医学部の志望理由書を前に、受験生とAIが相談しているイラスト

【2027年度】医学部の志望理由書に生成AIは使える?禁止している私立6大学を紹介

こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。

ChatGPTやGeminiなどの生成AIが、私たちの仕事や日常に急速に入り込んできています。大学入試も例外ではありません。
今回は、志望理由書などの作成に生成AIを使用することについて、私立医学部がどのようなルールを設けているのか、2026年10月時点の状況をまとめてみました。

2027年度入試の私立医学部31大学の募集要項を調べたところ、獨協医科大学、埼玉医科大学、大阪医科薬科大学、関西医科大学、兵庫医科大学、久留米大学の6大学で、出願書類の作成に生成AIを利用することが明確に禁止されていました。

目次[非表示]

  1. 1.生成AIの利用を禁止する私立医学部6大学【2027年度】
  2. 2.生成AIに関する対応は3つに分かれている
  3. 3.3年前のChatGPTと比較してみる
  4. 4.ケース1:出願書類にあることだけを指定した場合
  5. 5.ケース2:もう少し細かく指定した場合
  6. 6.ケース3:私が書いた志望理由書を添削してもらった場合
  7. 7.志望理由書をChatGPTで添削するのも禁止?
  8. 8.生成AIを何のために使うのかが重要

生成AIの利用を禁止する私立医学部6大学【2027年度】

2027年度(令和9年度)募集要項で、出願書類を作成するにあたって、明確に生成AIの利用を禁止している私立医学部は以下の6大学です。

大学

募集要項の注意書き

獨協医科大学

出願書類において、生成AIの利用はせず、自分自身の言葉で記入してください。

埼玉医科大学

生成AIや他者による作成ではなく、志願者自身で考え、作成したものを提出してください。

大阪医科薬科大学

受験生自身で作成し提出する書類(志望理由書、活動報告書など)については、生成AIを使用することは認めません。提出書類において生成AIを使用して作成したものであることが判明した場合は、不正行為と見なして受験は認めず、合格や入学許可は取り消します。

関西医科大学

受験者自らが作成する提出書類(志望理由書、活動実績報告書など)において、生成AIの利用は認めません。提出書類が生成AIを利用したものと判明した場合、不正行為とみなし受験を認めません。合格後に判明した場合は合格を取消します。

兵庫医科大学

入学者選抜における生成AI(ChatGPT 等)の使用について、受験者が自身で作成して提出する書類については、生成AI を使って作成されたものを受験者独自のものとはみなしません。従って、大学が提出を求める書類の作成において、受験者が生成AI を使用することは認めません。提出書類において、生成AI を使用して作成したものであることが判明した場合は、不正行為とみなし、合格を取り消します。

久留米大学

出願書類は出願者自身で考えた文章を提出してください。人工知能等での自動生成や他者による作成を禁じます。

(2026年10月現在。詳しくは必ず各大学の募集要項を確認してください)

表にしてみるとわかる通り、「生成AIや他者による作成」を禁じている大学もあれば、「不正行為とみなして合格を取り消す」と厳しく言及している大学もあり、大学によって対応が分かれています。

他の25大学は、募集要項に生成AIに関する言及はありませんでした。
ただ、志望理由書などの出願書類において「受験者本人の自筆によること」との注意書きは複数の大学で見られました。「受験生自身が考えたことを自分の言葉で書く」という原理原則を重要視しているのだと思われます。

生成AIに関する対応は3つに分かれている

今はまだ生成AIが社会で活用され始めたばかりで、過渡期にあると考えています。今後、大学受験における生成AIの利用方針は各大学によって差が出てくるでしょう。

現時点で私立医学部31大学の募集要項を比べてわかることは、生成AIに関して対応している大学は少なくとも3通りに分かれるということです。

1.生成AIを「他者」の延長線上として捉えている大学

出願書類に関して、高校の先生や保護者、塾の先生などが代筆することを禁じているのと同様、生成AIもその中に含めていると考えられる大学です。獨協医科大学、埼玉医科大学、久留米大学などがこれにあたります。

2.生成AIを使用することを、明確に「不正行為」と位置付けている大学

生成AIを使うことは、入学者選抜の公平性を損なうと考えている大学です。そのため、生成AIの使用が判明した場合、カンニングなどと同様に「合格を取り消す」と強い言葉で表現しています。大阪医科薬科大学、関西医科大学、兵庫医科大学といった関西の3大学がこれにあたります。

3.事前書類を廃止して、当日の試験で書かせる大学

金沢医科大学は2025年度入試から、総合型選抜や学校推薦型選抜で必要となる「自己推薦書」を、事前提出ではなく試験当日に書かせるようになりました。
入試担当者に聞いたところ、事前提出にすると生成AIを使用する受験生がいることを考えて、試験当日に自分の言葉で書かせるようにしたそうです。

ただし、金沢医科大学の研究医枠選抜は、事前に「志望理由書」を提出する必要があります。

3年前のChatGPTと比較してみる

では、実際に生成AIが「志望理由書」を書いたら、どういったものが出来上がるのでしょうか?

