第118回歯科医師国家試験の合格率は70.3%と12年ぶりに7割超え!
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
第118回歯科医師国家試験が2025年2月1日と2日に行われ、3月14日に合格発表がありました。大学別の合格率はこちらからPDFファイル(68KB)をご覧ください。
◇◆歯科医師国家試験スクール・メルリックスデンタルでは、メルリックス麹町校・名古屋校・大阪校、ならびにTKP博多駅筑紫口ビジネスセンターで入学説明会を行います。お申込みはこちらからできます◆◇
目次[非表示]
第118回歯科医師国家試験の合格率は12年ぶりに7割超え
今年の第118回歯科医師国家試験は3,431人が出願して3,039人が受験し、2,136人が合格しました。全体の合格率は70.3%と昨年の66.1%から3.9ポイント上昇し、12年ぶりに7割を超えました。全体の合格率が7割を超えたのは、第106回の71.2%以来となります。
このところずっと、歯科医師国家試験は合格者が2,000人前後となるように厚生労働省が人数を調整していますが、今年は昨年に引き続き合格者数が2,100人台となりました。
国立11大学の全体合格率は80.4%、公立大学は九州歯科大学1校のみで77.2%、私立17大学の全体合格率は67.2%となっています。
今年も東京歯科大学・昭和大学のワンツーフィニッシュ
今年も全体総数の合格率がトップだったのは東京歯科大学でした。合格率は95.6%で、これで9年連続のトップとなります。次の昭和大学(2025年4月に昭和医科大学と改称)の合格率は92.9%で、このワンツーフィニッシュは昨年と同様です。
一方、新卒合格率に目を向けてみると、今年は大阪歯科大学が新卒合格率100.0%を達成しました。ただし、大阪歯科大学は既卒者が100人を超えており、全体の合格率は72.8%と既卒がパーセンテージを下げています。
また、国公立大学は出願者679人、受験者664人と、出願した人のほとんどが受験しているのに対し、私立大学は出願者2,606人、受験者2,229人と出願者より受験者の方が377人少なくなっています。受験していない人の多くは、出願はしたものの合格できるかどうか微妙なラインで、卒業試験で不合格になったり、直前になって受験を取りやめた人が多いと考えられます。
今年は総数の合格率が久しぶりに7割を超えたことで、29大学中19大学が合格率70%を超え、69%台の大学も2大学と、歯科大学の3分の2以上が平均である70.3%を超える結果となりました。
◇◆歯科医師国家試験スクール・メルリックスデンタルでは、メルリックス麹町校・名古屋校・大阪校、ならびにTKP博多駅筑紫口ビジネスセンターで入学説明会を行います。お申込みはこちらからできます◆◇
東京歯科大学の高い合格率を支える既卒合格率
毎年、歯科医師国家試験合格率が発表されるたびに、私が特に注目しているのは、新卒の出願者数と受験者数の差、そして既卒の合格率です。
既卒とは歯科大学を卒業したものの、国家試験に合格できずに浪人している人のことを言います。多くの国試浪人生が予備校に通って、1年後の国家試験に備え勉強しています。
東京歯科大学が長年にわたって高い合格率を維持しているのは、既卒生(国試浪人)に対する面倒見が良いことが挙げられます。今年は既卒生が3人と少なく、そのうち合格者は1人だけでしたが、昨年は既卒生10人中8人が合格しました。既卒生の平均合格率が毎年3割~4割台であることを考えると、国試浪人している人達をいかに合格させるかが、全体の合格率に結びついていることは間違いありません。
ちなみに、既卒生は浪数が増えるほど合格率が下がっていき、今年のデータでは国試浪人1浪目が合格率61.9%、2浪目が52.7%、3浪目が38.9%です。2浪目までに合格できないと厳しいということが言えるかもしれません。
◇◆歯科医師国家試験スクール・メルリックスデンタルでは、メルリックス麹町校・名古屋校・大阪校、ならびにTKP博多駅筑紫口ビジネスセンターで入学説明会を行います。お申込みはこちらからできます◆◇
6年間ストレート合格率とは
歯学部受験生とその保護者の方が一番気になっているのは「留年せずに国試に合格できるか」でしょう。文部科学省は【各大学の歯学部歯学科の入学状況及び国家試験結果等】として、昨年までのデータを公開しています。
その中に【修業年限(6年)での歯科医師国家試験合格率(直近3カ年)】があり、昨年の第117回歯科医師国家試験のデータも掲載されています。
それによると、いわゆる「6年間ストレート合格率」は国立大学76.1%、公立大学(九州歯科大学)66.3%、私立大学45.2%です。私立大学の中で「ストレート合格率」が7割を超えているのは東京歯科大学と昭和大学のみです。
私立歯学部の中には、入試難易度ランキングがそれほど高くなく、勉強習慣が身につかないまま入学してくる学生が多い大学があります。そういったところは、先生方が一丸となって、入ってきた学生に勉強習慣を身につけさせる工夫をして、ノートの取り方からテスト範囲のフォロー、追試になった場合の勉強法まで、親身になって面倒を見てくれます。
逆に、入試難易度が高い私立歯学部は、入学時にある程度の勉強習慣が身についていることを前提としてカリキュラムが進んでいきますので、一度、皆のペースについて行けなくなると、そのまま成績不良となってしまい、浮上のきっかけがつかめないことも珍しくありません。
昭和大学は1年次に富士吉田の寮で、4学部合同で生活しますので、自然と皆で教え合い、勉強習慣や自己管理の方法が身につくことが大きな強みでしょう。
いつも私が歯学部セミナーで申し上げているのは「進学先の国試合格率」よりも「自分に学習習慣が身についているか」を振り返ってほしいということです。自分がその大学に進学して「上位◎◎%」に入れるかということです。
「6年間ストレート合格率」が低い大学でも、その中で上位3割程度に入ればストレートで歯科医師国家試験に合格できます。
公表されている歯科医師国家試験合格率が気になることはもちろんですが、歯学部入試においては「入ること」と同じぐらい「出ること」を想定した勉強法が求められます。偏差値で計られることが多い大学受験ですが、歯学部受験に関しては、それが当てはまらないと考えています。