
2026私立医学部入試日程は過密!?受験校選定の狙い目は?
皆さん、こんにちは。
メルリックス学院代表の佐藤です。
2026年度私立医学部入試前期日程が確定しましたが、文科省による2/1ルールの指導により、2月期における医学部入試日程の重なり合いが例年より激化しています。この記事では、受験生はどのように出願戦略を立てるべきか、詳細に考察します。
目次[非表示]
- 1.●医学部入試日程に関する文科省の通達
- 2.1 2026年度私立医学部入試日程
- 3.2 2月の日程ごとの受験校選定各論
- 4.3 2026年1月入試の大学をどう攻略するか【POINT1】
- 5.4 重なりが多い日程の受験校選択【POINT2】
- 6.2/1の受験校選定 女子医・川崎・久留米・日大
- 7.2/2の受験校選定 杏林・東海・福岡
- 8.2/3の受験校選定 北里・東海・金沢
- 9.5 上位校の入試予測【POINT3】
- 10.6 二次試験と一次試験の重なりに注意すべき大学【POINT4】
- 11.7 入試形式にも注意(記述かマークか)【POINT5】
- 12.8 二次試験のポイント
- 13.9 日程以外の留意点
- 14.10 まとめ
●医学部入試日程に関する文科省の通達
文部科学省より大学に対して以下の通達が出ました。
教科・科目に係る個別テスト(各大学で実施する一般選抜、総合型選抜及び学校推薦型選抜において実施する教科・科目に係る個別テスト)の期日については、次により適宜定める。
試験期日
(1)令和8年2月1日から3月 25 日までの間に実施する。
(2)合格者の決定発表 令和8年3月 31 日まで
世にいう2月1日ルールです。
これにより私立大学医学部も原則、一般入試は2月1日以降に実施する。4月以降の補欠合格が出し辛くなりました。
2025年度は私立医学部31校のうち、1月に一次試験を行う大学が14校ありました。それが2026年度では9校に減少しました。
その分、2月に多くの医学部の入試日程が集中しています。
1 2026年度私立医学部入試日程
まずは、私立医学部入試日程の前期日程全体はこちらになります。
1月に入試を行う医学部
1/20(火)
愛知医科大学
1/21(水)
岩手医科大学
国際医療福祉大学
1/22(木)
帝京大学医学部①
1/23(金)
帝京大学医学部②
1/24(土)
帝京大学医学部③
東北医科薬科大学
1/25(日)
近畿大学医学部
1/26(月)
自治医科大学
1/27(火)
自治医科大学
1/28(水)
兵庫医科大学
1/31(土)
関西医科大学
2月に入試を行う医学部
2/1(日)
日本大学
東京女子医科大学
川崎医科大学
久留米大学
2/2(月)
杏林大学医学部
日本医科大学
東海大学医学部①
福岡大学医学部
2/3(火)
順天堂大学医学部
北里大学医学部
東海大学医学部②
金沢医科大学①
2/4(水)
東京医科大学
金沢医科大学②
藤田医科大学
2/5(木)
聖マリアンナ医科大学
2/6(金)
昭和医科大学
2/7(土)
東邦大学医学部
2/8(日)
埼玉医科大学
産業医科大学
2/9(月)
慶應義塾大学医学部
2/10(火)
大阪医科薬科大学
2/11(水)
獨協医科大学①
東京慈恵会医科大学
2/12(木)
獨協医科大学②
2 2月の日程ごとの受験校選定各論
〜2/1ルールで私大医学部入試がどのように変わるか〜
2026年度入試では2/1ルールが適用され、多くの大学が一次試験を2月1日以降に実施することになりました。ではどのような影響が出るのか具体的に検証していきましょう。
今回の2月1日ルールでポイントは3点あります。
3 2026年1月入試の大学をどう攻略するか【POINT1】
1月に入試を実施する大学の中で、私がポイントとして挙げる大学は愛知医科大学、近畿大学、兵庫医科大学、帝京大学です。
帝京大学
まず、関東です。
首都圏地区では1校、帝京大学が1月実施として残りました。
(その他の首都圏地区は2月実施に)
近年では初の単独日程になり、大幅な受験者増が予想されます。昨年度までを振り返ると、帝京大学は2025年度杏林、2024年度、2023年度は北里大学と日程が重なってしました。
一方で帝京大学は正規合格者数を例年以上に出すことが予想されます(入試データを殆ど公表しておりませんので推測の域を過ぎませんが)。
次に西日本の医学部に目を向けてみましょう。2026年度は関東の医学部がほとんど2月実施になった関係で、関東の受験生も西日本の医学部を受験することが増える可能性があります。