実は3年前に、当時のChatGPTに東京医科大学の「志望理由書」を書いてもらっています。この時は内容はもとより、800字以内という字数を指示しても制限を守れずになかなか苦戦しました。

今回は当時と同じように、現在のChatGPTに指示を出してみました。

ケース1:単純に出願書類の内容だけを指定。

ケース2:もう少し細かく指定。

ケース3:私が書いたダミーの志望理由書を添削。

ケース1:出願書類にあることだけを指定した場合

まずは、シンプルに出願書類にあることだけをChatGPTに指示した結果です。

Q. 東京医科大学の志望動機と入学後の抱負を書いてください。800字以内でお願いします。

 私が目指すのは、確かな医学的知識と技術を備え、患者一人ひとりの思いや価値観を尊重しながら、最善の医療を提供できる医師である。病気を治療するだけでなく、患者が抱える不安や生活背景にも目を向け、信頼関係を築きながら治療に取り組める医師になりたいと考えている。
 私が貴学を志望する理由は、建学の精神である「自主自学」と、校是である「正義・友愛・奉仕」に深く共感したからである。医学は日々進歩しており、医師には生涯にわたって学び続ける姿勢が求められる。自ら課題を発見し、考え、責任を持って行動する「自主自学」の精神は、私が理想とする医師に不可欠なものである。また、貴学が掲げる「患者とともに歩む医療人を育てる」という理念にも強く惹かれている。患者の立場を理解し、医学的な正しさだけでなく、一人ひとりにとって何が最善であるかを考える姿勢を身につけたい。
 さらに、貴学では早期からシミュレーション実習を取り入れ、段階的に臨床能力を養う教育が行われていることにも魅力を感じている。知識の修得にとどまらず、実践を通して判断力や対応力を磨ける環境で学びたい。
 入学後は、基礎医学から臨床医学まで主体的に学び、確かな知識と技術を身につけたい。また、人間学や臨床実習を通して多様な価値観に触れ、患者やその家族の思いを理解する力を養いたい。さらに、仲間との協働を大切にし、異なる意見にも耳を傾けながら、自分の考えを深めていきたい。
 貴学での六年間を通して、医学的な判断力と豊かな人間性を兼ね備え、患者から信頼される医師へと成長したい。(651字)

さらにChatGPTからは以下のように返ってきました。

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ただし、これはあくまで汎用的な土台です。 現状では大学の理念を理解していることは伝わりますが、受験生本人がなぜ医師になりたいのか、なぜ東京医科大学なのかという個別性が弱い文章です。

受験生の医師志望のきっかけ、本人の強みや経験がわかれば、それらを軸にして、選抜で評価されることを意識した800字に仕上げられます。

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3年前に比べればずっとマシな文章で、このまま提出しても良さそうな気もします。ただ、AIも言っている通り個人の情報が与えられていないので、志望理由が弱く、何より字数がまた守れていません(笑)

ケース2:もう少し細かく指定した場合

次に、もう少し具体的な内容を指示した場合です。

Q. 東京医科大学の志望動機と入学後の抱負を書いてください。志望動機には、東京医科大学の建学の精神である「自主自学」に根差した少人数系ゼミ教育があることを含めてください。また、新宿にある大学病院が臨床の最先端であり、都心で医療を学べることもあげてください。入学後の抱負には学生のうちから研究に携わる機会があることを入れてください。全部で800字以内でお願いします。

