【2028年度入試より】東海大学医学部が展学のすすめ募集停止

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。

東海大学医学部が特別選抜(展学のすすめ)を2028年度入試より募集停止することを公表しました。来年度の2027年度が展学のすすめとしては最後の入試になりますが、2028年度から展学のすすめの分の募集人員10名は一般選抜に振り分けられ、一般選抜の募集人員が60名から70名に増えます

募集停止のニュースが発表された翌日、東海大学の入試担当の方がメルリックス学院にわざわざお見えになり、今回の募集停止に至った経緯をご説明くださいました。その内容を医学部再受験生の皆様にお伝えしたいと思います。

目次[非表示]

  1. 1.起源はアメリカの「メディカルスクール」構想
  2. 2.2年次編入から1年次後期編入へ
  3. 3.展学のすすめが10名の合格者を出さない理由
  4. 4.来年の2027年度がラストチャンス

起源はアメリカの「メディカルスクール」構想

東海大学医学部の社会人を対象とした学士編入学試験の歴史は1988年度までさかのぼります。当時の医学部長だった黒川清教授の「メディカルスクール構想」がその背景にあり、四年制大学を卒業した人材を医学部に編入させることによって、医学教育を改革・活性化させることがその目的でした。

募集人員15名からスタートした東海大学医学部の学士編入学試験は順調に志願者を集め、2005年度に募集人員を40名に増やします。それまで40歳未満の大学卒業者か大学卒業見込者に限っていた出願資格を、大学2年次62単位以上修得見込者にまで広げ、短大や専門学校の卒業(見込)者も受験できるようになりました。その結果、変更初年度の受験者は727名と前年度の260名から3倍近く増え、医学部入試に大きな一石を投じます。

一次試験は英語適性試験(数理的問題)が出題され、全マークシート方式という受けやすさもあり、社会人として働きながら医学部を受験することが可能でした。当時のメルリックス学院の生徒にも、四度目の正直で合格した社会人の方がいますが、いわゆる共通テスト(当時のセンター試験)や、英語・数学・理科2科目といった一般入試の試験科目を勉強する時間がない受験生でも、受験しやすいのが大きな特色でした。

二次試験はグループ討論個人面接が行われ、一次試験に合格した140名ほどが5~6名のグループに分けられ、1つのテーマについて60分間ディスカッションする形式でした。

2000年度から2012年度の学士編入学試験および編入学試験の入試結果

募集人員

受験者数

合格者数

合格倍率

2000年度

15

332

20

16.6倍

2001年度

15

271

15

18.1倍

2002年度

15

239

16

14.9倍

2003年度

15

252

16

15.8倍

2004年度

15

260

20

13.0倍

2005年度

40

727

41

17.7倍

2006年度

40

662

42

15.8倍

2007年度

40

609

40

15.2倍

2008年度

40

618

40

15.5倍

2009年度

40

550

45

12.2倍

2010年度

40

601

41

14.7倍

2010年度

40

601

41

14.7倍

2011年度

40

621

43

14.4倍

2012年度

30

523

30

17.4倍

※2012年度より一般入試の募集人員が50名から60名に増え、編入学試験がその分10名減って30名となる。

2年次編入から1年次後期編入へ

その後、編入学試験の募集人員は一般入試の募集人員増加に伴って40名から30名、20名と徐々に減少していきましたが、それでも編入学試験でここまで多い人数を募集する医学部は他になく、20倍前後の安定した倍率を維持していました。特に文系の医学部再受験生にとっては「まず東海大学の編入学試験か、帝京大学を英語・生物・国語で受験するか」を考える流れがありました。

大きな節目となったのは、2016年度にそれまで2年次編入だった試験が1年次後期編入となったことです。

アメリカの医師国家試験であるUSMLEを受験するための出願資格として、72週以上の臨床実習を修了していることが必須となりました。その結果、日本の医学部はそれまで5年次から開始していた臨床実習を4年次後期から前倒しで始めることで、臨床実習期間を確保する必要に迫られました。
そのため、東海大学医学部も新しいカリキュラムとなり、解剖学などの専門教育が1年次後期からスタートするため、編入学試験の入学年次も2年次から1年次後期に変更となったのです。

変更初年度の2016年度は志願者数404名と前年度の468名から64名減にとどまりましたが、その翌年の2017年度は志願者数308名と大きく減少しました。さらに入試形式の多様化に伴い、共通テスト利用や総合型選抜である希望の星育成などが導入されるようになり、編入学試験の募集人員は2019年度から15名となるなど縮小傾向は続きます。

