の名残りで「校是」や、その中にある「奉仕」について聞かれることもありました。しかし、それでは受験生間で差がつかなかったのか、やがてストレートに「校是」が聞かれることもほぼなくなりました。

成績開示から見えてきた東京医科大学の「面接評価」

東京医科大学は、二次試験の小論文や面接の点数も含めて、受験生全員に成績開示を行うようになりました。そのため、二次試験を受けた生徒は、自分の小論文や面接の点数だけでなく、全体の中での順位も知ることができます。

複数の生徒のデータを比較するうちに、一つのことが見えてきました。それは、「面接での円滑な雰囲気や質問に答えられたかどうかは、得点とはほとんど関係がない」ということです。

固い雰囲気だった面接の生徒に高得点がつく一方、生徒自身は「普通に話せました」と言っていたのに、面接の得点が低いケースが見受けられることがありました。

もちろん面接はコミュニケーションの内容から採点する試験であり、コミュニケーションそのものを採点するわけではありません。よって、面接官の態度と得点が直接関連するとは限りません。それでも、本人の手応えと実際の得点との間には、他大学には見られないような乖離が見られることもありました。

そこから私は、東京医科大学の面接では、アドミッション・ポリシーにかなり忠実に、「この要素が回答に入っていれば○点」といった形で、ある程度客観化された採点基準が設けられているのではないか、という仮説を立てました。

「型にはまった回答」で高得点が取れる?

そこで、生徒と面接練習をする際には、生徒にその仮説を提示して、東京医科大学のアドミッション・ポリシーで求められていることを意識し、評価につながりそうなキーワードを回答の中に盛り込もうと相談しました。
すると、成績開示した生徒の面接得点が明らかに高くなる傾向が見えてきました。

しかし、このアドミッション・ポリシーに忠実な採点方法には、一つ問題があります。

実際の面接官とのコミュニケーションがそれほど円滑でなくても、評価される要素をきちんと回答に入れれば、高得点を取れる可能性があることです。

つまり、コミュニケーションがあまり得意ではない生徒でも、予想される一般的な質問に対して、評価につながるポイントを押さえて答えれば、ある程度まで対応できる面接になりました。

実際、面接があまり得意ではないタイプの生徒でも、東京医科大学では高得点を取るケースが出てきました。そのため、いつの間にか我々の間では「東医の面接は攻略可能」という位置づけになりつつありました。

不正入試以前は、まったく違う面接だった

この傾向は、不正入試以前の東京医科大学の面接とは正反対ともいえるものでした。
以前の東京医科大学の面接は、一見すると面接官との自由なトークでした。しかし、その中で重要なポイントをしっかり押さえてくる面接でした。

コミュニケーション能力の高い受験生にとっては楽しいけれど、そうではない受験生にとっては、どこからどんな質問が飛んでくるかわからない面接で、対策がしにくかったとも言えます。

たとえば、過去の面接で「挫折した経験はありますか?」と聞かれた生徒がいました。

「中学受験で第一志望の学校に入れなかったことです」

と答えると、続いて、

「その挫折をどう乗り越えましたか?」

と聞かれました。

生徒は、

「大学受験では絶対に医学部に入ろうと気持ちを切り替えました」

と答えました。

ここまでは、ごく普通の流れです。

ところが次に、面接官から、

「その割には成績、そんなによくないですね」

と手元にある高校の調査書を見ながら掘り下げられました。

このとき、生徒は「しまった」と思ったそうです。

そこで、

「高校1年、2年のときは部活動に打ち込みすぎて、勉強がおろそかになっていました」

と咄嗟に返したために事なきを得ました。

このように、ちょっとした回答の隙も見逃さず、フレンドリーな雰囲気の中でも受験生を見極める質問を挟んでくる。それが、かつての東京医科大学の面接でした。

それを知っている私は、不正入試以後の面接があまりにも180度変わってしまったことに、ずっと違和感を覚えていました。

MMI面接が導入された背景

東京医科大学の面接に再び変化が起きたのは、学校推薦型選抜に全国ブロック別選抜が導入され、再受験生向けの学士選抜が始まった頃からです。
どちらも一次試験と二次試験に分かれており、この二次試験で導入されたのがMMIです。

実際に車いすを押したり、事前課題についてプレゼンテーションを行ったりするなど、多彩な形式で受験生が評価されるようになりました。

そして2027年度入試から、一般選抜・共通テスト利用選抜にもMMIが導入されます。

これは、全国ブロック別選抜や学士選抜で行われてきたMMIが、東京医科大学の求める人材を評価する方法として、一定の成果を上げているからではないかと考えています。

「公平性」と「人物評価」を両立するMMIへ

振り返ってみると、東京医科大学の面接は一つの流れの中で変化してきたように見えます。

不正入試を受けて、個人の属性に左右されにくい共通の質問が導入され、より公平で客観的な評価が重視されるようになった。一方で、評価基準が明確になるほど、「評価される要素を回答に盛り込む」という対策が可能になり、本当にその受験生の人物像を十分に見極められているのか、という別の課題も生まれているように見えました。

そこに全国ブロック別選抜や学士選抜でMMIが導入され、さらに2027年度入試からは一般選抜・共通テスト利用選抜にも広がる。

こうして一連の変化を並べてみると、今回のMMI導入は突然の方針転換ではなく、東京医科大学が不正入試以降、試行錯誤しながら面接の評価方法を変えてきた、その延長線上にあるように思えます。

MMIは、不正入試以降、東京医科大学が最も重視してきた「公平性・客観性」を維持しながら、「どのような人物なのか」をより深く評価できる面接方式だと考えています。

そして現在、私立医学部ではMMIの「第二次ブーム」ともいえる動きが起きています。

2027年度入試から東京医科大学が一般選抜・共通テスト利用選抜にもMMIを導入することで、これまでのような「想定質問に対して評価されるキーワードを盛り込む」という対策だけでは通用しにくくなるでしょう。
そして、同時に学校推薦型選抜では従来の面接(個人面接)が行われます。こちらでは「これまで通り」の面接が行われるのか、それも未知数だと考えています。

東京医科大学の面接対策は、2027年度入試から新しい段階に入ります。

鈴村倫衣
鈴村倫衣
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長。四半世紀以上にわたって医学部・歯学部の受験指導、面接指導に携わり、多くの生徒を合格に導いてきた。医学部・歯学部入試に関する造詣は深く、大学から入試改革のアドバイスを求められることもしばしば。また、多くの生徒に接してきた経験を活かして、大学のFD研修に登壇するなど、高校のみならず大学でも多くの講演を行っている。

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