1月実施の医学部のうち、愛知医科大学、近畿大学、兵庫医科大学この3大学は関東の私立医学部専願生でも記述対策をしっかりとすれば日頃の勉強が十分に生かせる大学です。
愛知医科大学
愛知医科大学は藤田医科大学が今年度から大幅な学費値下げに踏み切る中、残念ながら、大きな変更点も今のところ発表されておりません。一次合格者数に関して2025年度は459名、正規合格者数も216名で200名を超える正規合格者を出す大学は他に国際医療福祉大学、杏林大学、藤田医科大学しかありません。今年度は更に一次合格者数、正規合格者数を増やしてくることが予想されます。
近畿大学医学部
次に近畿大学ですが、今年の11月に堺市南海泉北線泉ケ丘駅前に校舎移転が完了します。現在の若干、不便な立地から駅前に移転することにより立地が俄然よくなり、かつ校舎が新設されることで昨年度の北里大学、過去の兵庫医科にみられた新校舎効果で人気が上がることが十分に予想されます。
例年、一次合格者数が220名前後、一次合格者数が100名前後と、比較的少なめの合格者数です。特に関東圏の中堅大学と比較して理科と英語の難度が高いので、関東圏の受験生にとっては愛知医科と比べると負担が大きくなります。
兵庫医科大学
次に兵庫医科大学です。兵庫医科大学は問題の難度は決して低くなく一次合格者数も近畿大学と異なり、400名前後出します。近畿大学同様、記述対策を入念にする必要があります。得点率は6割を目指したいです。関東の受験生が一月入試を攻略するためには「入念な記述対策」ここがキーポイントになりそうです。関東の受験生が一次合格者名簿に大幅に加わってきた場合は一次合格者数を増加させることは十分予見し得ることです。
4 重なりが多い日程の受験校選択【POINT2】
次に2月入試ですが、第二のポイントは2/1 2/2 2/3 の受験校選択です。
多くの入試日程が重なっています。
順に見て参りましょう。
2/1の受験校選定 女子医・川崎・久留米・日大
2/1は東京女子医医科大学、川崎医科大学、久留米大学医学部と日本大学医学部が重なりました。
とくに日本大学医学部以外の3校とも、偏差値帯が比較的合格しやすい位置にあり、偏差値60に届かない学生にとって最後の砦と言える医学部です。
まず、東京女子医科大学と川崎医科大学の重なりについてですが、2026年度入試では両大学によって合格したら入学する確率が高い受験生を分け合う形になりますので、両大学を受ける受験生にとっては正しく好機到来です。
一方、西日本では、川崎医科大学は久留米大学と受験生を分け合うことになり、久留米大学は2026年度入試では川崎医科大学に受験生が流れるので受験者数を下げることも予想されます。
関東の一般的な受験生は日大に集中するでしょう。2026年度入試は日大も2025年度入試までは日本医科大学と日程の重なりがありましたが、今年度は関東の上司層受験生も日大を併願することが十分に予想されます。大幅な受験者増が予想されます。
2025年度入試では杏林大学の二次試験と北里大学の一次試験が重なり、2024年度入試では関西医科大学の二次試験と大阪医科薬科大学の一次試験が重なりました。それぞれの年度の北里大学や大阪医科薬科大学の受験生の中には千載一遇の幸運が当たり、合格証を手にした方も多かったです。
2/2の受験校選定 杏林・東海・福岡
2/2は日本医科大学以外の杏林大学、東海大学、福岡大学という、同一ランクの3校が重なりました。
杏林大学がこの一二年、数学を難化させております。逆に数学の出来不出来が合否を差配するイメージが濃くなっております。福岡大学も2025年度入試は数学が簡単になりましたが、2023年度入試のように難度を上げてくることも十分に予想されます。
以上のように数学を切り札にする受験生は杏林大学か福岡大学。英語を切り札にする受験生もしくは理科が間に合ってない受験生は東海大学を受験するのがお薦めです。
東海大学は英語、数学に比べて理科の問題難度が高いイメージがありますが、標準偏差で合否判定するので問題の易難で選択する必要はありません。
2/3の受験校選定 北里・東海・金沢
2/3も北里大学、東海大学、金沢医科大学といった同一偏差値帯の大学が並びます。
数学が切り札の受験生は北里大学がお薦めです。一方、東海大学、金沢医科大学は英語が不得意だと不利です。問題の相性によって東海大学2日間にするか金沢医科大学を2日間受験するようにした方が結果に繋がりやすいです。
