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2023年度医学部入試概況 第3回 | 代表室より入試問題から見えてくるもの

こんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤正憲です。


代表室から2023年度の医学部入試についてお届けするブログ。第3回の今日は入試問題から見えてくる入学してからのことを述べたいと思います。


目次[非表示]

  1. 1.藤田医科大学の例に見る入試問題と学生の質
  2. 2.科学的思考力をどこまで重視するか


藤田医科大学の例に見る入試問題と学生の質


以前、藤田医科大学の教授の先生と話をする機会がありました。教授は20年前の学生と今の学生を比較した時の入試問題のあり方に言及されておりました。
昔の藤田の問題はそれこそ短答形式で、今のように論理力を測るような内容では無かったそうです。
10年程前から記述を重視した内容に変更して英文の長文化が顕著になりました。
また、記述式の部分も徐々に増やして近年は数学に証明問題も取り入れています。


今年の藤田で出題された証明問題は私立医学部入試では珍しい格子点で作られた図形の証明問題でした。
もともと数学的帰納法など他の私立医学部では出さないような問題を記述部分で出題するのが藤田の特徴ですが、今年もまた「典型問題を時間内に処理する」という対処法では歯の立たない問題を出してきました。


記述重視の入試に変えて学納金を減額した結果、入学してくる学生の資質が格段に変わり、国家試験の合格率が向上、輩出される医師の資質も大きく上がったそうです。
結果として藤田医科大学岡崎医療センターを開設できるまでに至ったと話をしていらっしゃいました。


総括すれば、医師国家試験を考えた場合、CBTや国家試験で問われる膨大な情報を迅速に処理する力、そして能力の高い医師に育っていく為に必要な論理的思考力。
この2つの素養を測るのが医学部入試の役割であると考えます。


科学的思考力をどこまで重視するか

また、科学的思考力をどこまで重視するかも国公立と私立では違いがあります。


国公立大学には物理を必須としている大学が7校あります。北海道大学、群馬大学、金沢大学、名古屋市立大学、愛媛大学、九州大学、佐賀大学です。
国公立大学の場合、研究に進む学生を育てたいという意向も強いため、臨床医の育成を主とする私立医学部と比べると思考力がしっかりと備わっている学生を選抜したいという意向が感じられます。



また、九州大学・佐賀大学や名古屋市立大学のように、近隣の学校の殆どが理系は物理を専攻するものとし、生物を開講していない高校もあるため、地域の事情に配慮しているケースもあります。
また、物理選択者は医学部に入学した当初は苦労すると言いますが、科学の基礎思考力が備わっている学生でしたら、大学入学後でも知識を身につけることで生物選択者に十分に追いつけるという大学の学生への信頼度が高いことが挙げられます。



国公立医学部の中には旭川医科、秋田、島根、徳島といった英語、数学のみで医師になるうえでの適性を測る大学もあります。
理科は共通テストで2科目課しているので、記述式の2次試験では必要ないという考えなのだろうと思います。


逆に私立の大学は聖マリアンナ医科大学のように推薦合格者に対して生物のボリュームある課題を出すようなところもあります。
そもそも聖マリアンナの推薦で課される自然科学総合問題は、数学・物理・化学・生物の融合問題と言いながら、生物の基礎的な素養がないと解けないような問題が出されます。
また、帝京大学や東海大学のように1年生の後半から解剖が始まるなど、あえて専門課程を1年から取り入れて早くから医学に触れる機会を増やしたりと工夫をこらしている私立医学部もあります。


この傾向は特に2023年以降は国際基準で認定を受けた医学部の出身者にしかECFMGの申請資格を認めないとされ臨床実習の期間が47週から66週に延び、座学の期間が短くなってからより顕著になりました。
短い期間で多くの知識を取得しなければならないため専門課程が前倒しになり、1年次から専門科目を課す医学部が増えたのです。



中でもやはり、物理の履修者が生物を修得するのに時間がかかるとの認識がある大学は、早くから専門課程をスタートする傾向にあります。
偏差値の高い医大ほど専門課程の履修をスタートするのが遅くなっている感があるのは、それだけ大学が学生を信頼している証拠でしょう。


これらが入試での選択科目や生物と物理の難易度の差となったり、数学や英語で記述式を課すかどうかといった入試の出題傾向にまで及んでくるのです。
医学部入試というのはただ入試問題を見ていればいいというのではなく、医師国家試験という出口、さらにはその先の優れた医師を輩出するという医学部の社会的使命まで見通さなければならない、誠に奥の深い世界であると言わざるを得ません。










佐藤
佐藤
メルリックス学院代表。1971年、愛知県名古屋市生まれ。1995年、名古屋大学法学部法律学科卒。日本生命保険相互会社、中央出版など教育系出版社を経て2018年から現職。2020年に大阪医学部予備校ロゴス、2022年にDDPを吸収合併。著書に『あなただけの医学部合格への道標』(産学社)などがある。

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