
東海大学医学部<展学のすすめ>の二次試験データ
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
メルリックス学院 渋谷校では去る2025年5月17日(土)に、東海大学伊勢原キャンパスの入試担当者をお招きして【展学のすすめガイダンス】を行いました。その中で、東海大学の入試ご担当者から、かなり突っ込んだ内容まで受験生の皆さまにお話しいただくことができました。
今日はそのガイダンスでうかがった内容の中から、展学のすすめの二次試験に関する正確なデータをお伝えします。受験する上で、絶対に知っておいた方がいい内容ばかりです。
※ガイダンスでうかがった一次試験に関するデータはこちらの記事からお読みいただけます。
志願者はこのところ減少傾向
【志願者数】
2025年度の志願者数は146名でした。2024年度207名、2023年度199名、2022年度226名とここ数年、200名前後で推移していましたが、2025年度は150名を割る志願者数となりました。ちなみに、2026年度の志願者は前年度からさらに減少した模様です。
受験者減少の理由としては、医学部の志願者数自体が頭打ちであることや、物価上昇などの経済的問題による私立医学部の学費負担など複数の要因が考えられます。
例えば、学力試験で東海大学と同じく英語と小論文が課される群馬大学医学部の学士編入学試験は、2025年度224名、2024年度212名、2023年度222名と、このところ200名超の志願者数を集めています。以前と比べれば減少傾向にありますが、募集人員15名という学士編入には珍しい人数の多さもあり、安定した人気を保っています。
ちなみに、私立医学部では北里大学医学部が1年次後期から編入できる編入学試験を、東京医科大学が1年次入学の学士選抜を実施しています。この2校は学校推薦型選抜と同じ内容の学力試験(英語・数学・理科)を課しているため、東海大学や群馬大学と単純に比較はできませんが、いずれも40名近い志願者を集めています。
東海大学は展学のすすめ合格者全員に150万円の特別選抜奨学金が支給され、6年間の学費は3400万円余りとなります。東京医科大学は1年次の授業料290万円が免除になり6年間で2650万円、北里大学は1年次9月入学なので初年度学費が587万8千円と313万円安くなり6年間で3581万8千円の学費になります。
【一次倍率】
2025年度は受験者138名に対し一次合格21名であり、一次倍率は6.6倍でした。2024年度と2023年度の一次倍率は6.9倍、2022年度の一次倍率は5.8倍と、毎年6倍~7倍ほどの競争率となっています。
【最終倍率】
2025年度の最終合格者は6名でした。募集人員の10名を下回っているのは、二次試験を受験した21名のうち、合格基準に達した者が6名だったということでしょう。ちなみに1名が入学辞退しており、入学者は5名となっています。
二次試験の得点が5割を超えた受験生はたった4名
東海大学医学部展学のすすめでは、二次試験で3種類の面接が行われます。
①個人面接(経歴、志望動機等) ②プレゼン面接(課題に対してプレゼント質疑応答) ③MMI(課題に対してその場で自分の考えを説明) |
このうち、①と②は20分程度、③は5分程度×2回おこなわれます。面接官はそれぞれ2名ずつで、計8名の面接官が採点します。二次試験全体で240点の配点があります。これは、一次試験(200点)の1.2倍の配点です。
大学の入試担当者によると、2025年度二次試験の得点分布は10点から179点の間に収束しています。誤植ではありません。240点満点で10点から179点の間に21名の受験者がいます。
驚くべきことに、4名の受験者が10点台という点数です。その他にもう1つ、60点台にもボリュームゾーンがあり、ここにも同じく4名の受験者がいます。二次試験の最高得点は170点台の1名、次が160点台の1名です。そもそも240点中50%以上得点している受験生が4名しかいません。
受験生の平均年齢は男性36.3歳、女性31.3歳ですが、ボリュームゾーンは20代であり、最も多いのは22歳となっています。おそらく四年制大学を卒業する年にチャレンジする受験生が多いと考えられます。年齢や経歴での差別があると考えるより、そもそも「東海大学医学部が考える基準」を満たしている受験者が少ないと考えるのが妥当でしょう。
二次試験の面接で逆転可能だが・・・
合格判定は一次試験と二次試験の総合評価で行われます。しかし、ここまで二次試験の面接試験で差がつくと、当然ながら二次逆転が可能です。
2025年度のトップ合格者は、一次試験の順位が1位、二次試験の順位が2位でした。文句なしのトップ合格です。2位の合格者は一次試験の順位が8位、二次試験の順位が1位と二次試験で逆転しています。最終合格は6名ですが、3位から6位までの合格者は全員一次試験の順位は10番台であり、いずれも二次試験で逆転しています。
よく「面接での逆転はありますか?」と聞かれますが、東海大学医学部展学のすすめに関しては間違いなく「ある」と答えられるでしょう。
では、どうすれば二次試験の面接で逆転合格が可能か?
これについては、学生募集要項の最初のページをまずはしっかりと読んで理解することをお勧めします。募集要項の冒頭には、東海大学の建学の精神、そして医学部医学科のアドミッションポリシーについて書かれています。まずは、東海大学医学部がどういう人材を求めているのかを知ることです。
そして、なんといっても東海大学医学部医学科の使命は「良医の育成」です。面接試験では自分がアドミッションポリシーに当てはまること、そして良医の資質があることをアピールすることが重要です。
毎年、面接指導をしていて感じるのが、経歴のある再受験生の方々にアドバイスすることの難しさです。当然ながら、これまでの経験を活かした上で医師になりたいという志望動機がポイントになりますが、これまでにいくら素晴らしいキャリアを積み上げていても、医学部に入学すれば医学を一から学ぶことになります。
一から謙虚に学ぶことができるかという資質も見られていますし、特にこれまで営利企業に勤めていた方々にとっては、全く異なる医療の世界に飛び込むことになります。そのあたりの覚悟や理解が求められていますが、華々しいキャリアを積んできた方ほど、そのギャップを飛び越えることがなかなか難しいかもしれません。
医療系学部を卒業した方々は、医療や医師という仕事についての理解がありますので、その点はクリアしていますが、逆に「なぜ今の医療従事職ではダメなのか?」という問いについて面接官を納得させることが重要になります。
面接指導をしていて「年齢が不利になる」と思ったことはありませんが、「華々しいキャリアが不利になる」と思ったことは何度もあります。面接官に「今の仕事を続けた方が社会貢献できるのでは」と思わせない、医師志望動機と良医の資質をいかに面接でアピールするかが合否のカギとなるでしょう。