 私が貴学を志望する理由は、建学の精神である「自主自学」のもと、主体的に学ぶ姿勢を養いながら、医学の知識と実践力を身につけられる環境に魅力を感じたからです。
 特に、少人数制のゼミ教育では、教員や学生同士の活発な議論を通じて、自ら課題を発見し、解決に向けて考える力を養えると考えています。医療の現場では、患者一人ひとりの状況に応じて最善の治療を考える必要があり、そのためには知識を習得するだけでなく、自ら問いを立て、学び続ける姿勢が不可欠だと思います。
 また、新宿という都心に位置する大学病院で、最先端の臨床医療に触れながら学べることも大きな魅力です。多様な背景を持つ患者が集まる環境で、幅広い疾患や医療ニーズについて理解を深め、医学の知識が実際の診療にどのように生かされているのかを学びたいと考えています。
 入学後は、日々の授業や実習に主体的に取り組み、基礎医学から臨床医学まで着実に知識を身につけたいです。また、貴学には学生のうちから研究に携わる機会があるため、積極的に参加したいと考えています。研究活動を通じて、科学的根拠に基づいて物事を考える力や、未知の課題に粘り強く取り組む姿勢を養いたいです。
 さらに、仲間との協働を大切にし、異なる意見にも耳を傾けながら、医師として必要なコミュニケーション能力を磨きたいと考えています。貴学での学びを通じて、常に探究心を持ち、患者に寄り添いながら、進歩し続ける医療に貢献できる医師を目指します。(614字)

さらにChatGPTからは以下のように返ってきました。

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大学の公式資料でも、少人数ゼミ形式の自由科目や、学生が研究室に所属して研究方法を学ぶ「リサーチ・コース」が確認できました。大学の特色に即した内容になっています。

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3年前と比べると、公開されているホームページの内容をかなり拾っているという印象です。ケース1と比べると、志望動機に厚みが出てきました。

ただ、字数が800字以内というのは、「800字以内なら何字でもいい」ということではなく、「800字近くまで書きましょう」という意味なのですが、生成AIが相手だとそこは明確に指示する必要があるようです。

ケース3:私が書いた志望理由書を添削してもらった場合

最後に、3年前に私が書いた文章を添削してもらいました。

Q. 次の志望理由を添削してください。

 私が貴学を志望する理由は2つあります。
 1つは、建学の精神である「自主自学」を実践し、学生が主体的に学ぶ機会が多く設けられていることです。4年次のグループ別自主研究では、基礎医学の研究室に所属し、研究者の考え方や方法論を学ぶことができます。実際に研究に取り組まれた先輩方のお話を聞く機会があり、学長賞を受賞された先輩もいるとうかがい、学生のうちから研究に携われることに大きな魅力を感じました。また、自由な学び系科目では、地域医療、基礎医学研究、国際性、外科学の中から興味のある分野を選択し、少人数ゼミ形式で学びを深めることができます。こうした経験を通して、医師に必要な主体性を磨き、生涯にわたって自己研鑽を続ける姿勢を養いたいと考えています。
 もう1つは、西新宿キャンパスに隣接する大学病院で、最先端の臨床を学べることです。1年次から段階的に始まる臨床実習を通じて、医師に必要な知識、技術、態度を身につけたいと考えています。将来どの診療科に進むかはまだ決めていませんが、どの科であっても問題を発見し、解決する能力は必要不可欠です。最先端の臨床現場での経験を通じて、そうした能力を身につけたいと思います。
 入学後は医学の勉強に励むことはもちろん、新宿という恵まれた立地やクラブ活動などを通して、さまざまな人と交流し、人間性を磨きたいと考えています。価値観の近い友人だけでなく、先生方や先輩、後輩とも積極的に交流することで、多様な価値観に触れ、他者への思いやりの心を養いたいと思います。将来「患者とともに歩む医療人」として社会に貢献するために、貴学が最適な学びの場であると考え、志望いたします。(692字)

さらにChatGPTからは以下のように返ってきました。

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添削のポイント

  • 研究への関心を具体的に残す:先輩から直接話を聞いた経験と学長賞のエピソードは、大学について調べただけではない志望動機として重要なので残しました。
  • 「自主自学」と将来の医師像を接続する:主体性を磨くことが、生涯にわたる自己研鑽につながる構成にしました。
  • 臨床経験の記述を整理する:「問題を発見し、解決する能力」という本人の考えを中心に据えました。
  • 入学後の抱負を明確にする:医学の勉強だけでなく、多様な人との交流を通して人間性を磨くという意図を残しました。
    一点だけ、内容面で気になるのは、「新宿という恵まれた立地」と「さまざまな人との交流」の関係がやや弱いことです。都心ならではの多様な人々や価値観に触れる機会という意味を明確にできれば、さらに説得力が増します。
    全体として、大学固有の教育内容と本人の経験が結びついた、具体性のある志望理由になっています。

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独自の理由(学長賞のエピソード)は残す方向に働いており、「何が評価されるか」をAI側が選択できるようになっています。字数はやはり「750字以上800字以内」のように、明確に指定する必要があるようです。

