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【東日本】第2回 私立医学部の繰り上げ合格・補欠合格について


こんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤正憲です。


前回は繰り上げ合格・補欠合格の仕組みについて取り上げました。今回は具体的な大学ごとに見ていきます。まずは東日本の大学を取り上げてみましょう。


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目次[非表示]

  1. 1.2022年度の繰り上げ合格・補欠合格数の検証
    1. 1.1.【東日本】上位校(2022年度実績/前期)
    2. 1.2.【東日本】中堅校(2022年度実績/前期)
  2. 2.2023年度の繰り上げ合格・補欠合格動向(3/12時点)
    1. 2.1.【東日本】現時点で確認できている大学
    2. 2.2.【東日本】現時点での講評
  3. 3.今後の繰り上げ予想


2022年度の繰り上げ合格・補欠合格数の検証


【東日本】上位校(2022年度実績/前期)

◎東京慈恵会医科大学79人

◎日本医科大学 補欠候補者177人のほとんどが合格?

◎国際医療福祉大学(150番~200番 D補欠の途中)

◎東京医科大学126人

◎昭和大学 154人


国公立医学部との併願者が多いと思われるこれらの大学は、毎年100人以上の補欠候補者が優に繰り上げ合格・補欠合格になります。繰り上げ合格・補欠合格が回りだすのが国公立大学医学部の前期発表から1週間程後の3月15日くらいから本格化します。やはり、国公立大学医学部との併願者の動向で玉突き現象が発生する所以です。


日本医科大学は一般前期の補欠候補者はほぼ全員繰り上げ合格・補欠合格になりますが、2021年度はどうやら繰り上がらなかった補欠候補者がいたようです。


この年は日本医科大学の二次試験日のうち1日が東京慈恵会医科大学の一次試験日と重なっており、ほとんどの受験生が東京慈恵会医科大学と重ならない日を希望した結果、希望通りの二次試験日にならない受験生が多くいました。「慈恵か、日医か」という選択を迫られた受験生のうち、日本医科大学を選んだ人はそれだけ志望順位が高いということですから、例年より日本医科大学の繰り上げ合格・補欠合格が減少したのはそこに起因すると思われます。


昭和大学はこのところ正規合格発表の翌日に100人を超える大量の繰り上げ合格・補欠合格を出して、後は微調整にとどめています。2021年度・2022年度と2年続けて、1回目の繰り上げ合格・補欠合格を出した後は動きがなかったので、今年は1回目の繰り上げ合格・補欠合格者数を149人と絞り、補欠候補者は262人と昨年度の428人から大幅に減らしました。


因みに慶應義塾大学医学部に関しては毎年、国公立前期と後期の合格発表後に2回、綺麗に40人前後の繰り上げ合格・補欠合格を出しています。その後、入学辞退があって微調整することはありますが、基本的に繰り上げ合格・補欠合格は2回となっています。入学辞退する層が首都圏国公立医学部、旧帝国大学医学部に合格した層の一部に限られていることが起因しております。


【東日本】中堅校(2022年度実績/前期)

◎日本大学136番

◎杏林大学165番まで確認

◎北里大学187番

◎聖マリアンナ医科大学148番まで確認

◎東海大学24番

◎埼玉医科大学108番まで確認

◎岩手医科大学187番まで確認

◎東京女子医科大学36番


このあたりの中堅私立医学部の一部の繰り上げ合格・補欠合格者数は非常に多くなっております。医学部受験人口が2018年度をピークに減り続けていること、また女性差別・年齢差別が社会問題となり、公平な合否判定が進んだ結果、1人の受験生が複数の合格を持つ割合が増え、辞退数が増えたことなども要因としては考えられます。


北里大学・聖マリアンナ医科大学・東海大学の神奈川県にある3校は、併願する受験生が多いのか繰り上げ合格・補欠合格が連動して動くことが多かったのですが、このところ東海大学が独自の動きを見せるようになりました。


東海大学は2022年度まで受験者数が減少し続けており、一般選抜での募集人数も60人とそれほど多くありません。また、理科1科目で受験できるので東海大学のみ合格している受験生の割合が多いことが予想されます。


東海大学は2021年度も40番台前半までしか回らなかったことが確認できています。この年は一次試験日が重複していたのが東日本では日本医科大学、順天堂大学の2校のみで受験者層が全く重ならず、学力的に不安のある東日本の受験生が東海大学に集中したと思われます。そのため、東海大学のみ合格している受験生が例年よりも多かった可能性があります。


ちなみに2021年度の北里大学は補欠候補者以外の二次受験者にも繰り上げ合格・補欠合格を出し、聖マリアンナ医科大学も197番まで回ったことが確認できています。北里大学と聖マリアンナ医科大学はどうやらまだ繰り上げ合格・補欠合格が連動している節があります。


2023年度の繰り上げ合格・補欠合格動向(3/12時点)


【東日本】現時点で確認できている大学

◎岩手医科大学50番台(3/10)

◎埼玉医科大学前期1桁台後半(2/22)※その後50番台まで回っている?

◎杏林大学1桁台後半(3/7現在)

◎昭和大学148人(2/14・1回目) 

◎東京医科大学一般5番(3/9・1回目)

◎東邦大学4回目

◎日本医科大学 10番台前半(2/24)

◎北里大学20番台前半(2/9)※その後2/17にも2回目

◎聖マリアンナ医科大学前期20番(2月中のどこか・その後はなし)

◎東海大学 40番台前半(3/10)※3/1に1回目


【東日本】現時点での講評

なんといっても、東京医科大学の1回目の繰り上げ合格・補欠合格が5番までしか繰り上げ合格・補欠合格を出さなかったのは衝撃でした。毎年、東京医科大学は正規合格者の手続締切後に1回目の繰り上げ合格・補欠合格を出すのですが、2022年度は55番(3/2)、2021年度は41番(3/9)まで繰り上げ合格・補欠合格になりました。


一次試験日が2/8と昨年の2/5よりさらに後ろに下がった影響もあるかもしれませんが、どちらも単独の日程だったのでそれだけが理由ではないと思われます。


日本医科大学がここ数年では珍しく2月中に最初の繰り上げ合格・補欠合格を出したのとは対照的です。


また、神奈川県3校で言えば、東海大学は3/10の時点で40番台前半と既に昨年の24番を超えていますが、北里大学と聖マリアンナ医科大学は昨年よりも動きが鈍いようです。


今後の繰り上げ予想


東北医科薬科大学は例年、国公立医学部の前期発表後の3/10あたりから本格的に繰り上げ合格・補欠合格が動き始めます。今年も同様の動きとなるでしょう。慶應義塾大学や東京慈恵会医科大学は3/15前後に1回目の繰り上げ合格が発表されます。東京慈恵会医科大学は例年1回目の繰り上げで50人前後の繰り上げ数、慶應義塾大学に関しては25名前後発表されます。


2022年度の北里大学は3/7に91番まで繰り上げが発表され、その後、3/26まで3週間近く間が空きました。このように次の繰り上げ発表まで長時間空くこともありますので辛抱が必要です。


次回は西日本編をお送りしたいと思います。




佐藤
佐藤
メルリックス学院代表。1971年、愛知県名古屋市生まれ。1995年、名古屋大学法学部法律学科卒。日本生命保険相互会社、中央出版など教育系出版社を経て2018年から現職。2020年に大阪医学部予備校ロゴス、2022年にDDPを吸収合併。著書に『あなただけの医学部合格への道標』(産学社)などがある。

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