金沢医科大学は数学の誘導に乗れるよう感覚を掴んでおくこと、金沢医科特有の分量の多い英語の対処法を習得しておくことが要になります。二次試験にはなりますが、小論文で必ず要約問題が課されますので、入念に準備をしておかれることが重要です。
ここまで同一日程で同一ランク帯の大学が重なると当然、繰り上がり合格も減ることは容易に予想できます。
5 上位校の入試予測【POINT3】
まず、1/31に関西医科大学、2/2に日本医科大学、2/3に順天堂大学が続きます。
結論からすると私立専願上位層は、1/31関西医科大学、2/2日本医科大学、2/3順天堂大学を受験する可能性はあります。しかし、関西医科大学と関東上位大学の日程が詰まったことにより、関西医科大学の志願者数に影響が出る可能性が出てきました。
この点について、私の予想では「西日本の上位層の戦い」が濃くなると予想します。一方で関西医科大学は小論文が課されないので日本医科や順天堂を本命にしている英語、理科、数学に自信がある受験生には最適な併願校になると思われます。
6 二次試験と一次試験の重なりに注意すべき大学【POINT4】
埼玉医科大学
2025年度入試は川崎医科大学の二日目二次試験と重なっておりましたが、2026年度入試では川崎医科(二日目)、兵庫医科(二日目)、近畿、東北医科薬科(二日目)
の二次試験と重なります。実は私立大学医学部の場合、難易度は同偏差値ランク帯の
二次試験と一次試験が重なるかが凄く大きな影響を及ぼします。
例えば、2025年度入試では北里大学一次と獨協医科大学二次の重なり。2024年度入試では関西医科大学二次入試と大阪医科薬科大学一次入試が重なったことで大きな異変が生じました。2026年度入試では埼玉医科大学で大きな変動がみられそうです。
加えて埼玉医科大学は年度によって合格最低点の変動幅が大きいのも特徴です。
獨協医科大学
2026年度入試では獨協医科大学の一次試験(2/11 2/12)と杏林大学二次試験(2/11 2/12)が完全に重なります。
昨年度の北里大学(一次試験)と杏林大学(二次試験)の重なり方と同じパターンです。
杏林大学に関しては毎年700名弱の一次合格者を出し続けております。今年度は受験できる大学が減ることから100名前後一次合格者を減らしたとしても600名程度の受験生が受験しない状態で入試が実施されます。
加えて獨協医科大学は立地上も偏差値ランク帯から鑑みても、より条件の良い大学に一次合格を手にしていたら、受験を棄権するケースも出てくることが予想されます。
2026年度入試は独協医科大学においても大きなチャンスが到来する可能性が高いです。一方で獨協医科大学は偏差値ランク帯の割には英語の難度が特に高く、全体的に高度な処理能力が問われる大学です。受験する場合は入念な準備をするようにしてください。
7 入試形式にも注意(記述かマークか)【POINT5】
受験校選定に関して東日本と西日本では、入試形式に違いが見られます。これも受験校選定に影響を及ぼす事項です。
私立大学医学部は東日本で20大学、西日本で11大学存在します。
そのうち、東日本では記述式を採用している大学は9大学に過ぎず、残りの11大学はマークシート型を採用しております。9大学のうち、大半は慶應義塾、東京慈恵会、日本医科といった難関大学の占める割合が高いです。一方、東邦、杏林、北里(数学は記述)といった中堅以下の大学はマークシート形式を採用しております。
東日本は東京圏を中心に受験人口が多いことから、二次の面接試験にコマを進める受験生を選抜するにおいて短い時間に正確に学力を判定しなければならない事情もあり、マークシート型が主流になってきました。
一方で西日本は事情が異なります。西日本の私立医学部は国公立に近い入試形式をとっている大学が多いのです。
経緯はこうです。まず西日本は1970年代の一県一医大構想でこれまで医大が無かった県に国立医大が設立されました。旧設大学(戦前に設立された大学)も西日本では大阪医科薬科、関西医科、久留米大学の11大学中3大学しか存在しません。一方、東日本は20大学中半数の10大学が旧設大学です。そもそも医大の歴史は東日本で私立色が強く、西日本は圧倒的に国公立色が強くなるわけです。
その関係で西日本は11大学中、川崎医科と金沢医科の2大学しかマークシート型入試を実施している大学はありません。あくまでも国公立受験生に合せた入試形態になっております。その点を前提知識として持っておかれると受験校選定がしやすくなります。
