五反田TOCビルで最後の私立医学部入試

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。

2024年3月3日、藤田医科大学医学部一般後期の一次試験が行われました。名古屋会場はコンベンションホール、東京会場は五反田TOCビルが試験会場となりました。

五反田TOCビルは3月で解体が決まっているため、この場所で行われる最後の私立医学部入試となりました。

⇒2024年4月9日、建築費高騰のため計画を見直し、2024年9月頃に営業を再開すると報道されました。新TOCビルの新たな着工時期は2033年頃を予定しているとのことです。

https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1582942.html

3,000人を超えることも珍しくない私立医学部入試

私立医学部入試は志願者数が1,000人を超えることも珍しくなく、多い時は3,000人以上が一次試験を受験します。医学部1学年の定員は100人ほどと少なく、キャンパスも小規模で多くの受験生を受け入れることのできる施設を持たない大学がほとんどです。そのため、多くの私立医学部が一次試験を外部会場で行い、人数を絞った上で二次試験を本学キャンパスで行うのが定例となっています。

しかし、東京都内で大人数が一斉に受験できる試験会場は限られており、医学部受験生は「今日は高田馬場、明日は市ヶ谷……」と毎日のように東京都内を試験で移動することも珍しくありません。五反田駅から徒歩8分のところにある五反田TOCビルは収容人数が多く、これまでに多くの私立医学部入試が行われてきました。

五反田という場所の利便性

五反田TOCビルが私立医学部入試の会場として利便性を誇ってきたのは、まず13Fにある催事場の収容人数が多いことが理由でしょう。階をまたぐことなくワンフロアで入試を行えるため、試験監督の目が行き届きやすく、管理もしやすいことは大きなメリットです。

また、東海道新幹線の停車駅である品川からJRで2駅、また羽田空港から品川を経由して1時間足らずで来られることから、地方の医学部受験生にとって交通の利便性に優れていることも見逃せません。

五反田駅前にはビジネスホテルも多く、宿の確保もしやすいため、受験生のことを考えても五反田というのは非常に便利な場所だと言えるでしょう。

五反田TOCビルの取り壊しが1年延びる

その五反田TOCビルが建て替えのために取り壊されることになりました。当初の予定では2023年に取り壊し予定だったため、昨年度の私立医学部入試が「五反田で行われる最後の入試」になると思われました。

ところが、取り壊しが1年延びたため、今年も入試会場として使用できることになりました。とはいえ、多くの私立医学部が五反田TOCが使えなくなることを見越して、外部会場をどこにするか選定を進めていたため、今年の私立医学部入試で五反田TOCビルを使用したのは、国際医療福祉大学・獨協医科大学・藤田医科大学の3校にとどまりました。

現在、営業を続けている店舗も3月中には閉店となり、本格的に取り壊しが始まる予定です。当初の予定では新しいビルが2027年に完成とのことでしたが、取り壊しが延びた分、リニューアルも延期されるかもしれません。新しい五反田TOCは地下3F、地上30F、高さ150メートルのビルになる予定です。

五反田TOCビルの歴史

五反田TOCビルが使えなくなるということで、これまで試験会場として使用していた私立医学部は、モノレールが最寄り駅の東京流通センターや、みなとみらいのパシフィコ横浜ノースなど、首都圏の様々な会場で一次試験を行っています。

五反田TOCビルは1970年に竣工したためビルとしてはかなり古く、机や椅子がガタガタ揺れたり、トイレが少なくて13Fだけでは足りずに、休み時間のたびに各フロアのトイレを利用する医学部受験生で溢れたりと、生徒達からはいろいろな話を聞いていました。

もともと五反田TOCビルは星薬科大学の前身である星製薬株式会社が設立された場所であり、大学の校舎がそこから程近い荏原に建設された後も、星製薬株式会社の本社は五反田TOCにありました。敷地内には星薬科大学発祥の記念碑もあります。

多くの医学部受験生達が泣き、笑い、苦しみ、喜んだ五反田TOCビルがなくなるのは淋しいですが、新しくできる五反田TOCビルがどんなものか楽しみに待ちたいと思います。