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医学部入試の過去問公開が本格化|受験生に起きる変化とは

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。

このところ文部科学省は大学入試において、“個別学力検査における試験問題やその解答を公開する”ように各大学に通達してきました。

大きな転機となったのは、2017年度入試で大阪大学や京都大学の物理出題ミスが発覚し、影響を受けた受験生が次年度に追加合格となった事件です。旧帝大である2校で相次いで出題ミスが発覚したことにより、大学入試の信頼性が揺らぐと共に、ミスの再発や防止のために、文部科学省の「大学入学者選抜要項」において、“試験問題を原則として公表するものとする”と明記されました。

その流れは今も続いており、2026年度(令和8年度)の「大学入学者選抜要項」では過去問の公表が法令で定められました。その通達を受けて、私立医学部でも各大学で問題公開の動きが見られます。この記事では現時点での過去問公開の状況についてまとめました。

目次[非表示]

  1. 1.試験問題の公表が法令により原則「公開」に
  2. 2.【私立医学部】大学ホームページでの過去問公開状況
  3. 3.これまで非公表だった推薦・総合型の問題も公開
  4. 4.過去問が公開されることで起きる変化

試験問題の公表が法令により原則「公開」に

文部科学省は「令和8年度大学入学者選抜実施要項」の中で、“試験問題については、原則として公表する。”としました。これまでも文部科学省は試験問題の公表を各大学に求めてきましたが、今回は2025年4月1日に施行された学校教育法が基になっており、法令により公開が原則となったのが今までと異なる点です。

「令和8年度大学入学者選抜実施要項」はこちらの文部科学省のサイトから閲覧できます。

トップ > 教育 > 大学・大学院、専門教育 > 大学入学者選抜について

試験問題の公表を求める理由としては、“当該入試の実施以降に受験者や次年度以降の入学志願者が学習上参考にできるようにする” とされています。また、解答または解答例と出題の意図も原則として公表するよう求められています。小論文のテーマや口頭試問の内容等も積極的に公表することが望ましいとされており、かなり踏み込んだ内容となっています。

文科省からの通達を受けて、私立医学部も大学のホームページで過去問を公開する流れが出てきました。これまでも公開している大学はありましたが、今回は一般選抜だけでなく、総合型選抜や学校推薦型選抜の試験問題も公開されているのが大きく変わった点と言えます。

【私立医学部】大学ホームページでの過去問公開状況

それでは現時点での私立医学部31校の過去問公開状況をまとめてみました。まだ、最新の2026年度入試の問題を公開している大学は7校しかないため、今後も公開され次第、順に更新していきます。(2026年4月15日)

【私立医学部】大学ホームページでの過去問公開状況

最新年度

推薦・総合型
公開の有無*

岩手医科大学

2025

東北医科薬科大学

2025

自治医科大学

2025

獨協医科大学

2025

埼玉医科大学

2025

国際医療福祉大学

掲載なし

杏林大学

2026

慶應義塾大学

掲載なし

順天堂大学

掲載なし

昭和医科大学

2025

帝京大学

掲載なし

東京医科大学

2026

東京慈恵会医科大学

2026
(理科と数学のみ)

東京女子医科大学

掲載なし

東邦大学

2025

日本大学

2026
(二次は数学のみ)

日本医科大学

2025

北里大学

2025

聖マリアンナ医科大学

2025

東海大学

掲載なし

金沢医科大学

2025

愛知医科大学

2025

藤田医科大学

2026

大阪医科薬科大学

2025

関西医科大学

2026

近畿大学

2025

兵庫医科大学

2026

川崎医科大学

2026

久留米大学

2025

産業医科大学

掲載なし

福岡大学

2026

*推薦・総合型公開の有無:推薦・総合型などに学力試験がある場合、その試験問題が掲載されているかどうか

最新年度とは公開されている過去問の中で最新の年度のことです。また、公開となっていても著作権の都合上、ほとんど問題が掲載されていない場合もあります。著作権の許可が得られた後に公開するとなっている大学もあります。

