
「意味のある浪人」にするために、今伝えたいこと ~医学部受験英語講師の視点から~
こんにちは。メルリックス学院英語科講師の関口です。
長年、医学部を目指す生徒さんと伴走していると、何年勉強しても合格に手が届かない「多浪生」の方に出会うことがあります。
彼らの英語の答案を見ると、知識は「なんとなく」増えていますが、基礎の部分に抜けがあることが多いです。基本的な単語を覚えていない。基本的な文法を理屈で説明できるまで解き込んでいない。
厳しい言い方をすれば、予備校に通うことで「勉強しているつもり」にはなっていますが、合格に必要な「泥臭い準備」から目を背け続けているように感じます。
今日は、その「埋まらない差」の正体について、心理学的な視点も交えてお話しします。
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「学習性無力感」からの脱却(いわゆる「落ち癖」)
一つ目は、準備不足への抵抗感のなさ。心理学では 「学習性無力感(Learned Helplessness)」に近い状態です。
「どうせ結果は変わらない」と無意識に諦め、努力を放棄してしまう状態です。
試験などを準備もしないで受けに行けてしまうメンタル。「とりあえず受けに行こう。なんとかなるだろう」と自分を誤魔化して会場に向かってしまう。
もちろん、コツコツやった結果、準備が間に合わないことはあるでしょう。しかし、普段から準備もせずに受けに行き、悪い成績が出たり不合格になったりすることを繰り返す。そうした「負け」の経験を積み重ねると、「今日もきっとだめだ」と、土壇場での粘り強さも失われてしまいます。
私はこの状態を、厳しい言葉ですが 「落ち癖」と呼んでいます。
「良い先生」はいない。君が作るんだ。(他責思考)
二つ目は、予備校や講師への過度な依存です。
「実績のある予備校だから」「良い先生だから」成績が上がるはずだ。そう思いたくなる気持ちはわかります。
しかし、私はよく生徒にこう言います。
「良い先生なんていない。君たちが、私たちを良い先生にするんだ。」
受け身で授業を聞いて「やってくれない」「わかりにくい」と嘆くのは三流です。
「ここがわかりません」「これを添削してください」と食らいつき、質問攻めにして、講師を使い倒す。講師を「自分を合格させるための道具」に変えるくらいのしたたかさが、あなたにはありますか?
試験問題もそうです。「この問題、自分には合わないんです」ではなくて、「自分が問題に合わせる」んです。
試験本番で答案用紙に答えを書くのは、予備校でも講師でもなく、あなた自身です。うまくいかない原因を外に探しているうちは、成長は止まったままです。すべての結果を「自分ごと」として背負う覚悟が必要です。
「医学部志望」という居場所(モラトリアム)
三つ目は、現状維持への甘えです。
周囲からの「頑張って」という応援はありがたいものですが、その言葉に甘え、「応援されている自分」に満足していませんか?
受験の評価は「合格」のみです。
「来年がある。まだ不合格と決まったわけではない」
という言葉は、まるで未決囚のような、まだ判決が出ていない「途上状態」のようで、ある種の心地よさがあります。
でもその心地よさは、今のあなたから「今年決める」という切迫感を奪う麻薬です。
応援は、実はプレッシャーであるべきです。「応援されて気持ち良い」のではなく、「応援されて受からなかったら大変だ」と、覚悟を決めるための材料に切り替えてください。
最大の罠「セルフ・ハンディキャッピング」
そして最後に、直前期の最大の罠について。これは心理学で言う 「セルフ・ハンディキャッピング」です。
失敗した時に自尊心を守るため、あらかじめ自分に不利な状況(言い訳)を用意する防衛機制です。
① 「諦め」という保険
11月頃に「今年はもう無理だ。来年にしよう」と決めてしまうこと。本気で直前まであがいて落ちた時、自分の実力のなさを直視するのが怖いからです。「秋から諦めてたから」と言えば、傷つかずに済みます。
② 「独学」への逃避
直前期に急に「授業をやめて、自分でやります」と言って予備校に来なくなるパターンです。
プロである講師の言う通りにして落ちたら、もはや言い訳がききません。自分の「実力不足」を認めることになります。それは怖いことです。
だからあえて「自己流」という不確定要素を混ぜることで、万が一ダメだった時に「やり方が悪かっただけ(自分にはまだ可能性がある)」という逃げ道を残そうとするのです。
しかし、直前期こそ客観的な「ペースメーカー」が必要です。自分を守るために孤独を選び、リズムを崩した受験生の結果は、火を見るよりも明らかです。
完走した後にしか見えない景色
受験はマラソンと同じです。
途中でリタイアした人は、そこまでの景色しか見えません。一方で、ボロボロになりながらゴールした人は、本当のつらさを知っています。
「死ぬほどつらかった。でも、ゴールテープは切った」
完走した後に残るのは、言い訳のない事実だけ。
「なぜ、目標タイム(合格)に届かなかったのか?」
答えはシンプルです。魔法も奇跡もなく、「雨の日も風の日も、毎日コツコツと走り込み(学習)を続けるしかない」。
その事実に腹落ちできるのは、一度でも言い訳せずに走り抜けた人間だけです。
「来年はもっとうまくやれる」という確信は、全力を出し切った事実からしか生まれません。
傷つくのを恐れて「セルフ・ハンディキャッピング」に逃げた浪人生活は、また同じ場所で立ち止まります。
どうか、自分をごまかすための「孤独」や「来年」を選ばず、最後まで教室に来て、最後の1秒まで走り切ってください。その「完走」の経験こそが、合格への唯一の道です。
私たちは、皆さんが走り抜けるための給水所であり、ペースメーカーです。
実際に走り抜けるのは皆さんです。一緒に、ゴールテープを切りましょう。教室で待っています。





