
大学入学共通テスト令和8年度で2浪生の志願者が増加した理由
こんにちは。
受験情報センター長の鈴村です。
昨日12月9日、大学入試センターが令和8年度の大学入学共通テストの志願者数を公表しました。総志願者数は前年度比1,066人増の496,237人と0.2%増加しました。
このところ18歳人口は2025年109.1万人、2026年109.3万人と推移していますので、人口増の分だけわずかに増えたのかと思いきや、現役生の志願者数は前年度比5,657人の減少でした。では、いったい何が増えたのでしょうか?
3年連続の志願者40万人台、既卒生が増加
大学入学共通テストの志願者数は2024年度に491,914人と50万人を割り込んで以来、これで3年連続40万人台となります。今年度からWeb出願が導入されましたが、志願状況に大きな影響はなかったようです。
現役生(高3生)の志願者数は420,311人と前年度の425,968人から5,657人減、1.3%の減少となりました。対照的に既卒生の志願者数は71,310人と前年度の64,974人から6,336人増、9.8%の増加となりました。つまり、現役生ではなく既卒生が志願者数を押し上げたことになります。
ちなみに、その他の出願資格は4,616人と前年度から387人増とこちらも増加しています。その他の出願資格というのは、高卒認定合格者や外国の学校を修了した者がここに含まれます。
2浪生の志願者が4,000人近く増加
大学入試センターは既卒生の志願者数を「前年度卒業」「前々年度卒業」「前々々年度以前卒業」に分けて公表しています。要するに「1浪生」「2浪生」「3浪生以上」ということになります。
過去3年間の大学入学共通テスト高校卒業年度別 既卒生の志願者数
年度 | 高卒者数 | 1浪 | 2浪 | 3浪以上 |
2024年度 | 68,220人 | 46,299人(67.9%) | 8,957人(13.1%) | 12,964人(19.0%) |
2025年度 | 64,974人 | 43,956人(67.7%) | 8,633人(13.3%) | 12,385人(19.1%) |
2026年度 | 71,310人 | 45,856人(64.3%) | 12,516人(17.6%) | 12,938人(18.1%) |
過去3年間の志願者数を見ると一目瞭然、2浪生が4,000人近く増えているのがわかります。ちなみに、既卒生の志願者数が7万人を超えたのは2023年度の71,642人以来です。2021年度の既卒志願者は81,007人でしたから、受験生の「現役志向」が急速に進んでいることがわかります。
では、なぜ今回2浪生の志願者数が急激に増えたのでしょうか?
2浪生が増えた理由を推測する
今年で2浪ということは、高校を2024年3月に卒業した人達ということになります。2024年度は旧課程で行われた最後の入試でした。翌年の2025年度入試は旧課程と新課程の間の年度にあたり、旧課程受験者にも「移行措置」が行われました。
ただ、2024年3月に高校を卒業した人達は、浪人した場合は「移行措置」が行われる中での入試となるため、他の年よりも「浪人せずに現役で大学に入ってしまった方がいい」という傾向が強かったのではないでしょうか。それは次年度である2025年度の既卒志願者が64,974人、特に1浪生が43,956人と前年度より大きく減少したことからも明らかです。
しかし、現役で進学した人達が1年間、大学に通ってみた結果「やっぱり行きたかった大学にチャレンジしてみたい」という気持ちが湧いてきたのかもしれません。新課程入試がそれほど旧課程入試と変わらなかったことも、再チャレンジを後押しする要因になったことも考えられます。
とはいえ、一旦は別の大学に進学している人達ですから、在籍している大学を辞めて再受験というよりは、仮面浪人という形で受験する人が多いのではないかと推測します。
2026年度の大学入学共通テストは2026年1月17日(土)・18日(日)に行われます。平均点が上振れ傾向にあった前年度から一転、平均点は下がると予想されていますが、どうなるか注目です。