これまで非公表だった推薦・総合型の問題も公開

さて、このように過去問が大学ホームページで公開されると同時に、これまで問題非公表が多かった私立医学部の学校推薦型・総合型選抜で、実際にどのような問題が出題されていたかがわかるようになりました。

特に、これまで公表されていなかった岩手医科大学や関西医科大学、兵庫医科大学の学校推薦型・総合型選抜の問題が今回初めて公表されたことは大きいと思います。ちなみに、岩手医科大学は学校推薦型・総合型選抜の問題だけでなく、歯科医師国家試験に合格(見込)者しか受験できない特殊な学士編入試験の問題もホームページで公開しています。

今のところ、学校推薦型・総合型選抜の問題を公表していない大学も、2026年度の入試問題を公開する際に、一般選抜の問題と同時に公開する可能性もあるので注意が必要です。また、過去問を大学ホームページに掲載していない私立医学部は今のところ7校ありますが、2026年度入試から過去問公開に踏み切る大学もありそうです。

過去問が公開されることで起きる変化

これまでも推薦の問題を公表している大学はありました。
特に西日本に多く、愛知医科大学の推薦入試やふじた未来入試、また近畿大学・久留米大学・福岡大学などの総合大学は推薦の問題を取り寄せたり、大学ホームページで閲覧したりすることができました。

私立医学部の場合、一般選抜は倍率が高く激戦になるため、記述力が必要な難問型や、問題処理のスピードを要求する速答型で受験生同士の差をつけようとします。しかし、推薦はそれほど難しい問題が出ることはなく、学力試験はあっても基本的な問題であることがほとんどです。

そのため、公表されている推薦の問題を私たちのような予備校が分析・研究すると、適切に対策すれば入試本番で上手に点数を取ることもある程度までは可能になります。さらに、推薦では小論文や面接なども(おそらくは)配点で大きなウェートを占めますが、こちらもその大学に合った対策をすることでカバーできます。

しかし、推薦や総合型選抜というのは本来、学力以外の面を評価する入試であり、私立医学部の場合は、とりわけ学力勝負の一般選抜とは違った形での「のびしろ入試」の側面がありました。基本的な学力さえあれば、どんな問題が出るかわからない中で、初見の問題をどこまでミスなく解けるかで、その受験生の思考力や対応力といった能力を計る目的があったと思われます。

おそらくですが、私立医学部の多くは推薦において「予備校でバッチリ対策してきた受験生」は好ましくないと考えていると思われます。そういう学力重視、対策ありきの受験生は「一般入試を受験してほしい」と思っているのではないでしょうか。
実際にある私立医学部の推薦説明会で、当時の理事長先生が「予備校での対策はする必要がない」と言い切ったという話を聞いたことがあります。

しかし、入試における透明性確保の流れは、受験生の公平性を保つように見えて、実はさらに塾・予備校への傾斜を強めるとも考えられます。対策する材料があればあるほど、塾・予備校は教材を作成することができるからです。
もっとも、私たちは生徒を合格させることが使命ですので、どれだけ医学部受験が変化しようとも、教育課程が変わろうとも、その時代の入試に対応できるように生徒たちを指導していきます。

先日、私のXアカウントで2026年度の医学部入試について振り返った記事でも、「小学生の時からコツコツと勉強を積み重ねて、最後に情報と戦略を使って医学部入試に勝つというのがスタンダードになりつつある」と書きましたが、その傾向はますます強まりそうです。

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鈴村倫衣
鈴村倫衣
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長。四半世紀以上にわたって医学部・歯学部の受験指導、面接指導に携わり、多くの生徒を合格に導いてきた。医学部・歯学部入試に関する造詣は深く、大学から入試改革のアドバイスを求められることもしばしば。また、多くの生徒に接してきた経験を活かして、大学のFD研修に登壇するなど、高校のみならず大学でも多くの講演を行っている。

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