
東京歯科大学で教職員向け講演を行いました|メルリックス学院受験情報センターより
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
メルリックス学院 受験情報センターは、大学からご依頼をいただいて講演会やセミナーを開催することがあります。今日は昨年に引き続き、東京歯科大学の教職員の方々に向けた講演を行わせていただきました。
昨年に続いて2度目の講演
東京歯科大学では昨年も教職員の方々に向けて講演をさせていただきました。昨年は【変わる学びの風景~Z世代と歯学部受験における勉強法の変化】というテーマで、歯学部受験の最新動向はもちろんのこと、中学受験が大学受験の勉強法に与えている影響や、保護者世代の変化、人間が記憶する方法の特徴とオンライン授業が与える影響まで、幅広くお話しさせていただきました。
大変欲張ってスライドに情報を詰め込んだため(情報センターだけに……面白くないジョーク💦)講演も時間を大幅に延長してしまい、先生方のご厚意に甘えて、最後までお話しさせていただきました。
今年のテーマは「歯学部受験生の傾向」
今年、大学からいただいたテーマは【歯学部受験生の傾向】ということで、歯学部受験者の増加と合わせて、最近の受験生世代の特徴についてお話しさせていただきました。
2025年度入試では、私立歯学部・国公立歯学部ともに志願者が増加しています。数年前と比べても、歯学部の定員充足率は上がっており、医学部をのぞく医療系学部としても、少し前まで薬学部>歯学部の傾向にあったのが、薬学部<歯学部の傾向にあります。
これには様々な要因が考えられますが、「歯科医院がコンビニより多い」とネガティブキャンペーンが張られた時代を経て、50代・60代の歯科医師が引退していくタイミングにあたり、今後は歯科医師が足りなくなるのではないか、といった未来予測がその1つと考えられます。
また、医科と違い、歯科は保険診療と自由診療の組み合わせの自由度が高く、保険診療を受けながら、どこまで自由診療をお願いするかといったことを、患者が選びやすい環境にあります。医師が過酷な勤務と報酬の安さから、卒業後にそのまま自由診療の世界に飛び込む“直美”と呼ばれる動きがある中で、歯科医師は自然に自由診療を患者に勧めることができる環境があります。
さらに、基本的に予約制で決まった時間に働けるところも、今の若者にとっては魅力的に映ると思います。医師の世界でも、一時期「ハードだから」と敬遠されていた救命救急科が「シフト制で働きやすい」と人気が復活しているように、今の若者は仕事とプライベートをしっかり分けて、自分の生活を大切にする傾向が強くあります。
女性にとっては、ブランクがあっても時短で少しずつ職場復帰できる環境も整っており、歯学部人気が回復傾向にあるのも頷けるといったところです。
推薦の過去問を公開したらどうなる?
また、現在は非公表である「学校推薦型選抜の過去問を公開した場合に起こり得ること」というテーマも取り上げさせていただきました。
現在、東京歯科大学では学校推薦型選抜は一般選抜と同じ出題範囲で「小テスト」という名称の試験問題が出題されています。実際、受験した生徒達から聞き取り調査をすると、一般選抜の問題は基本的な問題が多く、レベルとしては易しい問題が出題されているようです。
おそらく、大学側としては「教科書レベルの問題をしっかり」やっていれば、合格点は取れるというつもりで出題しているのではないかと推測しています。今回は、メルリックスで行っている東京歯科大学の【予想問題プレテスト】を素材に、設問別の正答率や受験生が得意な問題・不得意な問題、現在の得点バランスが問題を公表した時にどうなるか、という予測までお話しさせていただきました。
東京歯科大学の学校推薦型選抜を受験する子達の学力レベルを鑑みると、現在の基本レベルの問題を公表した場合、当然ながら対策をしてくるので、合格最低点は上がると思われます。そうすると、選抜試験としての意味がなくなり、問題の難易度を上げざるを得ない状況となります。
しかし、問題の難易度を上げすぎると、今度は受験生から「難しすぎて受かる気がしない」と敬遠される可能性があります。不思議なことに、たとえ合格最低点が低くても、問題が難しいと、受験生は受ける意欲を失いがちです。
今回は数学をもとに解説させていただきましたが、英語や理科でも同じことが起きてくると思われます、といった予測を講演ではお話しさせていただきました。
通信制高校から歯学部へ
さらに最近、増加傾向にある通信制高校の生徒達についても、講演の中でお話しさせていただきました。現在、少子化の影響で全日制高校の生徒数は10年連続で減少している一方、通信制高校の生徒数は9年連続で増加しています。2024年度現在の通信制高校の生徒数は30万人弱であり、なんと高校生の10人に1人は通信制高校に通っていることになります。
全日制高校を退学した場合、高卒認定を受検して合格するか、通信制の高校を卒業して大学受験を受ける人がほとんどですが、高卒認定の合格者は2024年度で7,748人です。共通テストを高卒認定で受験した人は2025年度の場合、4,229人。高卒認定の資格を取るよりも、通信制高校に転入して高卒の資格を取る子の方が圧倒的に多い状況です。
グループでの実習や度重なる試験、そして国家試験を控えている医療系学部は、通信制高校から進学することを考えた時に、ちょっとハードルが高いかもしれません。選択科目はなく、学年ごとに同じ講義、同じ実習を受けますし、朝から夕方まで拘束され、さらにはハードな試験が待っています。
もちろん、メルリックス学院からも通信制高校出身で医学部・歯学部に進学した生徒達はいますが、大学としては通信制高校の実態がわからないまま、生徒数が増え続けている現状で、「どこを見て判断すればいいのか?」という疑問は当然湧くと思われます。
今回の講演では、現在の通信制高校がどのようになっているか、そして面接試験でどのような質問をすることで、その受験生の学ぶ意欲を計れるかといったことをお話しさせていただきました。
なかなか珍しいテーマであり、講演するにあたっては、鹿島学園様と株式会社プレマシード様のご協力をいただきました。また、これまでメルリックスから巣立っていた通信制高校の生徒達との経験も大変参考になりました。
今回は10分ほどの講演時間延長で済み、昨日リハーサルをして臨んだ身としてはホッといたしました。改めまして、私の講演をお聴きいただいた東京歯科大学の教職員の先生方には感謝申し上げます。
帰りのエレベーターの中で偶然の再会
さて、無事に講演が終わり、ホッとして帰りのエレベーターに乗ると「あのぉ…」と白衣を着た方に遠慮がちに話しかけられました。
「鈴村先生ですか?」と聞かれて「そうです」と答えたところ、なんと以前メルリックス学院に通っていて、東京歯科大学に合格した元生徒でした。「◎◎くんも元気です」と同じ高校から合格したもう1人の生徒の近況も聞くことができ、「お会いできてうれしかったです」と言われました。
あれからまだ5年ほどしか経っていませんが、白衣を着たその姿は学生には見えず、立派な医療従事者に見えました。大人になったなあ、と思うと同時に、元気そうな姿に安心しました。