8 二次試験のポイント
2/1ルールの関係で二次試験にも大きな影響が出ております。
まず、2/7(土)東北医科薬科大学一日目、兵庫医科一日目、川崎医科一日目
2/8(日)東北医科薬科大学二日目、兵庫医科二日目、川崎医科二日目 近畿
何と2日間の日程に4大学が重なりました。すなわち、全て一次合格してきても二大学しか二次試験は受験できません。一次合格の可能性が高い受験生はそのあたりの事情も考慮に入れて受験スケジュールを考えて下さい。
次に2/14(土) 2/15(日)に二次試験を実施する大学が集中しております。
例えば東京女子医科、東海、埼玉。東京女子医科、福岡、聖マリアンナ医科、埼玉
この組み合わせで一次合格が出ても二次試験は一校を削らなくてはならなくなります。一次試験で勝算が立てられる受験生はこのあたりも考慮に入れて出願するようにしてください。
受験情報センターの調査では土日は大学病院の先生方も面接入試に駆り出しやすい事情があるとのことで、両日に日程が集中しているようであります。
明らかに2,026年度二次入試日程をみると順天堂大学を中心に展開することは間違いないでしょう。
一方で大幅値下げを敢行した藤田医科大学は二次試験日を三日間用意したものの厳しい日程になりました。
初日が日本医科大学、二日目が順天堂大学初日、三日目が関西医科大学、順天堂大学二日目、昭和大学一日目と日程が重なることから関東、関西からの上位層を獲得するには難航が予想される日程です。
9 日程以外の留意点
繰り上げ合格数
まず、一次試験の入試日程が重なり、以前であれば重複して受験できた大学が受験できなくなり、合格校を手放さなくなることが予想されます。
補欠合格者の繰り上がり数は2月入試の大学の多くは軒並み下がることが予想されます。
面接試験
入試日程を把握してもらえれば分かりますが、一次試験をしている間に二次試験が始まり、次にまた一次試験を受験するというサイクルになります。
2026年度入試からは面接練習にしっかりと時間を充てることが難しいです。年内に準備を終えておかないと面接練習に充てる時間がないです。
年々、面接点の比重が高まる中、入念な対策をしておいて下さい。特にMMI(マルチプル・ミニマム・インタビュー)やグループ討論は何度か訓練を受けた受験生とそうでない受験生の間で大きな差が出ますので要注意です。
二次試験日程変更
出願後に二次試験日の変更を受け付けて下さる大学があります。
東北医科薬科大学、東邦大学、東京女子医科大学。この3校になります。この知識があるないで大きく受験戦略が変わります。
また、川崎医科大学は出願順に二次試験日が決められますので埼玉医科大学を受験されたい方は初日の二次試験日程を確保したいところです。出願開始と同時に出願書類が到着するように出されることをお薦めします。
一方、兵庫医科大学二次試験二日目と近畿大学も二次試験が重なります。そこで兵庫医科大学は希望制ですので、一日目を選択して出願するようにしてください。
後からの変更は受け付けてもらえないので、しっかりと注意して出願して下さい。
後期出願も前期と一緒に済ませよう
2026年度入試は後期出願締め切りが早い大学は埼玉医科大学後期(2/17)金沢医科大学(2/21))です。
この両校の出願を考えられている方は前期の出願と一緒に済ませてしまいましょう。
入学手続き日の締め切りが集中
2026年度入試においては2/24、2/25、2/26、2/27に集中しております。とりわけ2/25、2/26に集中度が高いです。
合格可能性を考えておいて予算と合わせて、事前にシュミレーションをしておく必要性が例年以上に高くなっております。
10 まとめ
以上、2026年度私立医学部の受験校選定、入試スケジュールの組み方について、各日程ごとに検討してまいりました。
2026年度は昨年度以上に2月に前期試験を実施する医学部が増え、日程の重なりが激化していることを踏まえ、受験生の皆様におかれましては、自分の学力、目指す大学の地域性、二次試験との重なり具合、入試形式に着目して、受験校選定とスケジュールを策定してください。
非常に複雑なスケジューリングになりますので、もし受験専門スタッフにご相談がありましたが、お気軽にお近くのメルリックス学院校舎、あるいはオンラインにて受験相談をお申し込みくださいませ。
皆様の効率的な受験校選定の一助となることをお祈り申し上げております。










