
【2026私立医学部後期入試】倍率100倍でも怖くない!“何人と戦うか”ではなく“誰と戦うか”で決まる逆転合格
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
2月21日に一次試験が実施された東邦大学医学部の統一入試を皮切りに、いよいよ私立医学部の後期入試が始まろうとしています。前期でどこも結果を出していない人のみならず、前期の補欠を持っている人や、合格を持っていても行きたい大学に最後のチャレンジする人など、人によって違う立場の医学部受験生が受けるのが私立医学部の後期入試です。
とはいえ、後期入試は募集人員が少ない大学が多く、倍率は前期と比べて非常に高いのが特徴です。そもそも、私立医学部は前期入試の倍率も高いため、後期入試の最終倍率は100倍以上に跳ね上がる大学もあります。特に2026年度入試は前期日程が変則的だったため、後期日程まで受ける医学部受験生が例年より多いと思われます。
この記事ではそんな私立医学部の後期入試についてのデータをまとめてみました。
目次[非表示]
2025年度の後期志願者数ランキング
まずは、2025年度の私立医学部後期入試の志願者数をまとめました。多い順に並べてみると、 埼玉医科大学の志願者1,812人が最も多く、 関西医科大学の366人が最も少ない志願者数です。
後期は前期に比べると一次試験の地方会場が少なく、ほとんどの試験が東京で行われます。志願者数が少ないランク1位の関西医科大学と、2位の久留米大学は本学キャンパスまで行かなければ受験できません。
また、2025年度は3月1日に 埼玉医科大学と 昭和医科大学、 関西医科大学の3校の一次試験日が重なっていました。昭和医科大学と関西医科大学は毎年、後期の一次試験日が重なっており、東日本と西日本の学力上位層を分け合う形になっています。2025年度は、東日本の学力上位層は昭和医科大学、西日本の学力上位層は関西医科大学、学力中堅から下位層は埼玉医科大学と受験生がきれいに分かれました。
さらに、2025年度は 日本大学と 金沢医科大学の一次試験日も重なっていましたが、こちらも学力層によって受験生がきれいに二分されたのか、どちらも1,000人を超す志願者を集めました。
2025年度 私立医学部後期入試の志願者数
順位 | 大学名 | 2025一般後期 | 2025一次試験会場 |
1位 | 埼玉医科大学 | 1,812人 | 東京 |
2位 | 聖マリアンナ医科大学 | 1,606人 | 神奈川 |
3位 | 日本大学 | 1,449人 | 東京、神奈川、千葉、郡山 |
4位 | 日本医科大学 | 1,283人 | 東京 |
5位 | 金沢医科大学 | 1,226人 | 本学(金沢)、東京、大阪 |
6位 | 昭和医科大学 | 1,212人 | 東京 |
7位 | 獨協医科大学 | 1,042人 | 東京 |
8位 | 大阪医科薬科大学 | 920人 | 東京、大阪 |
9位 | 近畿大学 | 793人 | 東京、大阪 |
10位 | 久留米大学 | 643人 | 本学(久留米) |
11位 | 関西医科大学 | 366人 | 本学(大阪) |
後期では100倍を超える最終倍率も
次に、2025年度の私立医学部で後期入試を行っている大学の最終倍率を、前期と後期で比べてみました。
最終倍率 = 一次試験の受験者数 ÷ 正規合格者と繰り上げ合格者を合わせた数 |
例えば、 獨協医科大学の場合、2025年度前期入試では、 一次試験の受験者3,222人÷正規+繰り上げ合格者122人=26.4倍になります。(ただし一次受験者数は延べ人数なので、実際の受験者数はこの6~7割ぐらいと思われます)
こうしてデータを並べてみると、前期入試より後期入試の方が倍率が低い大学は当然ながら1校もありません。 前期と後期の差が最も大きいのは金沢医科大学で、前期17.1倍、後期110.1倍となっています。金沢医科大学は前期一次試験を2日間受験することが可能なので、前期の倍率は延べ受験者数で算出しており、実際の倍率はもっと低いことになります。
金沢医科大学の前期と後期の倍率の差は、入試日程などの関係もありますが、やはり 後期入試が英語と数学(Ⅰ・A・Ⅱ・B・CでⅢなし)の2教科受験であることが大きいでしょう。理科が苦手な医学部受験生が「ここならチャンスあり」と出願するケースが多く見られます。
この100倍を超える倍率がインターネットなどでもよく取り上げられ、「驚異的な倍率」「受かるわけない」といった先入観に繋がっているようです。
2025年度 私立医学部の前期と後期の最終倍率一覧
大学名 | 2025一般後期 | 2025一般前期 |
獨協医科大学 | 42.0倍 | 26.4倍 |
埼玉医科大学 | 62.6倍 | 20.1倍 |
昭和医科大学 | 55.9倍 | 11.0倍 |
日本大学 | 64.1倍 | 9.8倍 |
日本医科大学 | 約18~19倍 | 約6~7倍 |
聖マリアンナ医科大学 | 約105~106倍 | 約17~18倍 |
金沢医科大学 | 110.1倍 | 17.1倍 |
大阪医科薬科大学 | 42.7倍 | 8.7倍 |
関西医科大学 | 27.5倍 | 9.2倍 |
近畿大学 | 95.9倍 | 11.3倍 |
久留米大学 | 81.1倍 | 9.1倍 |
※日本医科大学と聖マリアンナ医科大学の繰り上げ合格者は数は非公開だが、生徒からの報告で概算した数値で倍率を算出している。
前期と後期の合格最低点を比較してみる
では、今度は前期と後期の合格最低点を比較してみましょう。非公表の大学もありますが、公表されている最低点を比較してみました。
