
歯学部入試に講義理解力テストが増えている理由
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
7月21日(月・祝)に受験情報センター主催/日本私立歯科大学協会協賛の【全国歯学部合同説明会】を開催しました。東京・渋谷に過去最高となる全国16校の歯科大学が集まり、大変盛況なイベントとなりました。
【7/21渋谷】全国歯学部合同説明会が終了しました|受験情報センターより
各大学10分ずつのご講演をいただいたのですが、その中に歯学部入試のトレンドを感じましたので、今日はその話を皆さまにお伝えしたいと思います。
総合型選抜で行われる講義理解力テストの話です。
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総合型選抜の出願が9月1日より解禁
いよいよ総合型選抜の出願が9月1日から始まります。これは文部科学省が総合型選抜の出願開始日を9月1日以降、合格発表を11月1日以降と定めていることによります。
さて、既にあちこちのセミナーでお話しさせていただいている、東洋大学の年内入試が発端となった2/1以降ルール順守の問題。
文部科学省は総合型選抜・学校推薦型選抜についても「学力検査を課す場合の試験期日は2月1日以降」と定めています。
そのため、多くの大学は総合型選抜や学校推薦型選抜で、基礎学力入試や適性試験といった名称の、一般選抜の入試問題よりは易しいレベルの問題を出題します。
私立歯学部も当然そういった形式を取り入れていますが、近年、それとは別に「講義理解力テスト」(名称は大学によって異なります)といった新しい形態の試験が増えてきました。
歯学部の講義理解力テストとは?
これは大学によって多少やり方は異なるものの、大学の先生の講義または事前に録画された動画を視聴した上で、その内容に関する試験に答えるというものです。
いわば、大学に入学してからの講義と試験を先取りした形式と言えるでしょう。
この講義理解力テストは明海大学歯学部がAO入試で早くから取り入れており、毎年オープンキャンパスではどういった形で試験が行われるかを解説する模擬講義が行われます。
実際にその模擬講義を受けたり、講義理解力テストのある大学を受験した生徒達の報告を聴いて感じることは、「事前の集中的な準備ではなく、高校3年間を通してしっかり勉強したか」が問われる試験だということです。
講義理解力テストで出題される内容は、受験生にとってはその日初めて見る内容ですが、高校で学ぶ生物、化学といった理科の内容や、図やグラフが出題される場合は数学など、科目ごとではなく、高校で学ぶ内容全般の知識があるとスムーズに理解できることが多いと言えます。
当然ながら、どの高校生も高校で物理基礎・化学基礎・生物基礎を学びますし、数学も学びます。歯学部を目指すのであれば、もともと人体の構造や医療などに興味もあることでしょう。
そういった受験生の日々の学習内容や歯科医師になるという意識を総合的に問うことができるのが「講義理解力テスト」だということです。
さらには、講義で聴いた内容を自分なりにノートを取って、理解して、それをペーパーテストで問われた時にきちんと答案に表現できるかも見ることができます。
明海大学歯学部は2026年度入試から、総合型選抜(AO)では基礎能力テスト、総合型選抜(自己推薦型)では数学的思考力テストが課され、講義理解力テストは廃止されます。しかし、高校の教科書レベルの数学・理科の知識が要求されることは変わらず、特に数学的思考力テストはこれまでの出題を引き継いだものになるのではないかと思われます。
日本大学松戸歯学部の基礎学力検査が講義理解に変更
昭和医科大学の総合型選抜では導入当初から、この「講義理解」が行われていますが、今年度から日本大学松戸歯学部、そして新しく始まる岩手医科大学歯学部でも導入されることになりました。
日本大学松戸歯学部はこれまで「基礎学力検査」という名称で、英語や数学、国語の基本問題が出題されていました。今年からそれがなくなり、「理解力の確認(100点)」という試験が課されます。
募集要項によると、マークシート方式で、基本的な歯科医学に関する約30分の模擬授業(動画)を受講後、授業内容に関する設問に解答する(20分程度)となっています。
先日の【全国歯学部合同説明会】では、日本大学松戸歯学部の教授も「特別な準備は不要になります」と講演でおっしゃっていました。
とはいえ、一般選抜のために勉強している理科の内容は役に立つでしょうし、ひょっとしたら数学的思考も必要かもしれません。
また、他の試験が「小論文(50点)」と「面接(50点)」になるため、小論文はある程度テーマ型で準備できますから、点数を取りに行ける小論文の対策をこれまで以上にやっておく必要があります。
※日本大学松戸歯学部のオープンキャンパスでメルリックス学院の小論文講師が歯学部小論文を担当しています。詳しくはこちらから。
岩手医科大学歯学部で総合型選抜が始まる
さらに、今年度から岩手医科大学歯学部では総合型選抜が始まります。総合型選抜では、60分間の模擬授業を受けた後に、記述式の理解度確認テストが行われます。さらに、集団面接と個人面接が課されます。
これはもう大学からの「高校で身につけた基礎学力を前提に、入試では歯学部入学後になじめるかどうかを見ますよ」という極めてメッセージ性の高い入試と言っていいと思います。
試験は10月26日(日)に行われ、11月1日(土)に合格発表ですから、早くに入学を決めた後に、歯学部入学後のことを考えて、しっかり基礎学力の構築に取り組むことができます。大学から事前課題も出されるでしょうし、共通テストを受験するという目標を立てることをお勧めします。
出願資格は令和5年度以降の高卒生か現役生、つまり高校の調査書が出る受験生ということです。評定平均の制限はありません。
このように、歯学部は「理系」ではあるものの、入学後に必要なのはむしろ理科的な科目に関する興味関心や、他者とのコミュニケーションです。
そういった大学で学ぶ内容と講義理解力テストがリンクしやすく、近年の増加に繋がっているのだと考えています。まさに「高大接続」です。
メルリックス学院では【昭和医科大学歯学部総合型選抜 講義理解シリーズ《全4回》】のお申込みを受付中です。日本大学松戸歯学部、岩手医科大学歯学部の総合型選抜を受験される方にも対応している内容になります。ぜひ受験をご検討ください。





