【2024女子医】東京女子医科大学一般選抜に合格した生徒の特徴
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
2024年度の私立医学部入試を大学ごとに振り返ってみたいと思います。まずは私立31大学の中で最も一般前期の志願者数が少ない東京女子医科大学を取り上げます。
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学費値上げにより女性にとって「ねらい目」の大学に
東京女子医科大学は男性が受験できないことから、最も志願者数が少ない私立医学部として、女性なら一度は受験を考える私立医学部です。ところが、2021年度に6年間の学費を1200万円値上げして、川崎医科大学に次ぐ学費となってから、志願者が大幅に減少しました。2020年度は1,390人だった志願者が翌年の2021年度には945人と3割以上減っています。
こうして学力上位層は「学費の高い大学」として敬遠するようになりましたが、何が何でも医学部に行きたい層にとっては、却って「ねらい目」の大学となりました。
学費値上げの初年度である2021年度こそ、99人の正規合格者と99人の繰上合格者を出しましたが、2022年度は正規合格89人、繰上合格36人、2023年度は正規合格99人、繰上合格20人と総合格者数は徐々に減っています。これは「女子医のみ合格した医学部受験生」が多いことを示しています。
物理と生物の問題難易度に差があった?2024年度入試
さて、2024年度の東京女子医科大学一般選抜は、生物と物理の問題に大きな難易度差があったと受験した生徒達の間で話題になりました。問題を持ち帰ることができず、問題そのものを見ていないので生徒からの伝聞になりますが、物理は問題が難しく記述量も多かったのに対し、生物は知識問題が多く、解きにくいと感じる問題はなかったそうです。
得点調整が入るのか、それとも素点で判断されるのか、一次発表まで受験生達は落ち着かない時間を過ごしたと思いますが、メルリックスの生徒に限れば物理と生物の合格者数に有意な差は見られませんでした。得点調整が行われたか、傾斜配点があったか、そのいずれかの可能性が考えられます。
このような中で二次試験が行われましたが、正規合格99人、補欠者は全員に順位が付いた195人が発表されました。補欠者は昨年の200人より5人減りましたが、昨年20位までしか繰り上がらなかったことから、大学側が多少減らしたものと思われます。
2024年の合格者には大きな特徴がある
さて、メルリックス学院から東京女子医科大学に一次合格した生徒達の傾向を分析したところ、一つ大きな特徴がありました。
それは「物理または生物が苦手な生徒が救われている」ことです。
物理が難しかったことで物理選択者の間であまり差が開かず、生物もまた知識問題が多かったことで、生物選択者同士の差があまりつかなかったことが考えられます。特に物理が苦手な医学部受験生は難しい問題が並んだことで救われたでしょう。
入試というのは受験生の得点を並べて「上から何番目」かで合否を判定する仕組みになっていますので、受験生同士で差がつきにくい科目があると、それ以外の科目で合否が決まる傾向にあります。
東京女子医科大学のように学費が高く、学力上位層の受験が少ない大学では「問題が難しい科目」があると、その問題に対応できる受験生が少ないため差がつかず、その科目以外の出来で合否が決まることが往々にしてあります。
2022年度は数学が苦手な受験生が救われた
近年では2022年度の東京女子医科大学の数学が、ちょっと解きにくい問題が並んだため、数学が苦手な受験生は苦戦することになりました。しかし問題で苦戦した分、点数では差がつかなかったのか、外部の方と面接練習をしていると「数学はほとんど白紙で出しました」「数学は0点でもおかしくないです」と堂々と言われることが非常に多かったです。おそらく、一次合格者の中に「数学が苦手な受験生」がかなり含まれていたものと思われます。
ただ、あまりにできない科目が1科目でもあると、やはり最終合格に到達することは難しく、その年の「女子医の一次合格(補欠)のみ持っている」方々は、数学、特に演習量に課題を抱える方が多かったのではないかと思います。
今年で言えば、物理または生物がそれにあたります。そこを突破するためには、やはり3教科4科目をまんべんなく勉強して、苦手科目も大きく足を引っ張らない程度まで仕上げること、さらには英語・数学・化学の力をもう一段階でも二段階でも上げるように努力することが必要です。
そう自己分析することによって、たとえ補欠が回ってこなかったとしても、次の年に「何をすればいいか」が明確になり、新たな気持ちで受験勉強をスタートできるでしょう。
ちなみに難関校の場合は、ある科目の問題が難しくなっても、そのレベルに対応できる受験生が必ずいるので、その難しかった科目を攻略できた人が受かる傾向にあります。2024年度入試でもそういった私立医学部がありましたので、今後取り上げていきたいと思います。