基本的に前期と後期の出題形式は同じ私立医学部が多いですが、近畿大学医学部のように一般後期は数学が医学部独自の問題が出題されるなど、一部で前期と後期の出題形式が異なる大学があります。
2025年度 私立医学部の前期と後期の合格最低点一覧
大学名 | 2025一般後期 | 2025一般前期 |
獨協医科大学 | 非公表 | 非公表 |
埼玉医科大学 | 248点 | 280点 |
昭和医科大学 | 260点 | 232点 |
日本大学 | 238.67点 | 230.55点 |
日本医科大学 | 非公表 | 非公表 |
聖マリアンナ医科大学 | 245.0点 | 278.0点 |
金沢医科大学 | 125点 | 218点 |
大阪医科薬科大学 | 278点 | 267点 |
関西医科大学 | 367点 | 305点 |
近畿大学 | 260点 | 251点 |
久留米大学 | 非公表 | 非公表 |
※各大学の一次合格最低点。関西医科大学のみ正規合格最低点を掲載。日本大学は標準化後の得点。
2025年度入試では、 埼玉医科大学の一般前期は数学が易しく、受験者平均点が6割を超えています(大学のホームページで確認できます)。一般後期は例年通りの難易度に戻りましたので、それが 一般前期280点、一般後期248点という合格最低点の差につながっています。
聖マリアンナ医科大学も2025年度一般前期では化学が非常に易しく、例年6割前後の合格最低点が一気に7割近くに跳ね上がりました。一般後期では難易度が調整されて 245.0点(61.3%)といつも通りの難易度に戻っています。
金沢医科大学の一般後期は英語と数学の2教科にも関わらず、一次合格最低点は 125点(62.5%)と、一般前期とほとんど変わらない得点で一次を通過することができます。
金沢医科大学では2025年度から足切点が導入されましたが、足切点があるのは総合型選抜と一般後期のみで、一般前期にはありません。大学の方におうかがいしたところ、総合型選抜や一般後期の合格者の中に大学に入ってからの勉強に苦労した人がおり、このような対応になったということでした。
つまり、ちょっと良くない表現をすると「総合型選抜や一般後期では、多少学力に不安があっても“ワンチャン”が起こり得る可能性があるため、それを足切点導入で予防している」ということになります。この金沢医科大学の事例は私立医学部の後期入試を考える上での大きなヒントになります。
私立医学部入試は倍率=難易度ではない
メルリックス学院では、毎年後期入試で合格していく生徒がいます。受験情報センターでも倍率だけを見て、受験を控えるようアドバイスすることはしません。
最初に書いたように、私立医学部の後期入試を受ける受験生は大きく3つに分けられます。
①前期でどこも受かっていない人 ②前期の一次合格、または補欠を持っている人 ③合格を持っているが別の大学に挑戦する人 |
このうち、③の人が受験するのは日本医科大学や関西医科大学、昭和医科大学、大阪医科薬科大学といった難関校や、自宅から通える都心の医学部になります。そのため、後期入試であっても難関校や都心の医学部の方が難易度が高くなります。
私立医学部入試の難易度は「倍率」ではなく、「学力上位層がどのぐらい受験しているか」で決まります。例えば、2025年度の 慶應義塾大学医学部は1,284人が受けて177人が合格しているので、 実質倍率は7.3倍になります。 岩手医科大学の2025年度の 実質倍率は10.7倍です。それでも、慶應義塾大学より岩手医科大学の方が難しいと思う人はいないでしょう。
なぜか。
慶應義塾大学を受験している1,284人のほとんどが、私立医学部の最難関校を受けるぐらい学力に自信がある層だからです。もちろん、岩手医科大学を受験している2,210人の中にも学力上位層はいるでしょう。しかし、慶應より少ないことは想像に難くありません。
つまり、私立医学部入試は「何人と戦うか」よりも「誰と戦うか」の方が重要です。私立は国公立医学部医学科のように足切りがあるわけではないので、受験者の学力層が上から下までバラバラで目に見えません。そのため、倍率だけ見て「もう無理だ」と諦めてしまう人がいるのですが、受験校を選べば(学力上位層を避ければ)前期と比べて特に恐れることはありません。
言い換えれば、前期と同じぐらい難しいわけですが、前期入試での反省を踏まえて後期入試に臨むことで合格確率を上げることができます。そのため、前期入試での自己分析が必要になります。
2026年度前期で出題傾向が変わった大学
よく 「前期入試を受けていないのに、後期入試を受けても大丈夫ですか?」と聞かれることがありますが、全く気にする必要はありません。いわゆる「志望度が高い人が得をする」ような制度は、私立医学部入試にはありません。
ただ2026年度入試の場合、前期入試を受けていることで、傾向の変化がわかっているというアドバンテージは多少あるかもしれません。2026年度の私立医学部入試は新課程2年目ということもあり、数年前から少しずつ見られた傾向の変化が顕著になった年でもありました。そのため、ある大学の科目が易化したり難化したりといった、出入りの激しい年となりました。
必ずしも、前期入試の難易度や傾向が後期入試にも引き継がれるわけではありませんが、ただ過去問演習をやるだけではない、プラスアルファの情報による対策ができるのは受験生にとっては心強いことでしょう。
メルリックス学院では渋谷校・名古屋校・大阪校の3校で、後期医学部対策講座を実施中です。当然ながら、前期入試で出題された最新の傾向と難易度をもとに対策講座を実施しています。