遂に2021年度を最後に編入学試験は募集停止となり、代わりに展学のすすめという特別選抜が行われることになりました。

展学のすすめが10名の合格者を出さない理由

展学のすすめ1年次4月入学となりますが、出願資格はこれまでの編入学試験と同様、2年次修了62単位以上修得見込で受験できます。短大・専門学校や外国の大学に在籍していた方も受験できます。

2022年度入試から導入され、初年度は226名の志願者を集めました。一次試験が英語小論文となり、適性試験(数理的問題)が廃止されたことで、文系再受験生にとっては受けやすくなったことも、志願者を集めた理由の一つと思われます。

しかしその後、志願者は減少を続け、特に最終合格者が募集人員の10名を満たさない状況が続いていました。他大学に合格して入学辞退する受験生もいるため、2024年度の入学者は8名2025年度の入学者は5名と、いずれも募集人員10名を下回りました。

今回、東海大学の入試担当者からの説明では、合計点が低くて基準に達しないのではなく、二次試験の面接形式が多岐にわたることが、最終合格で10名がなかなか出ない理由の一つだということでした。

展学のすすめの二次試験では、志望動機などを聞く個人面接、テーマを与えられてプレゼンと質疑応答をするプレゼン面接MMI(Multiple Mini Interview)面接の3形式が合計4回行われます。様々な視点から受験生を見ようとする試みですが、なかなかすべての面接形式を合格レベルでクリアすることは難しいようです。

2022年度から2025年度の展学のすすめ入試結果

募集人員

受験者数

合格者数

合格倍率

2022年度

10

213

10

21.3倍

2023年度

10

192

10

19.2倍

2024年度

10

193

9

21.4倍

2025年度

10

138

6

23.0倍

来年の2027年度がラストチャンス

医学部の学士編入学試験といえば、国公立医学部医学科が2年次編入、3年次編入といった試験を行っており、私立医学部で編入学試験を行っているところは、岩手医科大学医学部北里大学医学部しかありません。

岩手医科大学の学士編入学は歯科医師国家試験合格(見込)者を対象とした特殊な選抜制度であり、北里大学医学部は1年次後期編入若干名を募集しています。

他に、獨協医科大学の総合型選抜東京医科大学の学士選抜久留米大学医学部の自己推薦型選抜などがありますが、どの大学も出願資格は再受験生を対象としているものの、他の学生と同じく1年次4月入学です。

大学卒業者(または見込者)を対象としていることもありますが、どの入試制度もそれほど志願者は多くなく、昨年度の東京医科大学学士選抜は志願者38名、北里大学の学士編入学試験は志願者34名となっています。

東海大学医学部は一般選抜の試験科目が、英語数Ⅲなしの数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・C、そして理科1科目で受験できるため、私立医学部の入試としては科目負担が少ない方です。そのため、一般選抜を受験して入学する再受験生も多く、学内でも「この学生は展学のすすめで入ったの? それとも一般選抜で入ったの?」と見分けがつかないこともしばしばだそうです。

学士編入学試験が始まった1988年に比べれば医学部を再受験する人も増え、学士卒業者の進路も多様化した現在「社会人対象の試験制度はその役目を終えたのでは」というのが東海大学の入試担当者の弁でした。とはいえ、これまで通り年齢に関わらず再受験生の方々を受け入れる姿勢は変わらないということです。

学士編入学試験の時代からメルリックス学院からは多くの合格者を輩出し、今年も展学のすすめで4名が合格したので、率直に「淋しい」という思いはありますが、時代と共に入試制度が変わるのは当然のことでしょう。

とはいえ、来年の2027年度まで展学のすすめは実施されます。英語と小論文で受験できる再受験生対象の入試としてはこれがラストチャンスとなります。チャレンジする再受験生の方々にとっては悔いのないように、メルリックス学院としてできる限りのサポートをさせていただこうと考えています。

鈴村倫衣
鈴村倫衣
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長。四半世紀以上にわたって医学部・歯学部の受験指導、面接指導に携わり、多くの生徒を合格に導いてきた。医学部・歯学部入試に関する造詣は深く、大学から入試改革のアドバイスを求められることもしばしば。また、多くの生徒に接してきた経験を活かして、大学のFD研修に登壇するなど、高校のみならず大学でも多くの講演を行っている。

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