藤田医科大学が医学部の学費を2980万円から2152万円に約30%引き下げ

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。


藤田医科大学医学部が6年間の学費を2980万円から2152万円に約30%引き下げると発表しました。2026年度入学者から新しい学費が適用されることになります。


藤田医科大学医学部は2017年度に3620万円から2980万円に学費を引き下げていますので、ここ10年以内に計1500万円ほども学費を下げたことになります。


目次[非表示]

  1. 1.2025年度 私立医学部学費(学納金)ランキング
  2. 2.学費値下げ後の関西医科大学の志願者数
  3. 3.“研究大学を支える優秀な人材確保に向け、医学部の学費30%値下げ”
  4. 4.ふじた未来入試の志願者は増える?

2025年度 私立医学部学費(学納金)ランキング

まずは昨年度までの私立医学部学費(学納金)ランキングを見てみましょう。

【2025年度 私立医学部学費(学納金)ランキング】

(円)


大学名​​​​​

6年間
初年度
1位

自治医科大学

0
(22,600,000)
0
(4,600,000)
2位

東北医科薬科大学

(A方式)

4,000,000
1,500,000
3位

産業医科大学

11,296,800

282,000

(2,117,800)

4位

国際医療福祉大学

18,500,000

4,500,000

5位

東北医科薬科大学

(B方式)

19,000,000

4,000,000

6位

順天堂大学​​​​​

20,800,000

2,900,000

7位

関西医科大学

21,000,000

2,900,000

8位

日本医科大学

22,000,000

4,500,000

9位

慶應義塾大学

22,040,000

3,840,000

10位

東京慈恵会医科大学

22,500,000

3,500,000​​​​​

11位

東邦大学

25,800,000

4,800,000​​​​​​

12位

昭和大学

27,000,000

4,500,000

13位
大阪医科薬科大学

28,410,000

5,985,000​​​​​​

14位
東京医科大学

29,400,000

4,800,000

15位
藤田医科大学

29,800,000

6,300,000​​​​​

16位
日本大学

33,100,000

6,350,000​​​​​​

17位
岩手医科大学

34,000,000

9,000,000

17位
東北医科薬科大学
(一般枠)

34,000,000

6,500,000​​​​​​

19位
愛知医科大学

34,200,000

8,200,000​​​​​​

20位
聖マリアンナ医科大学

34,820,000

6,970,000

21位
東海大学

35,000,000

6,400,000

22位
近畿大学

35,800,000

6,800,000

23位
久留米大学

36,200,000

9,200,000

24位
獨協医科大学

36,600,000

8,600,000

25位
埼玉医科大学

37,000,000

8,250,000​​​​​​

25位
杏林大学

37,000,000

9,500,000​​​​​​

25位
兵庫医科大学

37,000,000

8,500,000​​​​​​

28位
福岡大学

37,600,000

8,600,000​​​​​​

29位
北里大学

38,900,000

9,000,000​​​​​​

30位
帝京大学

39,380,140

9,370,140

31位
金沢医科大学

39,500,000

11,000,000​​​​​​

32位
東京女子医科大学

45,340,000

11,300,000​​​​​​

33位
川崎医科大学

45,500,000

10,500,000


今回、藤田医科大学が学費を2152万円に引き下げると、以下のようにランキングが入れ替わります。修学資金の貸与がある自治医科大学、東北医科薬科大学、産業医科大学を除くと、全体の順位としては4番目となります。

【2026年度 私立医学部学費(学納金)ランキング<暫定・一部>】

(円)


大学名
6年間
初年度

自治医科大学
0
(22,600,000)

0
(4,600,000)

東北医科薬科大学(A方式)

4,000,000

1,500,000


産業医科大学

11,296,800

282,000

(2,117,800)

1位
国際医療福祉大学

18,500,000

4,500,000


東北医科薬科大学(B方式)

19,000,000

4,000,000

2位
順天堂大学

20,800,000

2,900,000

3位
関西医科大学

21,000,000

2,900,000

4位
藤田医科大学

21,520,000


5位
日本医科大学

22,000,000

4,500,000

学費値下げ後の関西医科大学の志願者数

医学部受験生の皆さんが気になるのは、ズバリ「学費の値下げでどのぐらい難しくなるか?」でしょう。


直近の例として、2023年度に6年間の学費を2770万円から2100万円に引き下げた関西医科大学を見てみましょう。学費を引き下げた2023年度とその前後の年の志願者数です。

関西医科大学医学部の志願者数


2024
2023
2022
一般前期
2,297人
2,224人
1,755人
一般後期
419人
468人
486人
共テ前期
1,024人
1,115人
590人
共テ・一般併用
984人
931人
485人
共テ後期
49人
135人
77人

学費を引き下げたことで、わかりやすく2022年度から2023年度にかけて、一般選抜の志願者が3,393人から4,873人と約1.4倍となりました。一般前期は前年比志願者469人増、26.7%増となっています。ちなみに、関西医科大学の入試担当教員に聞いたところ「このぐらいの増加は織り込み済み」とおっしゃっていました。


また、私立医学部の志願者数を見る時に、入試日程の重複を無視することはできません。関西医科大学の例を挙げて説明しましょう。


2022年度関西医科大学一般前期一次試験は1/29(土)で獨協医科大学1日目と重なっていました。一般後期一次試験は3/5(土)で昭和大学医学部と重なっていました。


