
なぜ今MMIなのか?2026年度医学部入試に起きた大変化
皆さんこんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤です。
私の2冊目の著書『日本人の9割が知らない医学部受験の世界』では、コラム欄で頭の体操としてMMI(マルチプル・ミニ・インタビュー)を取り上げています。
このマルチプル・ミニ・インタビューが初めて日本の医学部で出題されたのは2013年度の東邦大学医学部が最初です。その後、東京慈恵会医科大学、藤田医科大学といくつかの大学が面接試験に取り入れました。
その後も金沢医科大学のAO入試や久留米大学の面接でじわじわと取り上げられていましたが、2026年度入試で第二のMMIブームとでも言うべき事態が起きています。今日はその理由について考察していきたいと思います。
川崎医科大学の面接でMMIが出題される
先日、受験情報センターより川崎医科大学と岩手医科大学の二次試験で突然MMIが行われたことを報告させていただきました。
『面接形式が大きく変わった!2026年度の川崎医科大学一般選抜でMMIが出題』
その後、なんと東京女子医科大学、そして北里大学医学部の二次試験でもMMIが行われました。しかし、この2校についてはあらかじめMMIが行われるのではという予測を立てて生徒たちに伝えていました。その理由にこそ、今年これほど多くの医学部でMMIが導入された訳が隠されていると考えています。
東京女子医科大学では「個人面接を2回」行う
東京女子医科大学は一次試験の合格発表時に「二次試験日を出願時に希望した日から変更できます」というアナウンスがなされました。変更希望の申し込みを受け付けた後に、集合日と集合時間が受験番号で発表されました。その発表時に「個人面接を2回行います」とあり、メルリックス学院にも多くのお問合せをいただきました。
このように二次試験の面接形式を変更することをあらかじめアナウンスする大学は珍しいです。東京女子医科大学の誠実さと面接を変更することへの並々ならぬ思いを感じました。
個人面接を2回行う私立医学部は2校あります。
そのうちの1校である慶應義塾大学医学部は通常の個人面接形式を単純に2回行います。おそらく複数の面接官による評価を行いたいという意図があるのでしょう。
もう1校の国際医療福祉大学医学部は1回目は通常の個人面接、2回目は現在の社会問題や医療問題について聞かれます。希望者に行われる英語面接があるのもこの2回目です。
他は東京慈恵会医科大学、藤田医科大学、東邦大学などMMIを行う私立医学部は複数回面接を行います。東京女子医科大学もおそらくMMIを行うと考えられましたので、メルリックス学院では受験情報センターが作成した資料を基に面接練習を行いました。
実際に本番の面接試験でも、1回目は通常の個人面接、2回目は医療現場で想定される状況やグループ内での人間関係について聞かれました。そのうち1つは、昨年度の推薦入試の小グループ討論のテーマに近い状況でした。
北里大学では「昼休みが10分短くなる」と通知
また、北里大学医学部では一次試験の合格発表時に「面接の開始時間が10分早くなる(昼休みが10分短くなる)」ことがアナウンスされました。
これまで20年以上もずっと同じ時間割で行われてきた二次試験が突然変更になるというのは、余程の理由があるのだろうと推測しました。
1つは、3日間ある二次試験日のうち最終日の2/16に受験生が集中した可能性です。2/14と2/15は12校の二次試験が集中していましたので、多くの受験生が2/16を希望したと思われます。そのため、前倒しの時間割で行わなければ面接が終わらないと大学が判断した可能性です。
そしてもう1つは、例年通りの個人面接にプラスアルファで新たな質問が加わる可能性です。実は昨年の推薦入試の面接でも、MMIのような質問がありました。そこでメルリックス学院では、MMIが行われる可能性を想定して面接指導を行いました。
当日は学祖である北里柴三郎博士に関する課題シートが出題されました。あらかじめMMIが行われる可能性を想定していたこともあり、落ち着いて答えられたと思います。
MMIは客観的な評価ができる
さて、2013年度の東邦大学医学部に始まったMMIの導入を「第一次MMIブーム」とすれば、今年のこの動きは「第二次MMIブーム」と呼んでも差し支えないでしょう。
MMIが面接として優れている点は、どの医学部受験生にも共通した質問ができるという点です。
これまでの個人面接では、医師志望理由や本学志望理由、高校時代に頑張ったこと、浪人生活で得たもの……など、個人の経歴に踏み込んだ質問が当然のように聞かれていました。
しかし、コンプライアンスの遵守があらゆる組織において非常に重要視される中で、医学部もその例外ではありません。時に踏み込んだ質問は「不適切」と捉えられることもあるでしょう。「圧迫面接」と呼ばれるものもその1つかもしれません。
その点、MMIはアドミッション・ポリシーなど面接の評価項目に従って作成したテーマを、受験生全員に使用することができます。個人の経歴に踏み込む必要もなく、医師としての資質を見ることができ、なおかつ客観的に評価することもできます。
特に「至誠と愛」の推薦入試で同窓会との間に不当な寄付金のやり取りがあったとされ、ガバナンスの不備を指摘された東京女子医科大学にとっては「面接試験での客観評価」は2026年1月30日付の改善計画書にもあった喫緊の課題だったと思われます。
ちなみに、東京医科大学も入試で女性差別と年齢差別を行っていたことが問題になった際に、翌年から個人面接の中にMMIを取り入れ、志望理由などの個人的な質問はほとんど聞かれなくなりました。
また、今回の動きは2026年度入試からいよいよ新課程に切り替わったことも関係があると考えられます。
今年は特に数学や化学などの理数科目で「パターンの解法ではなく、思考力で答えを出す問題」が目立つようになりました。
同じように面接試験でも、これまでのような「医師志望理由」や「大学志望理由」といったパターンで答えられる質問ではなく、受験生の資質を柔軟に見るためにMMIが導入されるようになった可能性が高いと考えられます。
私の著書『日本人の9割が知らない医学部受験の世界』でも、MMIの出題例を取り上げることによって、医師には「あらゆる場面に先入観なく、柔軟に四方八方から考察して妥当な解決策を導く力」が必要であり、その原石を発掘するためにMMI面接が行われていることを紹介させていただきました。
ぜひ実際にお手に取って、過去にどんな問題が出題されているかお確かめいただければと思います。
『日本人の9割が知らない医学部受験の世界』
佐藤正憲 著
四六判並製 268頁
定価:2,090円(本体1,900円)
978-4-7949-8042-7 C0095