ちなみに私が書いた元の文章はこちらです。

 私が貴学を志望する理由は2つあります。1つは建学の精神である「自主自学」を実践されており、学生が主体的にチャレンジする機会が多く設けられていることです。4年次のグループ別自主研究では基礎医学の研究室に所属して、研究者の考え方や方法論を体験することができます。実際に研究をされている先輩方の話を聞く機会があり、また学長賞を受賞された先輩もいるとうかがって、学生のうちからこのような機会があることに大きな魅力を感じました。また、自由な学び系科目では地域医療、基礎医学研究、国際性、外科学という科目の中から自分に興味がある分野を自由に選択することができ、少人数ゼミ形式で学びを深めることができます。医師に必要不可欠な主体性を磨くための貴重な機会であり、こうした経験を通して生涯にわたって自己研鑽を続け、学び続ける姿勢を学生のうちから養えると考えております。もう1つは西新宿キャンパスに隣接した大学病院で最先端の臨床を経験できることにも大きな魅力を感じております。1年次から段階的に始まる臨床実習を通じて、臨床の現場での基本的な知識、技術、態度を身につけていきたいと思います。将来はまだどの診療科に進むかは決めていませんが、どの科であっても問題を発見して解決する能力は必要不可欠だと考えています。臨床の最先端での経験を通じてそうした能力を少しずつ身につけていきたいと思います。
 入学後は医学の勉強に取り組むことはもちろんですが、新宿という恵まれた立地やクラブ活動などを通してさまざまな人と交流を図ることで人間性を磨いていきたいと考えています。価値観の近い友人だけでなく、先生方や先輩、そして後輩などと学生のうちから積極的に交流することによって、他者に対する思いやりの心を養えると思います。将来「患者とともに歩む医療人」として社会に貢献するために貴学が最適な学びの場であると思い、志望いたします。(794字)

いかがでしょうか。ダミーの志望理由書なので、将来どういう医師になりたいかという部分が弱く、そのために一般的な内容に終始していますが、これに個人的な経験や考えなどを入れれば十分に志望理由書として成り立つと思います。
字数も794字と800字ギリギリまで書いています。

志望理由書をChatGPTで添削するのも禁止?

ケース3では、私が書いた文章を生成AIに添削してもらいました。ただ、生成AIによる志望理由書の作成を禁止している大学では、ChatGPTなどを使った添削も認められない可能性があります。

単なる誤字脱字の確認と、文章全体をAIに書き直してもらうことでは、利用の程度も異なります。募集要項に明確な記載がない場合も、利用が許可されているとは限らないため、判断に迷う場合は使用しないことをお勧めします。

生成AIを何のために使うのかが重要

以上の実験から、生成AIについては以下のことが言えそうです。

ケース1:材料がなければ一般論を書く。

ケース2:材料を指定すれば具体的に書く。

ケース3:人間が考えた文章を渡せば、その内容を生かして整えることができる。

実際にChatGPTを使ってみて、3年前よりは進化しているものの、やはりまだ一般論に依る方向性、細かい指示が必要な部分は残っていると感じました。

生成AIの利用について明確な禁止規定を設けていない大学であれば、実際に利用して仕上げる医学部受験生はいると思います。その場合は、良い志望理由を考えてもらうというよりは、「文章を整える」方向性で使うのが良いと思われます。

志望理由書の添削をしていると、完璧主義が昂じてか、私の方で「これでいいですよ」と言っても、何度も変更して提出してくる方がいらっしゃいます。近年は繰り返し提出する書類の中に「生成AIを使って整えたのかな」と思われる文章も増えてきました。

医学部の出願書類は高い文章力が要求されているわけではありません。試験官に伝わる文章であれば十分です。ところが今の時代は、高校の先生や保護者、塾の先生など複数の人に見てもらった上で、生成AIを使って何度も何度も書き直す受験生がいらっしゃるのではないかと思います。

ぜひ医学部受験において本質的な部分を見失わず、点数を1点でも伸ばすための勉強に時間をかけてほしいと思っています。

鈴村倫衣
鈴村倫衣
メルリックス学院医学部・歯学部受験情報センター長。四半世紀以上にわたって医学部・歯学部の受験指導、面接指導に携わり、多くの生徒を合格に導いてきた。医学部・歯学部入試に関する造詣は深く、大学から入試改革のアドバイスを求められることもしばしば。また、多くの生徒に接してきた経験を活かして、大学のFD研修に登壇するなど、高校のみならず大学でも多くの講演を行っている。

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