
関東学院中学校・高等学校で医学部ガイダンスを行いました|メルリックス学院受験情報センターより
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
メルリックス学院 受験情報センターでは、全国の高校からお招きを受けて医学部向けのセミナーを開催することがあります。先日は関東学院中学校・高等学校の医学部志望の生徒と保護者の方々の前で、医学部入試の最新情報ガイダンスと面接練習を行いました。
医学部を最短ルートで目指すには
関東学院中学校・高等学校は2019年に創立100周年を迎えた、横浜バプテスト神学校を源流に持つ完全中高一貫校です。今回は医学部医学科受験ガイダンスということで、医学部志望の中学生・高校生と保護者の方々にお集まりいただきました。
まずは「医学部を最短ルートで目指すには~最新の入試動向から考える」と題したガイダンスを45分ほど行わせていただきました。
今や大学定員の半分を学校推薦型・総合型選抜などの年内入試が占める時代ですが、医学部受験も年内入試を抜きにしては語れません。国公立医学部医学科の募集人員に占める学校推薦型・総合型選抜の割合は約3割、私立医学部医学科の募集人員に占める学校推薦型・総合型選抜の割合は約2割です。
国公立医学部医学科の多くは共通テスト利用という形で、学校推薦型・総合型選抜を行っており、千葉大学が2026年度から地域枠推薦を行うことになったので、学校推薦型・総合型選抜を行っていない国公立医学部医学科は九州大学のみです。
また、私立医学部は文部科学省の「2/1以降ルール」の影響を受けて、2026年度は多くの大学が2/1からの10日間ほどで一次試験を行います。日程が集中したことで併願できる大学が減り、おそらく複数合格を持っている受験生が減り、学費を納める大学≒ほぼ進学先という状況になると思われます。
このように文部科学省の動きに振り回される一般選抜よりも、募集人員が増加傾向にある学校推薦型・総合型選抜から受験を考える流れは、医学部入試においてもますます強まるという話をさせていただきました。
中学時代から医学部を目指すための勉強法
ガイダンスの参加者には中学生もいらっしゃったため、医学部を目指すための勉強法についてもお話しさせていただきました。
まず、医学部を受験するにあたって数学を回避するのは困難で、昭和医科大学や帝京大学など一部の大学を除いては、ほぼ数学Ⅲまでが必須となります。私立医学部の学校推薦型・総合型選抜では兵庫医科大学(総合型)や東邦大学(総合入試・同窓生子女入試)、東京女子医科大学(推薦)などの例外はありますが、基本的に一般選抜以外でもほぼ数学が課されます。
数学に苦手意識を持ってしまうと、医学部受験においては致命的となりかねません。そのためには小学校の算数からの積み重ねが大事だという話をさせていただきました。
また、よく医学部受験生や保護者から聞かれる「英検などの英語資格は医学部受験においてどのぐらい有利になるか」も様々な入試種別を例に挙げてお話しさせていただきました。英検1級レベルになれば話は別ですが、英検準1級・2級レベルは多少有利になる程度なので無理をする必要はありません。ただ、受験までにまだ時間のある高校2年生までに、自分の実力に見合った級・スコアを取得しておくことはお勧めしています。
ガイダンスの後半は、IMU海外医科大学事務局の飯島補佐から「海外医学部という選択肢」についてもご紹介させていただきました。海外医学部に進学とまで行かなくても、将来医学部に入学してから海外に留学してみたいという気持ちは多くの中学生・高校生が持っていると思います。
飯島補佐は単身19才でアメリカに渡った経歴の持ち主であり、海外で必要なコミュニケーションについてはそれだけで1つの講演会が開けるほどの豊富なエピソードを持っています。残念ながら、今回は時間切れで詳しくお話しできませんでしたが、次の機会があればぜひ海外生活において必要なコミュニケーションについてお伝えしたいと思います。

飯島補佐によるIMU海外医科大学事務局の説明
医師を目指す女子受験生のために
今回、進路指導の先生からは「女性医師を目指す受験生に向けての話もお願いしたい」と言われていました。
医学部入学者の4割程度が女性を占める時代、女子受験生は年々増え続けています。以前、東京医科大学の入試で女性差別が問題になりましたが、現在は男女比で女性の入学者の方が多い医学部も出てきています。しかし「医師になりたい」という希望は明確にあっても、医師になった後のキャリアまで具体的に思い描いている医学部受験生はほとんどいないのではないでしょうか。
特に女性は結婚や出産などのライフイベントを考えると、どのタイミングで専門医を取得するかといったことや、大学院への進学をどうするかなど、あらかじめ考えておいた方がいいことがあります。また、地域枠や卒業後の義務年限がある制度で入学している場合、大学在学中に知り合った同級生と結婚を考えた時に話し合う必要が出てきます。
そのあたりの実情を、メルリックス学院の卒業生の例などを中心にざっくばらんにお話しさせていただきました。地域枠離脱の条件に「結婚」が入っている大学や、新潟県地域枠のようにライフイベントによって勤務地などを相談できる地域枠、さらに東北医科薬科大学のように、定員の半分ほどが地域枠である医学部など、様々なケースがあります。
国公立医学部医学科合格者の体験談
メルリックスのガイダンスの後は、関東学院高校から国公立医学部医学科に進学した卒業生の体験談コーナーでした。お二人の話を聞かせていただきましたが、これが大変面白く興味深いものでした。
お二人とも的確な入試研究と自己分析で国公立医学部合格をつかみ取った方々であり、自分の実体験から導き出した勉強法や受験戦略は、医学部志望の中学生・高校生にとっては「リアルな合格体験記」として非常に役に立ったのではないかと思います。
よく「医学部受験は情報戦だ」と言われますが、それを知らずに後期日程の山梨大学や奈良県立医科大学に出願して撃沈した……というエピソードは「医学部受験あるある」だと頷きながら聞いていました。
自分にとって受けやすい大学は、他の受験生にとっても受けやすい大学であり、そのため受験者も多い傾向があります。大学はそんなことは百も承知で、受験者を選抜するために試験問題を工夫してきます。そのあたりを理解せずに、ただ日程と入試難易度ランキングだけを見て出願しても、良い結果は得られないことがよくわかる、とても良い体験談でした。
ガイダンス終了後は希望者に面接練習
ガイダンス終了後は希望者に面接練習も行わせていただきました。メルリックス渋谷校でいつも面接指導に当たっている川端統括と飯島補佐、そして私の3人で個人面接の基本を講義しました。
普段、学力試験の勉強をしていると、個人面接においても「正解」を答えなければいけないと思いがちですが、面接とはコミュニケーションの場です。医学部の面接官が医学部受験生と話をして「入学させていいかどうか」を見極める場であり、唯一無二の正解があるわけではありません。それこそコミュニケーションの基本である座った時の姿勢や声の出し方から、30分という時間で丁寧に指導させていただきました。
個人面接の三本柱である「医師志望理由」「大学志望理由」「将来の医師像」について順番に答えていただきましたが、どうすれば医学部の面接官を納得させることができるか、一人ひとりにお伝えさせていただきました。終わった後、皆の顔が生き生きとしていたのが非常に印象的でした。
様々な中学・高校で講演する機会をいただきますが、その学校によって校風が違い、反応が異なるのが興味深いところです。関東学院中学校・高等学校は生徒たちが元気よく、話を聞いている時も生き生きとしているのが印象的でした。少しでも医学部を志望する皆さんのお役に立てたことを願っています。





