
面接形式が大きく変わった!2026年度の川崎医科大学一般選抜でMMIが出題
こんにちは。
受験情報センターの鈴村です。
2月10日(火)12時に川崎医科大学一般選抜の二次試験合格発表がありました。2026年度から大学での掲示発表がなくなったので、何人が正規合格になったかは今のところ不明です。
メルリックス学院では2026年度も渋谷校・名古屋校・大阪校の3校舎の生徒たちが川崎医科大学に正規合格しました。その生徒たちから今年の二次試験で大きな変化があったことを聞いていました。その変化した面接試験についての考察になります。
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川崎医科大学の面接でMMIが出題される
これまで川崎医科大学の二次試験はオーソドックスな「個人面接」が行われていました。学生募集要項には「面接」と記載され、一般選抜は「100点+段階評価」、地域枠選抜は「150点+段階評価」となっています。
例年であれば、医師志望理由や本学志望理由、寮則を守れるかどうかの確認、建学の理念についての質問が主であり、他には受験生自身に関する質問や地域医療の問題についてなど、医学部面接の王道である個人面接が行われていました。面接官は3人です。
2026年度も学生募集要項の記載は例年と変わらず「面接」となっており、配点も変更はありませんでした。出願書類の「志望理由書」と「自己PR」もいつもと変わりませんでした。
ところが、実際に二次試験を受験した生徒から「面接官が用意されていた課題を読み上げてどうするか質問された」「面接官を患者さんだと思って答えるよう言われた」と驚きの報告を受けました。いわゆる課題型面接、MMI(Multiple Mini Interview)が行われ、一般的な質問はほんのわずかだったようです。
さらに、2026年度は川崎医科大学二次試験の1日目が2月7日(土)、2日目が2月8日(日)でした。2月8日(日)は埼玉医科大学一般前期の一次試験と重なっており、特に関東の医学部受験生の多くは二次試験が2月8日(日)になることを避けて、早めに出願しました。
そのため、メルリックス学院からも2月8日(日)に二次試験を受けた受験生は数えるほどでした。受けた生徒から聞いたところ、2日目も1日目と同じMMIのテーマが出題されたのことです。通常、面接や小論文であるテーマが出題される場合、試験日ごとに異なるテーマが出題されますが、今年の川崎医科大学では同じテーマが出題されたということでした。
予兆①岩手医科大学の面接でMMIが問われた
突然の変更に驚きましたが、実はいくつかの予兆がありました。
まず、今年から岩手医科大学一般選抜の二次試験で行われる面接にMMI(課題型面接)が導入されました。岩手医科大学は2018年度から学校推薦型選抜では「個人面接」と並んで「課題型面接」が行われています。個人面接は1人あたり15分程度、課題型面接は5分×2回で、課題テーマを渡されてそれについて解答することが求められます。2022年度から総合型選抜が始まりましたが、そこでも課題型面接が行われています。
これだけ推薦や総合型選抜で課題型面接が実施されているということは、受験生を選抜するのに適していると大学が判断しているということです。岩手医科大学はコロナ禍でリモート面接を実施するなどの感染対策を行っていましたが、2024年度から通常の対面型に戻りました。
そのため、どこかのタイミングで一般選抜の面接にも変更があるかもしれないと考えていました。
よって、岩手医科大学に一次合格した生徒たちとは「もしもの時」のためにMMIの練習もしていました。2026年度に行われた実際の面接では、一般的な質問に交じって「あなたは部活のキャプテンで、レギュラーに選ばれずモチベーションが下がっている部員にどう声をかけますか」などMMI面接特有の課題が出されました。
まだ二次試験の合格発表があったばかりなのでどういう結果になるかわかりませんが、来年度以降も通常の個人面接と課題型面接の混合になる可能性は高いと考えています。
このように、これまで通常の個人面接を行っていた私立医学部であっても、急に面接形式が変更されることがあるというのは一つのサンプルケースとして、面接練習をする際も頭に置いていました。
予兆②小論文でAIに関する文章が出題された
また、川崎医科大学は一次試験で小論文を実施します。(小論文の評価は二次判定で使用されます)
課題文を読んで自分の意見を800字で述べるというものです。
2025年度、2026年度と2年連続して「死」が題材、またはその一部として扱われた課題文が出題されました。2025年度は「一人称としての死」を唱えたヘーゲルに対して、医師である筆者が「二人称としての死」という言葉で、集団内で死を共有することで、初めて実感できる「死」があるという内容の文章でした。
そしてそれは、医師と患者という関係において、患者の死を他人事でなく自分自身の死として捉えることによって、患者との関係を患者主体で捉えることが可能になるという医療現場での話にもつながっていました。
2026年度の小論文は生成系AIの話から、AIには本質的に「死」がなく有限性がないと結論付け、死という限定を抱えた人間の情緒や感性から生まれる「アート」を大事にしてほしいという内容でした。出典は立教大学総長で神学者の西原廉太氏による『AIに収奪されない〈はるけきもの〉の大切さ』(學鐙 春号(Vol. 122 No.1)からでした。
人間の医師にできてAIにできないこと
2026年度の小論文を踏まえて、生徒と川崎医科大学の面接練習をした時に「人間の医師にできてAIはできないこと」という話になりました。既に今の時代、AIは意識していなくても我々の生活のあちこちで活用されています。
そういう時代に「人間の医師にしかできない」ことは何なのか?