2023年度関西医科大学一般前期一次試験は1/28(土)で獨協医科大学の1日目帝京大学医学部の3日目と重なっていました。一般後期一次試験は3/4(土)で埼玉医科大学、日本大学医学部、昭和大学医学部と重なっていました。


2024年度関西医科大学一般前期一次試験は1/27(土)で帝京大学医学部の3日目と重なり、一般後期一次試験は3/2(土)で埼玉医科大学、昭和大学医学部と重なっていました。


こうして見ると、学費を値下げした2023年度以降の一般前期に関しては難関校との日程被りはないため、志願者増に関しては、関東の学力上位層が関西医科大学に動いた可能性があります。(ちなみに2025年度は東北医科薬科大学と帝京大学医学部3日目と一次試験が重なっていましたので、同じ動きは続いていると思われます)


一般後期は逆に志願者減となっており、校数も日程も限られた一般後期は一次試験が重複した場合、関東勢はほとんど関東の大学を受けることが推測されます。


注目すべきは共テ利用選抜の志願者増です。共テ前期の志願者は2022年度の590人から1,115人へと約2倍増、共テ・一般併用の志願者は485人から931人へと、こちらも約2倍の増加です。合格最低点も上昇しており、国公立医学部との併願者が流入していることが予想されます。


ちなみに、共テ後期は共通テスト後に出願でき、募集人数が少ないため、共通テストを自己採点してもうダメだと諦めてしまう受験生がおり、その年の共通テストの平均点によって志願者が揺れ動く傾向があります。


このあたりの難易度予想については、2026年度の私立医学部入試日程がすべて判明してから、再度皆さんに詳しくお伝えしたいと思います。ちなみに、関西医科大学の2026年度一般前期一次試験は1/31(土)のようです。藤田医科大学はまだ発表されていません。


“研究大学を支える優秀な人材確保に向け、医学部の学費30%値下げ”


さて、今回の藤田医科大学の学費引き下げのニュースは、このようなタイトルが付いていました。


“研究大学を支える優秀な人材確保に向け、医学部の学費30%値下げ”


学費の引き下げが「国公立医学部を第一志望とする受験生に進学先として目を向けてもらうこと」であるのは間違いありませんが、藤田医科大学はただ単に国公立医学部を志望している受験生であれば誰でも入学してほしいと思っているわけではないでしょう。


オープンキャンパスでも話があると思いますが、藤田医科大学は「こういう人材に入学していただきたい」ということをかなり明言する大学です。今回の値下げについて、岩田学長は「学費を値下げすることで、これまで以上に優秀な学生が進学しやすい環境を整え、将来の研究大学の礎となる人材の育成に注力していきたい」と述べています。


つまり、単に勉強ができるから、医師という仕事が良さそうだから、安定しているからということではなく、社会問題に目を向け臨床だけでなく研究・教育にも興味関心を持ち、長年にわたって大学、そして社会に尽力するような学生を入学させたいと考えていると思われます。


藤田医科大学のある愛知県は地元志向の強い地域ですが「世界のFUJITA」として関東・関西からも多くの優秀な人材に入学してほしいと考えてもいるでしょう。


現在、メルリックスの受験情報センターは【入試総括2025】を作成していますが、その中で文部科学省の科学研究費助成事業についても取り上げる予定です。いわゆる「科研費」の配分が一般選抜の試験日を2/1以降とする<2/1ルール>に関係していると思われるからです。藤田医科大学の2024年度科研費は全体で68位、私立医学部の中では11位に位置しています。


このランキングは研究機関(大学)ごとに発表されているため、当然ながら多くの学部を擁する総合大学の方が順位が高く、また東大を筆頭に旧帝大が1位から7位までを占めています。


その中で藤田医科大学は浜松医科大学とほぼ同額と健闘しており、他の事業採択費なども合わせると、かなり研究資金には恵まれているのではないかと思います。また、病院事業も順調で、私立医学部の大学病院で経営順調な大学として必ず名前が挙がります。(よく名前が挙がるのは関西医科大学、東京医科大学、東海大学、埼玉医科大学あたりでしょうか)


大学の設立から57年、医学部設立から53年が経ち、藤田医科大学は「次の50年」に向けて走り始めています。そして、そのビジョンを一緒に創り上げていくような学生達に多く入学してほしいと考えているのではないでしょうか。


ふじた未来入試の志願者は増える?

最後に、「ふじた未来入試」は国公立大医学科の総合型選抜、学校推薦型選抜または一般選抜前期日程に合格した場合に限り辞退を認めています。ふじた未来入試の一般枠は現役生なら誰でも受験することができます。


関西医科大学には併願可能な一般枠推薦がありますが、この一般枠推薦の志願者は2022年度の256人から2023年度は348人と100人近く増えています。国公立医学部を第一志望とする、特に関西の医学部受験生が「ここで合格を確保して国公立一本に絞ろう」と考えて動いたのだと思います。


ふじた未来入試の昨年度の志願者は一般枠87人でした。学費の値下げにより、今年度のふじた未来入試の志願者は間違いなく増えると考えています。


※難化が予想されるふじた未来入試を徹底的に対策!7月より対策講座がスタートします!



鈴村倫衣
鈴村倫衣
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長。四半世紀以上にわたって医学部・歯学部の受験指導、面接指導に携わり、多くの生徒を合格に導いてきた。医学部・歯学部入試に関する造詣は深く、大学から入試改革のアドバイスを求められることもしばしば。また、多くの生徒に接してきた経験を活かして、大学のFD研修に登壇するなど、高校のみならず大学でも多くの講演を行っている。

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