一つの例としてあげたのは「余命宣告」でした。私事で恐縮ですが、私の母は胃がんで余命3ヶ月となった時、医師から「桜の花は見られないかもしれないね」と言われました。その言葉は医学的に正しく、しかし「桜の花を見るまでは生きていたい」という希望となって私たち家族を支えました。
もしこれをAI医師が言ったとしたらどうでしょうか?
「死なないAI」に余命宣告をされて、果たして人間の患者は納得できるのでしょうか?
たとえ、それが膨大なデータから導き出された医学的には精緻な結論だとしても、その存在に有限性を持たないAIが吐き出す言葉はどこか空虚で、表面的なものだと感じられるのではないでしょうか?
そもそも「桜」の花に日本人が無意識に持つイメージ、はかなさ、美しさ、本当に短い春の一時期しか咲かないこと・・・などは、たとえAIが口にしたとしても、それはオンライン上に蓄積された膨大なデータを学習したものにすぎません。AIの言葉に果たして余命わずかな患者とその家族が希望をつなぐことができるでしょうか?
いずれ同じく「死」を迎える医師から余命宣告されるからこそ納得できることもあるのではないか――面接の練習をしながら生徒とそんな話をしていました。きっと、面接で「余命宣告をしてください」と言われた時はさぞ驚いたことだろうと思います。
建学の理念や設立の経緯を理解した上で受験する
今回の川崎医科大学の面接は確かに大きな変更でしたが、面接での滑らかな回答がそのまま正規合格に繋がったわけではないことは結果にも表れています。2日目が特別に有利だったわけでもありません。
そもそも出題する大学側も、当然「答えのない問」としてMMIを出題しています。それに対して、医学部受験生がどのような道筋を辿って考えるか、受験生の答えを聞いた上で判断しています。
このようなMMIが、単なる頻出質問パターンの暗記で対応できないことは確かですが、川崎医科大学のアドミッションポリシーや建学の精神を理解した上で、自分の将来像をイメージしながら答えることができれば、それほど大きな失敗はしなかったはずです。
スマートフォンが普及し、すぐに検索して正解を知ろうとする行為を日常的に行っている今の若者にとって「答えのない問」にどう答えるかというのは、一種のチャレンジに近いものがあるかもしれません。しかし、そういった試行錯誤こそが、AIにはできない(オンライン上には残っていない)人間の行動の一つでもあります。
そして、今年度の面接内容をもとに、当然ながら来年度は高校や予備校が「川崎医科大学のための面接対策」を練って、受験生と練習をした上で二次試験に臨むことになると思われます。できれば、単なる「ゲームハック」のようなやり方ではなく、何が求められているかを理解した上で、生徒たちには面接に臨んでほしいと思っています。
川崎医科大学は創立者である川﨑祐宣先生が「人間(ひと)をつくる 体をつくる 医学をきわめる」という建学の理念を提唱して作られた大学です。1年次全寮制は「人間をつくる」徳育を行うための施設として誕生しました。
大学が創立されたばかりの時は土曜の昼に川﨑祐宣先生が寮に来て、学生たちを囲んで一緒に昼食をとるのを楽しみにしていたと当時の在校生から聞きました。
こういった川崎医科大学の設立の経緯や岡山県の地域医療の現状と川崎医科大学が果たしている役割を知っていれば、面接でどのような質問が来ても、きっと臆することなく答えることができるでしょう。





